Blue sky -sims3 story- へようこそ。
このブログはElectronic Arts社から発売されているPCゲーム「ザ・シムズ3」を使用したドラマ形式のストーリーブログです。
個人のファンサイトですのでEA社とは一切関係ありません。

〈 注意!〉
作中には卑猥な表現、画像も含まれております。
苦手な方はどうぞお引き取り願います。

2021/12/31

陽はまた昇る

 





















エレベーターを降り静かなフロアへやってくる。
隣のニューハーフバーはまだ開いていない。













鍵を取り出しドアノブに手をかける。
















アラン「(この鍵、古くて開けにくいんだよな・・・。そろそろマスターに言って換えてもらうか・・・。)」

アランが鍵を開けるのに手こずっていると、エレベーターのドアが開き誰かがフロアへ入ってくる。













男がアランの後ろで立ち止まる。

アラン「すみません、うちの店はまだ開店前で・・・。」

男「アラン シルバー、ずっと君を探してたんだよ。」











アラン「 え? 」

振り返った瞬間男が勢いよくアランに体を寄せる。















男「教えてよアラン。デュアンは死ぬときどんな顔をしてた?」





























アランが刺された腹部に手を当て、血で濡れた掌を見つめる。
















アラン「あっ・・・・。」















思わず後ろに倒れ掛かり勢いでドアが開く。
続いて男が店に入りドア付近にある店の電気を付ける。














アランが身体を引きずりながら後ろへと後退する。
傷口からドクドクと血があふれ出すのを必死で押さえる。


アラン「エリーク・・・お前、俺になんの恨みが・・・・。」












エリーク「へぇ~、俺のこと憶えてたんだ?とっくに忘れ去られてるかと思った。」















アラン「デュアン・・・・か。」















エリーク「彼を殺したのは君だろ?」

アラン「違う。」

エリーク「嘘つき。僕は全部知ってるよ。」












アラン「なんでお前があいつのことを・・・。」

痛みをこらえながらエリークをにらみつける。

エリーク「彼のお気に入りは自分だけだと思った?」













エリーク「デュアンは人を騙すのがうまいからね。きっと愛してるのは君だけだと言われてたんだろ。でも違う!」















エリーク「君があの店に来るまでは僕が一番のお気に入りだったんだ。なのに、君が現れたせいで!」














アラン「あいつがそう言ったのか?・・・俺とのこと。」

エリーク「彼はなにも言わないさ。聞いてもきっと誤魔化すに決まってる。」













エリーク「一度彼のあとをつけたことがある。そしたら君と逢っている彼を見た。・・・まぁ、彼はいろんな人間と会うから、全員とそういう関係ってことはないけど。でも僕にはすぐにわかったよ。彼が君と身体の関係だってことを。」












