ウエディングベル 前編

ジーン「おはようございます。」


撮影所のドアが開いてジーンが入ってくる。


ロミオ「おはよう。」

ジーン「お疲れ様です。早いですね。今日もよろしくお願いします。」

ロミオ「おう。」

ジーンが横を通り過ぎたときにロミオが口を開いた。


ロミオ「元彼だそうだな。」

ジーン「え？」

ロミオ「聞いてるよ。あんたのこと。」

ジーン「・・・そうなんですか？」

ロミオ「海外に行ってたんだろ？あいつに会うために戻ったのか？」

ジーン「・・・違います。家庭の事情、ってやつです。」

ロミオ「そうなのか。向こうでの仕事成功してたんだろ。大変だな。」

ジーン「でもいい機会だったんで。ちょうどよかったですよ。」

ロミオ「そうか。」

ジーン「ロミオさんは・・・アイビーの彼氏ですよね。」

ロミオ「別に彼氏じゃねえよ。」

ジーン「そうなんですか？」

ロミオ「あぁ。付き合ってるわけじゃない。」

ジーン「でもアイビーは・・・きっとあなたのこと大事に想ってますよ。」

ロミオ「好きなのか？」

ジーン「え・・・？」

ロミオ「あいつのこと、愛おしそうにみてたもんな。」

ジーン「・・・。」

ロミオ「べつに構わないぞ。あいつと付き合っても。」

ジーン「なんでそんな風に・・・・。ロミオさんは・・・アイビーのこと大事じゃないんですか？」

ロミオ「俺とあいつの関係はあんたには関係ない。」

ジーン「じゃあ俺がアイビーをデートに誘っても構わないってことですよね？」

ロミオ「好きにしろ。俺には関係ない。」

ジーン「・・・・わかりました。」

ジーン「失礼します。」


ジーンが出て行く。

ネオとサマンサの結婚式の日がやってきた。
あいにく、午前は曇り空だ。
式場は丘の上の湖のほとりにあるコテージで行われた。

サマンサ「緊張してきちゃった。私、だいじょうぶかな？おなか出てない？ドレス似合ってる？」

アイビー「なにいってるの。まだ全然おなか出てないよ。ウエディングドレス姿もすっごく似合ってる。妊婦さんには見えないよ。」

サマンサ「ホントに？」

アイビー「もちろんだよ。今日のサムちゃんすっごく素敵。いままでで一番輝いてるよ。」

サマンサ「ありがとうアイビーちゃん。一人だと心細くって。」

アイビー「今日はサムちゃんが主役なんだから。笑顔でいなくっちゃ。」

サマンサ「そうだよね。」

サマンサがアイビーを抱きしめる。


サマンサ「アイビーちゃんがいてくれてホントに心強い。今日の式のこともいっぱい手伝ってくれて・・・ありがとうアイビーちゃん。」

アイビー「当たり前じゃない。今日から妹になるんだからねっ。式のことは私に任せて、サムちゃんはなんにも心配しなくて大丈夫だよ。」

サマンサ「うん。ありがとう。」

ドアが開いてクレアがやってきた。


クレア「花嫁さん、準備はいいかしら？そろそろはじまるわよ。」

サマンサ「はい、お母様。」

クレア「そのお母様っていうの、なんだかくすぐったいわ。なかなか慣れないわねｗ」

野外の式場に参加者が集められ、式がはじまった。

誓いの言葉のあとに、お互いの指に指輪がはめられる。
サマンサが小さく震える手でネオの指に指輪をはめた。

ネオもサマンサの細い指に指輪をはめる。

誓いのキスのあと、二人は見つめあう。
周りから歓声と拍手が沸きあがる。
森中に鐘の音が響き渡った。

午後になると晴天が広がった。
花嫁のブーケトスが行われることになり、会場にいた独身女性たちが集められる。

サマンサ「皆さん、今日は集まってくださって本当にありがとうございます。私はみなさんに見守られながら、大好きなネオさんと今日ここで結婚式をあげることができて、本当に幸せ者です。そして私の幸せが、みなさんにも届きますように。このブーケに願いを込めて。」

ララ「次はきっとラトの番よね。」

ラトーシャ「まだ早いよ。同棲もはじまったばっかりなんだし。」

ララ「あら、そんなことないわよ。あなたたちラブラブじゃないの。今日だって二人して遅刻気味だったのは、毎晩愛し合ってるからなんじゃないの？」

ラトーシャ「もう・・・ララったら。」

デイジー「　（そろそろ私もいい人欲しいっ。絶対あのブーケとってやる！待っててね私の王子様！）　」

ケリー「　（私・・・彼女いるんだけどな。ママたちは早く結婚しろってうるさいけど・・・さすがに家族には言えないわよね・・・。）　」

サマンサが女性たちに背を向ける。


サマンサ「それではいきます。・・・せーのっ！」

サマンサ「えいっ！」


サマンサの投げたブーケが宙を舞う。

スローモーションのように、ブーケが放物線を描く。

ブーケに向かってたくさんの手が伸びる。


デイジー「！」

ブーケがデイジーの手から零れ落ちる。

アイビー「！」

ブーケはアイビーの手にしっかりと握られていた。


ラトーシャ「おめでとうアイビー！」

ララ「おめでと～。」


周りの女性たちもアイビーを拍手で称える。

アイビーは複雑な表情で真っ白なブーケを見つめていた。

クレア「まぁっ。あなた、次はアイビーみたいよ。あの子、恋人いるみたいだけどあまり彼については話さないし・・・どんな人なのかしらね？」

Ｊ「まだ早い。」

クレア「もうあなたったら・・・ｗ」

サマンサ「アイビーちゃんおめでとう！」

ネオ「よかったなアイビー。」