ドキドキ

ネオが店の前で車から降りる。
タクシーがエンジン音を唸らせて去っていった。


ネオ「　（住所はここで合ってるよな。アイビーの指定した店・・・雰囲気が怪しいけど大丈夫なのか？）　」

ネオ「　（とりあえず入ってみるか・・・。）　」

ネオが店内に入る。


マスター「いらっしゃい。」

ネオ「こんばんは。」

ネオ「あの、アイビー・スカイブルーの連れの者ですけど・・・来てますか？」

マスター「お兄さんね。」

ネオ「はい。」

マスター「一番奥の個室よ。お酒持って行くけど、なにがいいかしら？」

ネオ「あ、飲めないのでウーロン茶でお願いします。」

マスター「ウーロン茶ね。了解。」

ネオが奥の部屋へ向かう。


マスター「　（ザルのサムと下戸のお兄さんね・・・。）　」

マスター「　（雰囲気がアイビーちゃんそっくりね。なかなかいい男じゃないの。サムにはもったいないわね。）　」

ネオが個室に入っていく。


アイビー「あ、お兄ちゃんやっと来た！」

ネオ「遅くなってすまん。・・・・えっと・・・。」

アイビー「お兄ちゃんこちらモデル仲間のサムちゃん。」

サマンサ「はじめまして～。サマンサ・マジェンタです。」

ネオ「あ・・・はじめまして。アイビーの兄のネオです。」

アイビー「お兄ちゃん彼女いないって言ってたからサムちゃんを紹介しようと思って、ディーンには今日は遠慮してもらったんだｗ　」

ネオ「え・・・？」

サマンサ「すいません・・・。ご迷惑でしたか・・・？」

ネオ「いえ、迷惑なんてとんでもない・・・。（アイビー・・・なんていい妹を持ったんだ俺は・・・。）　」

サマンサ「よかった～。」

ネオ「すいません。急なことで驚いてしまって・・・。（やばい・・・泣きそうだ。）　」

アイビー「お兄ちゃんも突っ立ってないで座って座って。」

ネオ「あぁ・・・。」

サマンサ「今日はお仕事だったんですか？」

ネオ「はい。取引先に挨拶に行ってて。すいませんお待たせして。」

サマンサ「ふふっ。大丈夫ですよ。私も遅れて来たし。」

ネオ「サマンサさんもお仕事だったんですか？」

サマンサ「はい。撮影が２時間も押しちゃって。」

ネオ「モデルって大変なんですね。」

サマンサ「私のこと、ご存知でした？」

ネオ「・・・すいません・・・。芸能関係には疎くて・・・。」

サマンサ「そうなんですか。なんか、安心しましたｗ」

ネオ「え？」

サマンサ「こういう業界ってゴシップも付き物でしょ？ああいうのは事実もあるけど大半が大げさに書かれてるだけだから。」

ネオ「そうなんですね。」

サマンサ「モデル業界は今流行りだからテレビへの露出が増えてて、ゴシップもすごい多いんですよ。」

ネオ「へぇ～。大変なんですね。」

サマンサ「ネオさんはなにか趣味とかあるんですか？」

ネオ「趣味・・・ですか。体鍛えるくらいですかね。あとは・・・ドライブが好きですね。」

サマンサ「ドライブ、私も大好きです♪」

ネオ「そうなんですか？車お持ちなんですか？」

サマンサ「はい。時々一人で夜景を見に行ったりしてますよ～。ブリッジポートの夜景は世界一だから♪」

ネオ「夜景いいですね。俺も好きです。」

サマンサ「ホントに？今度一緒に見に行きましょうよ。私車出しますからｗ」

ネオ「是非行ってみたいですね。」

サマンサ「ブリッジポートへはよく来られるんですか？」

ネオ「出張は半年に１回くらいですかね～。」

サマンサ「そうなんですか～。」

ネオ「でも前からこっちの本店に移りたくて希望は出してるんですけどね。なかなか・・・。」

サマンサ「へぇ～。」

ネオ「まぁ３時間で来れるし、また遊びに来ますよ。」

サマンサ「ホントに？じゃあまた三人で是非飲みましょうよ。」

ネオ「是非是非。お酒飲めないですけどねｗ」

サマンサ「そうなんですか～？アイビーちゃんと一緒ですねｗ」

ネオ「そうですねｗ　母親が下戸なので、遺伝みたいですねｗ」

サマンサ「へぇ～。」

ネオ「サマンサさんはお好きなんですか？」

サマンサ「私はザルなんですよ～ｗ　テンションあがるくらいで。」

ネオ「へぇ～。羨ましいな。男は仕事のつきあいで嫌でも飲まされますからねｗ」

サマンサ「そっか～。大変ですねｗ」

ネオ「ホントですよねｗ」

アイビー「　（二人とも、いい感じみたい。サムちゃんもムリしてなさそうだし、お兄ちゃんのこと気に入ってくれたのかな？なんか安心した・・・。）　」

ラトーシャとジムが映画館から出てくる。

ジム「映画、面白かったですね。」

ラトーシャ「ですね！私アクション好きなんですよｗ」

ジム「ホントですか？自分もああいうののほうが好きですね。」

ジム「とくにラストのカーチェイスのシーンがすっごく迫力あってよかったですね！」

ラトーシャ「わかる！私もあそこが一番興奮しましたｗ」

ジム「ですよね～。かっこよかったですね！」

ラトーシャ「はいｗ」

ラトーシャ「この映画、絶対観ようって決めてたから、早めに観れてよかったですｗ」

ジム「そうなんですか。」

ラトーシャ「好きな監督の作品なんですよ。」

ジム「へぇ～。さすが、詳しいんですね。」

ラトーシャ「好きなやつだけねｗ」

ジム「そろそろおなかすきましたね。」

ラトーシャ「そうですねｗ」

ジム「どっか食べに行きますか。」

ラトーシャ「はい。」

ジム「この近くにうまい食堂あるんですよ。小奇麗なとこじゃないんですけど・・・。」

ラトーシャ「全然いいです。そういうところのほうが落ち着くしｗ」

ジム「ホントですか？よかったｗ」


二人が信号を渡る。

キキーッ！


ジム「危ない！」

ラトーシャ「きゃっ！」


ジムがラトーシャの体を抱き寄せる。

ジム「大丈夫ですか？！」

ラトーシャ「・・・はい。」

ジム「ったく、ホントにこの街のタクシーは運転が荒いな～。今の、タクシー会社にクレームの電話をしないと。」

ラトーシャ「・・・・。」

ラトーシャ「　（びっくりした・・・・。ジムさんの腕・・・大きくて・・・・。まだ胸がドキドキしてる・・・・。）　」