ラトーシャ「ふんふん~♪」
ラトーシャ「~♪」
夕食を作るラトーシャ。
機嫌がいいのか鼻歌を口ずさんでいる。
ラトーシャ「!」
突然の吐き気にみまわれ、口元を押さえる。
ラトーシャ「うっ・・・!」
慌ててバスルームへと走る。
ラトーシャ「うっ・・・・げほっ!ごほっ・・・・。」
胃の中のものをすべて吐いたら少し落ち着いた。
ふらふらと立ち上がる。
ラトーシャ「はぁ・・・。」
ラトーシャ「 (最近ウイルス性の風邪が流行ってるっていうし・・・もしかしてそれかな?なんだか寒気もする・・・。明日仕事休んで病院行ってこよう。ディーンにうつさない様にしないと・・・。) 」
ロビン「驚いたわ。まさかローガンから連絡がくるなんてね。」
ローガン「番号変わってなくてよかったよ。」
ローガン「お前、呑まないのか?昔よく一緒に飲んでたよな。」
ロビン「私、妊娠してるのよ。」
ローガン「そうなのか?」
ロビン「できちゃった結婚なんだけどね。今年式をあげたばかりよ。」
ローガン「お前が母親か~。なんだか不思議な感じだな。」
ロビン「そうね。」
ロビン「ディーンと別れて、私もいろいろあったのよ。」
ローガン「・・・・。」
ロビン「今の旦那はしがないサラリーマンだけど、私のこと大事にしてくれるしすごくいい人よ。結婚してよかったと思ってるわ。」
ローガン「そうか。」
ロビン「それよりも、なにがあったの?ディーンのことよね?」
ローガン「よくわかるな。」
ロビン「こう見えても私、探偵やってたのよ?」
ローガンがいままでのことを話す。
ロビン「ふぅ~ん。脅すなんて最低な女ね。まぁバチェラーパーティーで撮られるようなことするディーンも相変わらずだけど。あの人どっか抜けてるとこあるのよね~。」
ローガン「お前には酷だと思うが、助けてほしい。」
ロビン「別に酷なんかじゃないわよ。ディーンとはもう昔のことよ。」
ローガン「そう言ってくれると助かる。」
ロビン「でも私、こんな体だしもう仕事辞めちゃったのよ。」
ローガン「だよな・・・。」
ロビン「今年の春までは働いてたんだけどね。」
ローガン「そうなのか。」
ロビン「でも紹介してあげるくらいならできるわよ。」
ローガン「ホントか?探偵事務所もいろいろあるからな。ちゃんとしたところがよかったんだ。」
ロビン「大丈夫。うちは業界でもわりと評判いいところだから。ただちょっとその分割高だけどね。」
ローガン「そのへんなんとかならないかな?」
ロビン「内容にもよるんだけどね~。」
ロビン「身辺調査でしょう?危ない女じゃなければそんなにお金かからないと思うけど、ショアの出身だっけ?」
ローガン「ああ。」
ロビン「なら出張代もかかるから結構行くかもしれないわね。」
ローガン「そうか。あいつは全部出すって言ってるけどな。」
ロビン「なんとか安くしてもらえないか聞いておくわ。」
ローガン「頼む。あいつもお前に会いたがってたぞ。」
ロビン「そう・・・。お互い既婚者同士だし、妊婦の元カノになんか会ってもしょうがないのにね。」
ローガン「・・・・。」
ロビン「元気だったって伝えておいて。」
ローガン「わかった。」
ロビン「あとで事務所に連絡しておくわ。明日あなたのところへ電話がいくはずよ。」
ローガン「わかった。よろしく頼むよ。」
ロビン「ええ。」
女医「4週目ね。」
ラトーシャ「え・・・?」
女医「あなた、妊娠してるわよ。」
ラトーシャ「妊娠・・・・?」
女医「前に生理がきたのはいつ?」
ラトーシャ「生理不順で・・・・。」
女医「そうなの?でも、赤ちゃんが生まれるようなことをした覚えはあるのよね?」
ラトーシャ「はい・・・。(サンリットのときかな・・・。) 」
女医「あなた、ご結婚は?」
ラトーシャ「してます。今月式をあげたばかりで・・・。」
女医「そうなの。それなら問題なさそうね。おめでとう。」
ラトーシャ「ありがとうございます・・・。」
女医「新婚生活がちょっと短いかもしれないけど、喜ばしいことよね。」
