アダム「まだぁ?」
アイビー「きっともうすぐ来るよ。」
アダム「もうちゅぐ?」
アイビー「うん。」
ダイナーのドアが開いてアンドレアを抱いたララが入ってくる。
アイビー「アダム、ララたち来たよ。」
アイビー「おはようララ。」
ララ「おはようアイビー。」
アイビー「ゆうべは眠れた?」
ララ「全然。」
アイビー「そっか・・・。そうだよね・・・。」
ララ「ええ。」
ウェイターが席へとやってくる。
ララ「コーヒーをひとつ。」
ウェイター「かしこまりました。」
アイビー「考えてくれた?」
ララ「ええ。おかげで一睡もできなかったわ。」
アイビー「・・・ごめんね。急に呼び出しといて答えも急かして・・・。」
ララ「ホントよ。数年ぶりに会ったと思ったら・・・まさかの告白だったわ。」
アイビー「うん・・・。」
ララ「それで・・・?私はなにをすればいいの?」
アイビー「引き受けてくれるの?」
ララ「ええ。」
アイビー「ありがとうララ。」
ララ「礼は終わってからにして。途中で気が変わって帰るかもしれないからw」
アイビー「うんっ!」
ローガンの家の玄関のチャイムが鳴る。
ローガンが階段を駆け足で降りてくる。
ローガン「(こんな時間に誰だ?荷物の宅配なんかなかったよな・・・?)」
もう一度チャイムが鳴る。
ローガン「・・・ったく。今行くって。」
玄関のドアを開けてローガンが目を見開く。
ローガン「・・・・ララ?」
ララ「おはようローガン。」
ローガン「なんでお前がここに・・・・。一体どうしたんだ?」
ララ「アイビーに頼まれてきたのよ。数日この家で家政婦の仕事を代わってほしいって。」
ローガン「アイビーが・・・?(代わりのお手伝いさんって・・・ララか。それにしてもなんでララが・・・。)」
ララ「入れてくれないの?外寒くって。」
ローガン「ああ・・・。入れよ。」
ララ「お邪魔します。」
ローガン「いらっしゃい・・・。」
ララ「この街って気温差が激しいのね!朝がこんなに冷えるとは思わなかったわ。」
ローガン「ああ・・・。乾燥地帯だからな。」
アンドレアがララの後ろに隠れる。
ララ「アンドレア、ローガンに挨拶は?」
アンドレア「・・・・。」
ローガン「・・・?」
ララ「アンドレア・・・?」
ローガン「人見知りしてるんだろ。」
ララ「人見知りするような子じゃないのよ?」
ララがしゃがみ込む。
ララ「どうしたのアンドレア?」
アンドレア「ママぁ、この人怖い人?」
ララ「どうして?怖くなんてないわよ?」
アンドレア「でもこの前ママ泣いてたわ。」
ララ「 ! 」
アンドレア「怖い人じゃないのぉ?」
ララ「違うわ。この人は昔からのママのお友達よ。」
アンドレア「ホントにぃ?」
ララ「ええ、本当よ。アンドレアにもきっと優しくしてくれるわ。」
ララ「アンドレア挨拶できる?」
アンドレア「うんっ!」
ララ「いい子ね。」
アンドレア「こんにちわぁ。」
ローガン「アンドレアか。」
アンドレア「うんっ!」
ローガン「いい名前だ。」
アンドレア「えへへっ。」
ローガン「俺はローガンだ。よろしくな。」
突然チャイムの音が鳴り響いた。
正面玄関のチャイムとは別の音だ。
ローガン「すまん。仕事の客だ。」
ララ「そうなの。」
ローガン「部屋まで案内してやれない・・・。それからこの家に客間はないんだ。」
ララ「気にしないで。」
ローガン「アイビーの部屋を使ってくれるか?二階の左奥の部屋だ。」
ララ「わかったわ。」
ローガン「あとは適当にやっといてくれ。」
ララ「ええ。」
ローガンが足早に事務所へと繋がる扉へ入っていく。
ララ「アンドレア、よく聞いて。」
アンドレア「なぁに?」
ララ「ローガンのことはパパって呼んじゃだめよ。」
アンドレア「どうしてぇ?」
ララ「誰にでもパパっていうのをやめて。わかった?」
アンドレア「はぁい・・・。」
ララ「いい子ね。」
