Blue sky -sims3 story- へようこそ。
このブログはElectronic Arts社から発売されているPCゲーム「ザ・シムズ3」を使用したドラマ形式のストーリーブログです。
個人のファンサイトですのでEA社とは一切関係ありません。

〈 注意!〉
作中には卑猥な表現、画像も含まれております。
苦手な方はどうぞお引き取り願います。

2021/10/30

アイスブルーの瞳

 


ん・・・?

ああ・・・また夢か。

この景色は・・・スターライトショアだ。

懐かしい夕日の色。

あの街を出てもう7年か・・・・。





リア・・・・?

髪の色、変えたんだな。よく似合ってる。

小さな女の子を抱いてる・・・俺が前に予知夢でみた、あいつとの間にできた子供か。

この夢は未来・・・いや、たぶん今とそう変わらない時代だ。





あいつだ・・・。

もう一人子供が?

男の子だな。





旦那の帰りを玄関の外まで迎えに行くなんて・・・なんて甲斐甲斐しい妻だ。

いい奥さんになったな。






幸せそうな笑顔だ。

よかった。

君が幸せなら俺はそれでいい。

こうして同じ空の下、生きていられればそれで。






愛する男と、かわいい子供たちと・・・君の笑顔がいつまでも続けばいい。

ずっと・・・。







目を覚ましたアランがベッドから起き上がる。







アラン「(リアの夢・・・あの街を出てからはじめてみた。予知夢というか・・・たぶん今のリアを見たって感じか・・・。)」












窓辺に立ち外を見る。

空は薄っすらと明るくなりはじめている。








アラン「(過去世(むかし)からそうだった。リアはいつもまっすぐで、愛情に溢れている。)」









アラン「(そして俺はいつもそれが枯渇している・・・。)」






























空はすっかり明るくなり、もうすぐ太陽がてっぺんへ登ろうとしている。






















いつもと同じ一日が始まり、アランが洗濯物を干す。












家の前に一台のタクシーが停車する。











タクシーから降りてきた男が家の中へ戻るアランへと声をかける。

マッテオ「こんにちは、シルバーさん。」











アラン「・・・あんたか。」

マッテオ「考えていただけましたか?」










アラン「ひとつ聞いていいか?」

マッテオ「はい。」

アラン「俺がDNA鑑定を断ったらどうなる?」









マッテオ「子供やマジソン家には二度と関わらないという契約書にサインしていただきます。」

アラン「子供はその後どうなる?」









マッテオ「本当の父親が見つかり引き取られる以外はすべて、里親へ出される予定です。」

アラン「・・・・。」

マッテオ「そして本当の父親もそうでなかった場合でも、二度と子供には会えません。そのことも契約書の内容に含まれています。」









アラン「・・・・。」












マッテオ「鑑定を受けていただけますか?もちろん、結果を知ってからどうするか決断していただいて構いません。」

アラン「・・・・。」

マッテオ「どういたしますか?」






















エル病院。
パラダイス島にある総合病院だ。
建物の中から二人が出てくる。













マッテオ「ご協力ありがとうございます。結果は1週間ほどでわかりますので、またご連絡させていただきます。」









アラン「俺で何人目だ?」

マッテオ「子供の父親候補ということですか?」

アラン「そうだ。」










マッテオ「これは個人情報ですし・・・。」

アラン「言えよ。」

マッテオ「・・・・。」









アラン「俺はあの女の恋人なんかじゃない。金で買われてただけだ。あんたもとっくに調べてるんだろ。」

マッテオ「・・・・はい。」

アラン「俺のほかに何人いた?」











マッテオ「だいたいの期間ですので確かではないですが・・・妊娠期間から推測して、候補者はあと2人いました。」

アラン「・・・・。」

マッテオ「ただし、確認できたのは一人です。」








アラン「・・・どういう意味だ?あと一人はどうした。」











マッテオ「すでに亡くなっておられました。」












アラン「・・・・・。」

マッテオ「まぁ、その方が父親という確率は低いかと思われます。前回も申し上げたとおり、あなたが一番可能性が高いので。」

アラン「・・・・・。」









マッテオ「では、私はこれで。1週間後にご連絡致します。」


























アラン「・・・・。」




























その晩。
























アランのバーは外まで賑わう声が聞こえている。











ジャスミン「あんた、名前なんていうの?」

アラン「シルバーです。」

ジャスミン「バカね、ファーストネームに決まってるでしょ。」

アラン「・・・・アランです。」









ジャスミン「聞いてよアラン。ガールズバーとキャバクラの面接全部落ちたんだけど。」











アラン「それは残念でしたね。(いきなり呼び捨てかよ・・・。)」