エリーク「デュアンのタイプは色白で細身の金髪だ。でも・・・君なんてただ顔がいいだけじゃないか。愛想もないし。」













エリーク「それにその目。いつも人を馬鹿にしたような目で見てる。僕は君のその生意気な目がすごくムカつくってずっと思ってたんだ。」

アラン「・・・・。」













エリーク「デュアンがいつでも僕のところに戻ってこれるように僕はずっと待ってた。なのに・・・君が彼を殺した。」













アラン「・・・アリエルは?」

エリーク「は?」

アラン「アリエルとのことは、ホントか?」















エリーク「ああ、あの女ね。一度会ったことはあるよ。美人だからよく覚えてたんだ。」

アラン「アリエルとのことは全部嘘か・・・。」















エリーク「僕が女と寝るわけないだろ?弁護士がデュアンのことを調べてるって聞いて近づいたんだ。そしたら当たりだったってわけ。」
















エリーク「あの子供をみてすぐにわかったよ。君にたどり着けるって。」

アラン「・・・・。」
















アラン「デュアンはお前が思っているような人間じゃない・・・。あいつは危険な男だった。あいつから離れられたあんたはラッキーだったんだ。」

エリーク「デュアンのことを知っているような口を聞くな!」

アラン「あの男は自分以外の人間すべてを利用して生きてた。あいつに薬漬けにされて・・・ボロボロになるまで利用された人間を俺は知ってる。」










エリーク「一部だろ。僕や君のようなお気に入りにはそんなことしないさ。」

アラン「違う。」

エリーク「だから彼を殺したの?自分もそうされそうになったから?」

アラン「・・・・。」











エリーク「仮にもしそうだったとしても僕は彼を愛してたからべつにいいよ。君は違ったんだねアラン。」















エリーク「可哀そうなデュアン。愛されてもいないお気に入りのペットに嚙み殺されたんだ・・・。」















アラン「・・・俺をどうする気だ?」

エリーク「ん?君はどうしてほしい?」












エリーク「僕に真実をすべて話して命乞いでもしてみる?」
















アラン「そんなことをしてもお前は俺を殺すだろ。」















エリーク「ああそうだね・・・たぶん。だって僕は君が嫌いだから。デュアンが僕の元を去ってからずっと君を憎んできたんだ。」












エリーク「彼が失踪してからも僕は心配でずっと探してたんだ。店のみんなは色々噂してたけど・・・事故なわけない。死体が発見されたときすぐに君だと思った。」

アラン「・・・・。」

エリーク「でも・・・警察に話しても証拠がなくて、結局相手にもされなかった。デュアンがまさか男好きなんて、店のみんなも誰も信じてもくれなかったんだ・・・。」













アラン「俺の知ってることは警察にすべて話した。殺ったのは俺じゃない。」













エリーク「そんな状態でまだしらばっくれるんだ?」















アラン「俺を殺すつもりならさっさとやれ。」

エリーク「はははっ。そんな風に言われたらもっと苦しませたくなるってわからないの?」














エリーク「いいこと思いついた。」

アラン「・・・。」

エリーク「殺す前に君を犯してあげる。」

アラン「は・・・?」











エリーク「僕はネコだけど経験がないわけじゃないから大丈夫だよ。」

アラン「やめろっ。近寄るな!」

エリーク「動いたらもっと血ぃでちゃうよ?」






 





