その日は7月の暑い日だった。
玄関が開いて誰かが出てくる。
エレン「こんなところに・・・赤ん坊?」
エレン「かんべんしておくれよ!今年でもう2人目だよ。いくら義捐金が出るからとはいえ、赤ん坊から育てるのはホント大変なんだからね!」
この人がここ、ブリッジポート・天使の園の学園長、エレン・ブロウニングだ。
エレン「まったく・・・。また仕事が増えるよ。」
こんなことを言っているが、赤ん坊の俺の世話をしたのはこいつではなく年長の孤児たちだ。
こいつに抱かれたことは数えるくらいしかない。
エレン「おや。あんた、くるんであるタオルに名前が書いてあるね。ロミオ・・・グレイ。それがあんたの名前かい。まったく捨て子のくせに、大そうな名前だね。」
ロミオ・グレイ。
これが赤ん坊の頃の俺だ。
生まれて4ヶ月でここに捨てられた。
学園長はこのあと念のためにグレイという苗字の人物がいないか、市役所をあたってみたが、どうやらこの街の住人にはいなかったらしい。
親の顔も知らない。
どんなやつだったのかも。
7年が過ぎ、俺は小学校へ上がった。
俺はここが嫌いじゃなかった。
大人は嫌いだったが、年長生は意外にも優しかった。
きっと皆そうされてきたんだろう。
俺の仲間たちも悪いやつはいなかった。
いろいろ大変なことも多いけど、生まれてすぐにここに来たから、それがどんなに大変かということもわからなかった。
学校へ行くようになってから、俺たち孤児に対する周りの目が違うことを知った。
学校では大人しくしていればいい。
それだけはなんとなくわかった。
学園へ帰れば仲間がいたし、別に平気だった。
こいつはラウル。
俺と同じ1年生。
ずっと坊主頭だからあだ名はボウズ。
見た目通りのガキ大将だ。
でも騒がしいだけで、根はいいやつだ。
バカだけど、小さい子にも好かれていた。
こいつの名前はジミー。
通称ハカセ。
1こ上でガリ勉だ。
スポーツが苦手で勉強ばかりしていたせいか、背が俺よりも小さい。
こいつはダレール。
通称ドスコイ。
ドスコイも1こ上だ。
気が優しいがいつも汗をかいてるので女子からは嫌われていた。
ホントはいいやつなのに、女どもはバカだ。
これが俺のここでの仲間。
いつも4人でつるんでいた。
ちなみに俺のあだ名はクロ。
肌も髪も黒いせいだ。
ハカセ以外の3人は赤ん坊の頃にここにきた。
ハカセは4歳の頃に、両親が一家心中をはかったがハカセだけ生き残ったらしい。
最初はここに慣れるのに苦労したようだ。
タクシーから学園長と女の子が降りてきた。
タクシーが走り去る。
ロミオ「 ? 」
エレン「今日からここがあんたの住むおうちよ。」
ミランダ「・・・・ここに住むの?」
エレン「そうよ。お友達もたくさんいるから、もう寂しくないわよ。」
ミランダ「ジョニーは?」
エレン「ジョニー?」
ミランダ「うちで飼ってた犬よ。黒いラブラドールの。」
エレン「犬なんか知らないわよ。私が預かったのはあんた一人よ。」
ミランダ「ジョニーはどこへ行ったの?誰がひきとったの?」
エレン「あんたの家も家財道具も、一切借金取りに持っていかれたはずよ。あんたの両親の遺産も全てね。犬は血統書付きならどこかのブリーダーにでも売られたんじゃない?」
ミランダ「そんな・・・。」
エレン「犬のことは死んだと思って諦めなさい。」
エレン「さっさといくわよ。あんたの部屋を案内するわ。」
エレンが歩き出す。
ミランダもそのあとをついていく。
ミランダ「・・・・。」
ロミオ「 (新しい仲間か・・・。背も高いし、俺より年上かな。あいつの目つき、なんか違う・・・。) 」
エレン「ジェニ、紹介するわね。新しく仲間になった・・・なんだっけ?」
ミランダ「ミランダ・レッドです。よろしく・・・。」
エレン「そうそう、ミランダだったわね。」
ジェニ「私ジェニ・ロドリゲス。よろしくね!」
ミランダ「うん・・・。」
エレン「ミランダにいろんなことを教えてあげて。今日からあなたがミランダの教育係ですからね。」
ジェニ「はい学園長。」
ジェニ「ミランダちゃんは何年生なの?」
ミランダ「4年。」