ジャスミン「信じられない。この街の店のオーナー、ホント見る目ないわよ。」

アラン「リゾート地なのでシーズン中に出稼ぎに来る若い女性が多いんですよ。」










ジャスミン「なによそれ。私が年食ってるとでもいいたいわけ?失礼しちゃう。」

アラン「そういうわけではないですが・・・あなたに合う仕事は別にあるかもしれませんよ。」

ジャスミン「ふん。熟女専なんて100年早いわよ。」









アラン「いえそういうことではなくて。」

ジャスミン「じゃあどういう店よ。」

アラン「夜の仕事より、昼間の仕事も探してみたらいいんじゃないですか?」









ジャスミン「昼間?私働いたことないわよ。」

アラン「アルバイトも、ですか?」

ジャスミン「あ!早朝の新聞配達なら小学生の頃やったことあるわ。あと高校の頃に近所の子のベビーシッターも。」

アラン「・・・・。」







アラン「夜のお仕事は女性にとっては色々と大変でしょう?はじめてでも、日中の仕事をなにかはじめてみたら適職も見つかるかもしれませんよ?子供の頃に夢見ていた職業とかあるでしょう?」











ジャスミン「子供の頃の夢ねぇ~・・・・。私、司書になりたかったの。」










アラン「へぇ~。」

ジャスミン「意外でしょう?本を読むのが好きだったのよね。それぐらしか趣味がなくて。」

アラン「いいじゃないですか。司書。」







ジャスミン「今からじゃもうさすがに目指すのは無理よ。」

アラン「本屋さんとか。アルバイトもあるんじゃないですか?」

ジャスミン「稼げるかしら?」










アラン「いや、それはどうでしょうね。」

ジャスミン「難しいか~。」









ジャスミン「あ、ねぇアラン。」

アラン「なんですか(またか・・・。)」

ジャスミン「おなかすいてきちゃった。なにか適当に作ってよ。」

アラン「かしこまりました。」







数分後にジャスミンのテーブルの前におつまみを置く。

アラン「お待たせしました。」

ジャスミン「なにこれ。」

アラン「オニオンリングです。」

ジャスミン「そうじゃなくて。あんた今チンしたでしょ。」

アラン「なにか不満でも?」







ジャスミン「・・・しょうがないわね。いただくわよ。」

アラン「・・・・。」

ジャスミン「あんた料理とかしないの?」

アラン「・・・あまりしないですね。」







ジャスミン「まぁこれも味は悪くないけど。せっかく繁盛してるんだしもっと手料理とか出したらいいんじゃないの?」











アラン「そうですね。(めんどくせー。)」

ジャスミン「私少しなら料理できるし、この店で働いてあげてもいいわよ?」










アラン「今は一人で十分やっていけてるので。」

ジャスミン「冗談に決まってるでしょ。」

アラン「・・・・。」










アラン「(オーナーの方針だからこんなだけど、昔の俺ならとっくに追い出してる。この女リサに似てるんだよな。)」














アラン「(おしゃべりだし品がない。悪い奴じゃないけど好きになれないタイプ。)」











翌日。
天気のいい午後。










スーパーマーケットから荷物を抱えたアランが出てくる。
自分の店の買い出しのようだ。











店の入り口でふと足を止め、目の前の公園をじっと見つめる。












アラン「(あの弁護士、あんなとこでなにしてんだ?1週間この街に滞在してんのか・・・。)」













公園のベンチに座るマッテオがブランコに乗る少年を見つめている。




























マッテオ「(ん?あれは・・・・。)」

マッテオもまたスーパーマーケットの駐車場へ向かうアランに気付く。












マッテオ「シルバーさん。」














アランが立ち止まり振り返る。

マッテオ「お買い物ですか?」

アラン「ああ。あんたは?1週間この街で休暇か?












マッテオ「それもありますが、他にも。」

アラン「・・・・。」














マッテオ「アリエル マジソンの子供をいまは私が面倒をみているんですよ。」














アラン「は?なんであんたが?」

マッテオ「まぁ、私にも色々ありまして。」

アラン「・・・・。」












マッテオ「聞きたいですか?」

アラン「別に。」

マッテオ「気になることがあればいつでもご連絡ください。話せる内容であればいつでもお答えします。」












公園から出てきた少年がいなくなったマッテオを探して二人の背後に近づく。













マッテオ「ああごめん。一人にしてしまったね。」


少年が無言のままアランを見つめる。




























瞳の色は母親と同じだが、顔かたちはまるで子供の頃のアランにそっくりだ。













アラン「・・・・・。」












マッテオ「シルバーさん。今お時間ありますか?」

アラン「・・・・なんで?」

マッテオ「あなたにお話ししておきたいことがあります。」













マッテオ「これは弁護士としてではなく、私個人としてのお話です。」

アラン「・・・・。」