アンドレア「ママ、これからこのおうちに住むのぉ?」
ララ「す、少しの間だけよ。」
アンドレア「少しってどのくらい?」
ララ「3回眠ったら。そしたらおうちに帰りましょうね。」
アンドレア「はぁい。」
ララ「いらっしゃい、おうちを見て回りましょ。」
アンドレア「うんっ!」
ララ「素敵なおうちね。」
アンドレア「ねー!」
ララ「右の扉はランドリールームとトイレで・・・ここはキッチンとダイニングね。」
ララがアンドレアを抱いて二階へと上がっていく。
ララ「確か二階の右奥だったわよね・・・。」
ララ「あら・・・?」
ララ「お部屋間違えちゃったみたい。ここはきっとローガンの部屋ね・・・。」
ララの腕をするりと抜けてアンドレアが駆け出す。
アンドレア「ママだぁ!」
ララ「え?」
サイドテーブルの写真が目に飛び込んでくる。
ララ「これ・・・・。」
ララ「(ローガン・・・・あなたも・・・・。)」
1時間前。
ダイナーの前でララの乗ったタクシーを見送る。
アイビー「(どうか・・・うまくいきますように。)」
アダム「かえゆ?」
アイビー「帰らないよ。」
アダム「かえやない?」
アイビー「うん。これから二人でブリッジポートに行くんだよ。」
アダム「ぽーと?」
アイビー「そうだよ。この前行った街。覚えてる?」
アダム「あむ・・・。」
ちょうどやってきたタクシーへと乗り込む。
タクシーは二人を乗せて空港へと走った。
ローガンが事務所と繋がるドアから出てくる。
キッチンでコーヒーを淹れていると、アンドレアを抱いたララがやってくる。
ララ「なにかお手伝いする?」
ローガン「頼む。」
ララ「コーヒーを持っていけばいいのね?」
ローガン「ああ。」
ララ「わかったわ。」
ローガンが事務所へと戻る。
客「 ? 」
ローガン「コーヒーなら今来ますよ。」
ララ「失礼します。」
4回ノックした後にドアが開いてララが入ってくる。
ララ「どうぞ。」
客「ああ・・・ありがとう・・・。」
ララが部屋を出ていく。 ララの後ろ姿を見つめていた客がローガンへと目を移す。
客「いつのまにあんな美人と?!」
ローガン「違いますよ。彼女はただの手伝いです。」
客「いつもの金髪はどうしたんだ?」
ローガン「彼女は休暇中です。今のは代わりに来てもらってる友人ですよ。」
客「全く、なんで君にはあんな美人ばかり寄ってくるのか。」
ローガン「学生時代からの古い友人です。それに彼女は既婚者ですよ。」
客「そうなのか~。残念だな・・・。」
ローガン「(やっぱりその気だったんだな。)」
客「他に美人の知り合いがいたら是非紹介してくれ。」
ローガン「探しておきますよ。」
客「よろしく頼むよ。浮気しない女、な!」
ローガン「はいはい。」
ララ「・・・・。」
ララ「さて・・・まずは洗濯からね。アンドレア、いい子で遊んでいてね。」
アンドレア「はぁ~い。」
ラッキーパームス空港。
出発ロビーでは出発のアナウンスを待つ人々でにぎわっている。
ソファーに座ってアダムが大人しく飛行機が飛び立つのを眺めている。
アイビー「(家のことは一通りララにメッセージしたし大丈夫かな。なにかあったら連絡くれるはずだし・・・。あと、忘れ物なかったよね・・・?)」
アイビー「 ! 」
なにかを思い出したかのようにアイビーが思わず口に手を当てる。
アイビー「(ロミオの家の鍵、この前ブリッジポート行った時のカバンに入れっぱなしだ!)」
アイビー「(どうしよう・・・家に入れない・・・・。ホテルに泊まるか・・・・。)」
アイビー「(とりあえず予約しとかないと・・・。クリスマス時期だし、取れるかどうかも微妙だけど・・・。)」
アイビー「・・・すみません、予約したいんですけど。・・・今日から明後日までの3日間です。」
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