2018/05/05

眩暈





晴れた日の午後。
ブリッジポートの街を一台のタクシーが走る。









アンナ「このあとBiBiの撮影で今日は終わりね。」

アイビー「明日のスケジュールは?」







アンナ「明日はCM用のポスター撮りとインタビューが3本よ。」

アイビー「・・・次のお休みいつですか?」

アンナ「次は来週の木曜ね。」

アイビー「(来週か・・・2週間ぶり。)」






アンナ「最近目のクマがひどいわよアイビー。」

アイビー「・・・眠れなくて。」

アンナ「・・・少し仕事減らす?」






アイビー「いえ。大丈夫です。」

アンナ「・・・社長に相談・・・。」

アイビー「必要ないです。」








アイビー「大丈夫だから。」










アンナ「わかったわ。・・・ちゃんと寝るのよ。」

アイビー「はい。」







アンナ「この時間なら今日は早く帰れそうね。」

アイビー「はい。アンナさん・・・早めに上がれるようにスケジュール組んでくれて、ありがとう。」

アンナ「それが私の仕事だもの。なにかあればいつでも言って。」

アイビー「はい。」


























マロン「あれ?」











マロン「アイビーちゃん、今日顔色悪くない?」









アイビー「え?そうかな?さっきの撮影でクマ消ししてもらったから、ちょっとメイク濃いだけだと思うよ。」

マロン「え~、そうかなぁ?」







アイビー「メイク一度落としたほうがいいかな?」

マロン「ううん、大丈夫。シャドーも薄めだし、次の撮影にもそのままいけそうだから。リップだけ変えようかな。」

アイビー「わかった。」







マロン「ちょっと疲れてるんじゃない?マッサージしようか?」

アイビー「わ~助かる!お願いしていい?」

マロン「もちろん♪」







マロン「そういえばこのあいだね~。」

アイビー「うんうん。」











数時間後。

スタジオでの撮影が終盤に差し掛かっていた。


ギルバート「じゃあ次は小悪魔系のポーズで。」








ギルバート「あ~いいっスね!俺そういう感じすごいタイプッス。」













ギルバート「アイビーちゃんそういう表情も似合うんスよね~。さすがっス。」


カメラのシャッター音が連続して響く。






ギルバート「はい!じゃあ今日はこのへんで終わりましょうか。」

アイビー「は~い。」









アイビー「お疲れ様でしたー。」

ギルバート「お疲れっしたー。」







アイビー「(・・・あれ?)」


小さな段差を降りた瞬間眩暈に襲われる。







ふわりと膝をついてしゃがみ込む。

ギルバート「 ? 」







ギルバート「アイビーちゃん?・・・どうしたんスか?」

アイビー「なんか・・・目がまわ・・・る・・・・。」

ギルバート「え?」







ゆっくりとアイビーの身体が崩れ落ちる。


ギルバート「え?