女医「なにも問題ないとは思うけど、帰って旦那さんとちゃんと話し合ってね。」
ラトーシャ「はい・・・。」
女医「それから体は冷やさないように。」
ラトーシャ「はい。」
ラトーシャが病院から出てくる。
入り口で立ち止まる。
ラトーシャ「 (私が・・・妊娠・・・・?) 」
ラトーシャ「 (赤ちゃん・・・///// ディーン、喜んでくれるかなぁ?) 」
愛おしそうにおなかを擦る。
ラトーシャ「 (お祝いにケーキでも買っていこうかな?料理するとまた吐いちゃうかもしれないし・・・。そうしよう!) 」
ローガン「わかりました。ありがとうございます。引き続き、調査のほうをお願いします。」
電話を切ると、すぐにまたどこかへかける。
ローガン「ディーンか。今探偵事務所から連絡があった。」
ディーン『ホントか?それで?』
ローガン「本名はエミリー・ガイルス。26歳、俺たちと同じ年だ。」
ディーン『エミリー・ガイルス・・・。』
ローガン「出身はショアで中学はお前と同じ、第一中だ。覚えてるか?」
ディーン『いや・・・、7クラスもあったし、中学のやつとは高校で別れてから連絡も取ってないし、ほとんど覚えてない・・・。』
ローガン「アルバム持ってるか?それか卒業名簿。」
ディーン『俺は持ってないけど・・・・アイビーなら持ってるかも。』
ローガン「アイビーか。連絡とってくれるか?。」
ディーン『わかった。でもあいつ仕事だと思うから帰り遅いかも。』
ローガン「了解。とりあえず今からウェイロンの店で落ち合おう。」
ディーン『おう。』
ララがリビングでテレビを見ているとローガンが部屋から出てきた。
ララ「・・・でかけるの?」
ローガン「ああ。」
ララ「遅くなる?」
ローガン「たぶん。電気消してていいから。」
ララ「わかったわ・・・。」
ララ「いってらっしゃい。」
ローガン「ああ。いってくる。」
ローガンが立ち去る。
ララ「 (あれから、二人っきりになる時間がなくて、ゆっくり話せてないわね・・・・。) 」
ある日、アイビーの元へ一本の電話がかかってきた。
アイビー「もしもし。」
ジェニファー『アイビーちゃん?私。』
アイビー「ジェニファーさん?」
ジェニファー『今ね、下の公園にいるの。アイビーちゃんいま仕事?』
アイビー「いえ、部屋にいます。すぐ向かいますね。」
ジェニファー『ホントに?よかった。待ってるわね。』
アイビー「はい。」
公園にたどり着くとジェニファーが一人でブランコに座っていた。
アイビー「ジェニファーさん。」
ジェニファー「あ、アイビーちゃん!」
ジェニファー「来てくれてありがとう。」
アイビー「いいえ。ジェニファーさんは病院帰りですか?」
ジェニファー「そうなの。週2回って決まっててね。」
アイビー「そうなんですか。大変ですね。」
ジェニファー「もう慣れっこよw」
アイビー「寒いでしょう?うちでお茶しますか?」
ジェニファー「アイビーちゃんこのあとお仕事?」
アイビー「いえ。今日は夕方から撮影があって。」
ジェニファー「そうなの。じゃあお昼の間は時間あるのね?」
アイビー「はい。」
ジェニファー「よかったらうちに遊びに来ない?」
アイビー「え?ジーンのおうちに・・・?」
ジェニファー「橋の向こうの小さなおうちだけど、景色はすごくいいのよ。ね?」
アイビー「でも・・・勝手にお邪魔するのはジーンにも悪いですし・・・。」
ジェニファー「そんなこと気にしなくていいのよ。あの子は今でかけているし。」
アイビー「そうなんですか?」
ジェニファー「ええ。アイビーちゃんは私のお友達ですもの。是非遊びに来てほしいの。」
アイビー「じゃあ・・・行こうかな?」
ジェニファー「ホントに?嬉しいわ~。」
バスから降りて家までの道を少し歩く。
川沿いにある小さな家にたどり着いた。
古い家だがクリスマスの装飾が施してある。
ジェニファー「ここなのよ。」
アイビー「装飾が・・・。そういえばもうすぐクリスマスですもんね。」