アラン「俺に触るな!」















エリーク「汚い手で、って?ねぇ、汚いのはどっち?君は金をもらって抱かれてたんだよね?好きでもない男や女たちに。」















エリーク「薄汚い野良猫。僕に犯されるのはどんなに侮辱的だろうね。君のその美しい顔を歪ませてあげる。」













アラン「俺に触れたらお前のイチモツを二度と使えないようにしてやる。」

エリーク「僕のものには触れされないよ。君の両手を縛ればいい。」












アラン「お前にヤられるくらいなら舌を噛んで死んでやるさ。」















エリーク「どこまでも威勢がいい野良猫ちゃんだね。そんな生意気な口二度と聞けないように、口を切り裂いてあげようか。」














エレベーターがフロアで停まる音がしてふいにエリークが立ち上がる。















エリークがドア横の壁にピタリと張り付く。
エリークが離れたことで気が緩んだアランがゆっくりと崩れ落ちる。












ポーター「アランいるか~?いい酒が手に入ったから店に・・・。」














ポーター「アラン?!おい!どうしたんだ!!」

倒れこむアランの姿に気付き急いでオーナーが駆け寄る。














その隙にエリークが店から出る。

ポーター「アラン!大丈夫かアラン!!」

アラン「・・・ポーターさん・・・・あいつが・・・。」

ポーター「え?なんだって?!」













ポーター「今救急車呼ぶからな!」

立ち上がりポケットからスマホを取り出す。
















アラン「(ああ・・・・手足が痺れて感覚がなくなってきた・・・・。)」













アラン「(ねみぃ・・・。俺もう死ぬのかな・・・・。リアごめん。幸せになるって約束・・・果たせそうにないや・・・・。)」















一階のドアを開けてマッテオがビルのエントランスへ入ってくる。

マッテオ「おっと・・・失礼。」

慌てて出ていく男とぶつかりそうになり思わず謝る。












立ち止まり走り去る男の後ろ姿を見つめる。

マッテオ「(今の・・・・。)」















マッテオ「(エリーク ハーモン・・・・・。何故彼が・・・・。)」














マッテオがアランの店のフロアへやってくる。

ポーター「まだ意識はあるけど出血が多い。急いでください!」












マッテオ「シルバーさん?!どうしたんですか!」

アランの姿に気付きマッテオが駆け寄る。














アラン「ああ・・・・あんたか・・・・。」














マッテオ「どうしてこんな・・・。」

先ほどすれ違ったエリークの姿を思い出し、マッテオが混乱した表情を浮かべる。














アラン「あんたに・・・伝えたいことがあるんだ・・・・。」

マッテオ「シルバーさん、動かないでください!」

アラン「あの女は・・・アリエルは・・・エリークとは寝てない。」

マッテオ「 え? 」










アラン「アリエルは・・・あんたが思ってた通りの女だった。・・・純粋で・・・愛情深い・・・いい女だったよ。」












マッテオ「シルバーさん、僕もあなたに伝えたいことがあります。」

アラン「・・・。」

マッテオ「さっき病院に行ってきたんです。もう結果が出たので本当は明日伝えるつもりでした。」











マッテオ「あなたのDNA型がミカエルのものと一致し、肯定確率99.8%という結果が出ました。ミカエルの父親はあなたです、シルバーさん。」















アラン「そっか・・・・。」

マッテオ「ミカエルがあなたの帰りを待ってるんですよ!死んではだめです!」














アラン「俺の・・・・。」














マッテオ「シルバーさん!シルバーさん!!」





















































数日後。
パラダイス島の静かな墓地の一角にマッテオたちが佇んでいる。



































ミカエルはアランからもらったテディーベアを大事そうに抱えている。

















ポーター「さっき知り合いの刑事から聞いたんだが、昨夜犯人が捕まったそうだ。」

エミリー「そう。」

ポーター「彼の証言のおかげですぐに特定できたらしい。不幸中の幸いってところか。」












エミリー「あの店はどうするの?」

ポーター「あのテナントは売ることにした。」

















ポーター「殺人事件のあった店ではさすがに営業は続けられないよ。アランのおかげで繁盛してたし、いい店だったけどな・・・。」

エミリー「そうね・・・。残念だわ。」














エミリー「アランの家は?たしか、あそこもあなたの借家よね。」

















ポーター「ああ。あの家は特に問題ないから、また誰かに貸すかな。」

エミリー「そう。」

ポーター「君はこれからどうするんだ?まだゲストハウスに住んでるんだろ?」














エミリー「ええ。」

ポーター「元々旅行者だったよな。元の街に帰るのか?」

エミリー「ん~・・・。まだ決めあぐねてるの。」














ポーター「ここでは色々あったもんな・・・。元の街で、前の生活に戻るのが一番じゃないか。」


















エミリー「・・・・。」



















エミリー「オーナーってバー以外にもお店持ってるのよね?」

ポーター「ああ。飲食とかアパレルとか、わりと手広くやってるよ。」

エミリー「なにかいい仕事があったら紹介してくれる?どこの街でもいいから。」

ポーター「いいよ。連絡先を交換しておこうか。」

エミリー「ありがとう。助かる。」











マッテオ「ミカエル、よく聞いて。」

ミカエル「・・・・。」


















マッテオ「君の里親が決まったんだ。子供のいないご夫婦でね、ちょっと年をとっている人たちだけど、とても優しい方たちだよ。」

ミカエル「・・・・。」

マッテオ「大丈夫。僕は時々君に会いに行くから、ふたりでまたここに君のパパに会いに来よう。」











ミカエルが頷く。

マッテオ「君のパパはとても素敵な男性だった。たった1週間だったけど、僕は君のパパと出逢えてとてもいい経験ができた。君もそうだよね。」












マッテオ「きっと天国でママとパパと二人で君の成長を見守ってくれているよ。」

ミカエルが頷く。

マッテオ「そろそろ行こう。」
















4人が墓地を後にする。
ミカエルが去り際に振り返りアランの墓を見つめる。


















海の見える小高い丘に建つパラダイス島の墓地には色とりどりの花が咲き乱れ、鳥のさえずりが聞こえる。
墓地を後にする4人に、心地よい海からの風が吹いた。