ギルバート「あ・・・アイビーちゃん??え??ちょ・・・え?!」


ギルバートがうろたえだす。







ギルバート「ちょ・・・ちょっと待って!マロンさん!!」







勢いよくドアが開いて控室にギルバートが走ってくる。
手にはカメラを握ったままだ。

マロン「それでさ~。」

ジーン「?」

ギルバート「た、大変っス!!」






ジーン「どうしたの?」

ギルバート「アイビーちゃんが!ゆっくり倒れちゃって・・・。」








ギルバートが言い終わらない内にジーンが走り出す。


マロン「ゆっくりってなに?!」

ギルバート「いやホントに・・・ゆ~っくり倒れて。眩暈がするって・・・。」

マロン「え?」







ジーン「アイビー?!」

マロン「ジーンくん!アイビーちゃん大丈夫なの?!」


ジーンの後を追って二人も駆けつける。









ジーン「息はあるんですけど、意識がないみたいです。救急車お願いします!」

マロン「わかった!」







マロンがポケットから携帯電話を取り出す。


ジーン「アイビー?大丈夫か?」


ジーンが意識のないアイビーに声をかけ続ける。








マロン「もしもし?女性が倒れて意識がないんです!・・・ゆっくり倒れたっていうので、たぶん頭は打ってないと・・・。住所ですね、えっと・・・」
































アイビー「・・・ん。」

ジーン「目が覚めたか?」









アイビー「ここ・・・。」

ジーン「起きなくていいから。じっとして。」









アイビー「・・・ジーン。」

ジーン「病院だよ。アイビー、撮影中に倒れたんだよ。覚えてる?」









アイビー「えっと・・・撮影終わって、歩き出したら眩暈がして・・・。」

ジーン「そのあと意識がなくなったんだ。たぶん。」

アイビー「そうなんだ・・・。みんなは?」








ジーン「スタジオ残ってもらった。まだ撮影残ってるから。」

アイビー「・・・・!」








アイビー「ジーン、今何時?」

ジーン「10時。」

アイビー「大変っ!家に帰らなきゃ。」

ジーン「家のことなら心配するな。アンナを向かわせるからって。」

アイビー「え?」

ジーン「アイビーの事務所の社長の伝言。さっき電話あった。マロンちゃんが連絡してくれたみたいだよ。」







アイビー「そっ・・か・・・。」

アイビーがふぅと大きく息を吐いて肩を下す。








ジーン「明日の朝アンナさんが荷物もって来るって。」

アイビー「・・・え?」

ジーン「しばらく入院だって。」








アイビー「入院って・・・・私大丈夫だよ?」

ジーン「アイビー、過労で倒れたんだよ。身体が良くなるまで休まないと。」

アイビー「でも・・・。」

ジーン「入院はお医者さんの指示だから。」







アイビー「・・・・ディーンの病院ならよかった。」

ジーン「そうやって早めに退院しようとしてるんだろ。」

アイビー「・・・バレたかw」

ジーン「まったくもう・・・。」









アイビー「ジーン、ごめんね。迷惑かけちゃったね・・・。」









ジーン「まったくだ。」

アイビー「ごめん・・・。」

ジーン「ごめんじゃなくてありがとう、な。」







アイビー「ありがとう・・・ございます。」

ジーン「許す。」

アイビー「・・・w」







ジーン「・・・家のことってなに?」

アイビー「え?」

ジーン「家に誰かいるの?」








アイビー「えっと・・・実は最近・・・。」

ジーン「うん。」

アイビー「猫を拾っちゃって・・・。」

ジーン「・・・猫?」

アイビー「うん。こ・・・子猫なんだ。ほら・・・春だから。野良猫の子猫が産まれる時期でしょう?」

ジーン「飼ってるの?」

アイビー「そう。」

ジーン「ふぅーん・・・。」







アイビー「ジーン。」

ジーン「うん?」

アイビー「心配だから・・・アンナさんに電話してきてもいい?」

ジーン「いいよ。」

アイビー「ちょっと・・・出ててくれる?」






ジーン「わかった。終わったら呼んで。

アイビー「ごめんね。」

ジーン「うん。」


ジーンが部屋を出ていく。






ゆっくりとベッドから起き上がる。









荷物の中から携帯電話を取り出し、リリィに電話をかける。


アイビー「もしもし。」








リリィ『アイビー?目が覚めたのね。』

アイビー「すみません。」

リリィ『私はまだ手が離せないの。もうしばらくしたら向かうわ。』

アイビー「その必要はありません。ジーンがいてくれるし。それより入院って・・・。」






リリィ『1週間ほど入院が必要だそうよ。』

アイビー「1週間もですか?」

リリィ『医者の言うことはききなさい。詳しい話は明日私も病院に行くから、そのとき聞きましょう。』







リリィ『アダムのことなら大丈夫よ。昼はジャニスがいるし、夜はうちで面倒みることにしたわ。』

アイビー「でも・・・。」

リリィ『任せといて。私もアンナも、こうみえて子供の扱いには慣れてるのよ?』






アイビー「いろいろすみません・・・。」

リリィ『いいえ。私も気が利かなかったわね。もう少し、あなたを休ませてあげるべきだったわ。』

アイビー「いえ・・・。私、アダムのためにも稼がないと。」

リリィ『そうね・・・。あなた今うちの事務所でも1、2を争う稼ぎ頭だし・・・。本当はもう少し仕事入れたいくらいなのよ。』






アイビー「わかってます。」

リリィ『仕事の話はまた今度にしましょう。今はゆっくり休みなさい。』

アイビー「社長、私・・・弟の病院のほうが・・・。」

リリィ『それはダメよ。あなたが今いるのはミランダと同じ病院。そこのほうが設備もセキュリティーもしっかりしてるわ。」

アイビー「・・・・はい。」

リリィ『じゃあもう切るわね。また明日。』







携帯電話を見つめるアイビー。










アイビー「1週間・・・・。」
















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