ジェニ「私は5年生よ。でも6年生はいないから、私が小学校の年長さんなの。」
ミランダ「そうなんだ・・・。」
ジェニ「ミランダちゃんってすっごく髪がサラサラで綺麗ね。」
学園長「そういえばそうねぇ。」
ミランダ「・・・・。」
学園長「それにちょっと長すぎるわよねぇ。」
ミランダ「え・・・?」
エレン「 (これなら高く売れそうね。それにこの子、さっきから目が反抗的なのよね。ちょっとわからせないとダメみたいね。) 」
ジェニ「学園長、学校ではおさげかポニーテールなら大丈夫って・・・。」
エレン「もうこの時期は暑いでしょう?切りましょうね。」
かすかに泣き声が聞こえたので、俺は校舎の裏へ行ってみた。
そこにあの子がいた。
ロミオ「お前、泣いてるのか?」
ミランダ「泣いてなんかないわよ。」
ミランダが涙で塗れた顔を手の甲でこする。
ロミオ「髪切ったんだ?」
ミランダ「あいつに切られたのよ。」
ロミオ「あいつ?」
ミランダ「あのババア、いつか殺すわ。」
ロミオ「お前、顔に似合わず恐ろしいこと言うなw」
ミランダ「服も取られたのよ。私のお気に入りのワンピースだったのに。」
ロミオ「あぁ。いい服だと売られちゃうんだ。」
ミランダ「信じられない。これじゃあ泥棒と一緒だわ。」
ミランダ「あんたも、そんなだっさい服でよく我慢できるわね。」
ロミオ「だっさいって・・・。しょうがないだろ。これしかないんだし。」
ミランダ「見てよ私のこの服。キャラクター物のTシャツにショートパンツよ。まるで男の子みたいじゃないの。」
ロミオ「結構似合ってるぞ?」
ミランダ「あんた、いくつなの?」
ロミオ「7歳。」
ミランダ「1年生?」
ロミオ「そうだよ。あんたは?」
ミランダ「4年。10歳よ。」
ロミオ「俺、ロミオ・グレイ。よろしくな。」
ミランダ「ミランダ・レッドよ。」
ロミオ「両親、死んじゃったのか?」
ミランダ「なんでわかるの?」
ロミオ「ここに来るやつは事故か自殺で両親を亡くした子供ばっかりだ。」
ミランダ「うちは事故にみせかけた他殺よ。」
ロミオ「他殺?」
ミランダ「たぶんね。私はそう睨んでるわ。」
ミランダ「パパの事業が失敗して一気に借金ができたの。これからがんばっていこうってときだったのに・・・車の事故で。」
ロミオ「そうか・・・。」
ミランダ「きっとエンジンに仕掛けてあったんだわ。」
ロミオ「お前、おばさんとかいないのか?」
ミランダ「いるわよ。でもうちの両親は駆け落ちして勘当されてきたから、家族とは縁を切ってるそうよ。」
ロミオ「いろいろ大変そうだな。お前んち。」
ミランダ「あんたは?」
ロミオ「俺は赤ん坊の頃にここの前に捨てられてた。だから親の顔も知らねぇ。わかるのは自分の名前だけだ。」
ミランダ「あんた、いつまでもここにいる気?」
ロミオ「え?」
ミランダ「私は働けるようになったらさっさとここを出るわ。」
ロミオ「出るって・・・ムリだよ?高校卒業後の就職先は決まっちゃってるし、25歳までは働いて園に仕送りしないといけないんだから。」
ミランダ「そんなのごめんだわ。第一、高校卒業までこんなところにいたくない。」
ロミオ「そんなこと言ったって・・・。」
ミランダ「とにかく、私はチャンスがあればここを出る。あんたも一緒に来る?」
ロミオ「・・・・お前が行くなら行ってもいいけど・・・。」
ミランダ「このことは二人の秘密よ。誰にもいっちゃだめよ?わかったわね?」
ロミオ「あぁ・・・。」
ミランダ「あんたと私は今日から協定を組んだのよ。同志よ。なにかあればすぐお互いに報告するのよ。いいわね?」
ロミオ「わかった・・・。」
ミランダ「あんたが中学に入るまではここにいるわよ。心配しないで。じゃあね。」
ロミオ「・・・・。」
ミランダが去っていく。
ロミオ「 (なんかよくわかんねぇけど・・・面白い奴w) 」
こんにちわーv
返信削除お久しブリーフです(*^_^*)
一気に読ませて頂きましたvそして画像承認を何度も失敗してしまうので(アホ)
コメントが遠のいてしまっておりました(~_~;)
そしてついに明かされ始めましたロミオの過去!