ジェニファー「このおうち、ちょっと地味でしょう?だからイルミネーションがみたいって言ったらジーンがやってくれたの。」
アイビー「素敵ですね。」
ジェニファー「でしょう?夜になると川辺に反射して綺麗なのよ~。」
ジェニファーが鍵を開けて中に入る。
ジェニファー「あがってちょうだい。コーヒーでいいかしら?」
アイビー「はい。お邪魔します。」
アイビー「あ、ネコちゃん。」
ハイジ「ニャ~。」
ジェニファー「ハイジっていうのよ。」
アイビー「ハイジちゃん、こんにちは~。よろしくね。」
ハイジ「ニャ~。」
ハイジがアイビーの差し出した指先のにおいをかぐ。
ジェニファー「私が一人でも寂しくないようにって、先週ジーンがもらってきてくれたの。」
アイビー「そうなんですか。」
ジェニファー「あの子ってば、ホント優しいのよね。マザコンって言われそうだけどw」
アイビー「そんなことないです。」
ジェニファー「どうぞ~。」
ジェニファーがテーブルにコーヒーを置いてソファーに腰掛ける。
アイビー「ありがとうございます。」
ジェニファー「ジーンにね、この前アイビーちゃんと偶然会ったって話したら、びっくりしてたわ。」
アイビー「そうなんですか?職場ではなにも言ってなかったです。」
ジェニファー「そうなの?ふふっ。やっぱりちょっと恥ずかしいのかしらねw 元彼女と母親が友達になったなんて。」
アイビー「でも、今は職場仲間ですし、ジーンとはいい友達です。」
ジェニファー「そう?」
アイビー「はい。スタイリストとしてもすごく頼りになるし、私もいつもお世話になってますから。」
ジェニファー「アイビーちゃんは、やっぱり恋人がいるのよねぇ?」
アイビー「え・・・・まぁ・・・・そうですね・・・。(恋人・・・と呼んでいいのか・・・。最近はスタジオでもたまにしか会ってないけど・・・・。会っても話もしてないしな・・・・。) 」
ジェニファー「その人とは長いの?結婚とか考えてる?」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「ごめんなさいね。プライベートのことを質問攻めしちゃって。」
アイビー「いえ・・・。」
ジェニファー「私もね、ジーンには早くいい人をみつけて結婚してほしいの。私がいなくなったらあの子はたった一人になってしまうでしょう?」
アイビー「そんな・・・。」
ジェニファー「それにね、せめて彼女でも作ってもらえれば、心の拠り所ができるでしょう?あの子、今は金銭面や私のことで、いろいろストレスも多いと思うのよね。」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「喉渇いちゃったわね。アイビーちゃん、おかわりどう?」
アイビー「私はまだ大丈夫です。」
ジェニファー「そう。ごめんなさいね。ストーブが壊れていてこの家とても寒いでしょう?もうすぐ暖炉をつけることになったんだけど、年末だから忙しいらしくて業者さんがまだ来ないのよ~。」
アイビー「大変ですね。川沿いで風もあるでしょうし。」
ジェニファー「そうなのよね~。寒いからあたたかいものばっかり飲んじゃうわw」
アイビー「ジェニファーさん、おトイレ貸してもらってもいいですか?」
ジェニファー「ええ。そこのドアよ。」
アイビー「 (そこ・・・ここかな?」
一番手前のドアを開けて入る。
そこは寝室だった。
アイビー「 (あれ?違ったみたい。) 」
アイビー「 (製図台・・・ジーンの部屋?) 」
壁の奥のポスターに目がいく。
アイビー「あ・・・。」
アイビー「 (この写真・・・私がBiBi専属になってすぐの頃のだから、もう3年も前のなのに・・・・。) 」
ドアが開いてジェニファーが入ってきたことに、アイビーは全く気づかなかった。
ジェニファー「あの子の部屋よ。」
アイビー「ジェニファーさん、すいません私・・・。」
ジェニファー「いいえ。紛らわしい言い方をしてしまった私が悪いの。」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「あの写真ね。この街へくる前から持っていたものだそうよ。」
ジェニファー「あの子、あなたのファンなのね。きっとずっとあなたのこと応援していたんだと思うわ。」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「本当はあなたがまたジーンと・・・って望んでいたけれど。お互いもう大人ですものね。そう簡単にはいかないわよね。」
アイビー「・・・・。」
数時間後。
アイビー「私、そろそろ帰りますね。」
アイビーが立ち上がる。
ジェニファー「もう少ししたらあの子も帰ってくるわ。最近車を買ったのよ。中古だけれど。あの子が送っていくからもう少しだけ、ね?」
アイビー「いえ。ジーンも忙しいでしょうし。タクシー呼びますから大丈夫です。」
ジェニファー「タクシーなんて高いわ。」
アイビー「大丈夫です。コーヒーご馳走様でした。また遊びに来ます。」
ジェニファー「ホントに?また来てくれる?」
アイビー「はい。もちろんです。」
ジェニファー「アイビーちゃん、クリスマスはどうしてるの?」
アイビー「クリスマスは友達と集まってパーティーする予定で。」
ジェニファー「そうなの・・・。」
玄関のドアが開いてジーンが帰ってきた。
ジーン「ただいま~。」
ジェニファー「おかえりジーン。」
アイビー「おかえりなさい・・・。」
ジーン「アイビー・・・?なんで・・・・。」
ジェニファー「私が来てもらったのよ。」
ジーン「母さん・・・。またムリ言って来てもらったんじゃ・・・。」
アイビー「違うの。私も暇してたから・・・。」
ジーン「ホントに?ごめんな、遠いのに・・・。」
アイビー「ううん。」
ジェニファー「ジーン、アイビーちゃんのこと送っていってあげて。」
ジーン「うん・・・。もう帰るのか。」
アイビー「私、ホントに大丈夫ですから。タクシー呼びますし。」
ジーン「いいよ。送っていく。これから仕事?」
アイビー「うん・・・。」
ジーン「家でいいの?」
アイビー「うん。」
ジーン「わかった。じゃあ行こうか。」
アイビー「ありがとう・・・。」
ジーン「うん。母さんも、あんまりアイビーのこと困らせるなよ~。」
ジェニファー「わかってるわよ。アイビーちゃん、また遊びに来てね。」
アイビー「はい。お邪魔しました。」
車に乗り込む。
ジーン「忘れ物ない?」
アイビー「うん。大丈夫。」
ジーン「じゃあ行くよ。」
アイビー「はい。お願いします。」
ジーン「今日はなんの撮影なの?」
アイビー「来年出る・・・写真集の・・・。」
ジーン「そっか。忙しいんだね。」
アイビー「うん・・・。」
ジーン「・・・もしかしてさ・・・。」
アイビー「・・・うん。」
ジーン「部屋、みた?」
アイビー「うん・・・・////」
ジーン「マジかw うわ~。超はずいな・・・//// 母親にエロ本見つかったときより恥ずかしいわ////」
アイビー「・・・・ごめん。」
ジーン「いや・・・どうせ母さんだろ?全く・・・、なに考えてんだか。」
アイビー「ジェニファーさん・・・すごくジーンのこと想ってるよ。心配してる。」
ジーン「そうだな~。俺もこの年で親に心配かけて・・・。ダメな男だよなw」
アイビー「ううん。そんなことない。」
アイビー「ジーンは立派だよ。すごく立派。」
ジーン「いやいやw」
アイビー「私、なにも知らなかったから。ジーン、いろいろ大変だったんだね。」
ジーン「・・・・生まれたときから貧乏だったから、そんなに苦労したとは思ってないけどな。」
ジーン「アイビー。」
アイビー「うん?」
ジーン「母さんのこと・・・めんどくさいとは思うけど、よろしく頼むな。」
アイビー「めんどくさいなんて思ってないよ。私も、友達ができて嬉しいんだ。」
ジーン「そっか。・・・・ありがとな。」
アイビー「うん。」
アイビー「暖炉、早くくるといいね。」
ジーン「ああ。そうだなw」