ミランダこの当時から目つきに力がありますなw
個人的にドスコイに爆笑しましたが
園長先生がまー何とまー…もっと慈愛に満ちた方かと思いきや
とんだクソババですね!!
いやいや、、髪の毛すら売ろうとするなよ!!
やっとディーン君とラトちゃんが両思いになったと言うのに
気の早いイブ母wwまったりしたかと思えば園長クソババの投下
これは一体なんですかvv
しかし、長であるババががめついせいか
幸か不幸なのか、、それなりに子供達は自立しているのが悲しいところでもありますね(T_T)
ロミオ氏の少年時代、友達には恵まれていたようで少しホっとした気分ですv
またこれからこの孤児院を出発して行くまでに何があるのか
凄く楽しみにしています^^
ではでは~v
>SACHICOさん
削除いつもありがとうございます(´∀`)
画像認証とかついてたんですね!><
気づいてなかったです(T△T)
私もあれ大嫌いなんですが、まさか自分のサイトにもつけてしまっていたとは。・゚・(ノД`)・゚・。
解除しましたので今後は認証ないと思います(;´Д`)
いままでお手数おかけしてすみませんでしたm(__)m
SACHICOさんが教えてくださらなかったらいつまでもついたままだったと思います。
教えてくださってありがとうございました\(^▽^)/
ドスコイだけなんかひどいあだ名ですよねwww
でも子供のあだ名ってこんなもんだよな~と思いつつwww
学園長は完全にダメ園長でした(;´Д`)
ほかにも大人がのちのちでてくる(はず)なんですが、そいつもダメな大人だったりします。
まぁこうダメな大人に囲まれて育つと子供はしっかりしますよねw
逆によかったのかもしれません(´∀`)
ロミオは子供時代はホント普通の男の子です。
今後の状況で今の人格に形成されていったようですね。
なので根はすごくいいやつだったりするんですよね~(;´Д`)
ロミオの回想は番外編になりそうなくらいちょっと長めなので、なるべく短くまとめようとがんばっておりますwww
こんばんわ!
返信削除園長・・・何か嫌な人ですね;;
ミランダさんの気持ち、分かる気がする;;
ロミオさん、小さい頃は普通の少年でよかったです。
しかしこの先はきっとツライ事が・・・・なんて思ってしまう←
続きが気になって仕方が無いです;;
>どーるぃさん
削除いつもありがとうございます(´∀`)
園長はがめつい大人でしたね~(;´Д`)
ミランダは元々がお嬢様なのでプライドが高いですねw
まぁ子供でも、ロングの髪を勝手にばっさり切られたらいやですよね~。・゚・(ノД`)・゚・。
ロミオはホント、子供のころはただの少年でした。
今の人格を考えると、このあとつらいことが~って考えちゃいますよね~。
まだしばらくはロミオのターンが続きますのでご期待ください(´∀`)
こんにちは・w・ そしてお久しぶりです。
返信削除しばらく宿題に追われていたものでコメントは久しぶりです。
過去編面白いですね! 何がって、みんなのあだ名がwww
子どもの頃って変なあだ名ありますよね〜
「いつも汗をかいている」…www
これは女子に100%嫌われますねww
ロミオは子どもの頃は可愛いですねー。小学校一年生
にしては考えがしっかりしているし。この後なぜ腕に
「柔道」という刺青をいれたのか…ついに謎が明かされる!?
>chocolatemintcatさん
削除いつもありがとうございます(´∀`)
お久しぶりです~♪
宿題、学生らしい響きですねw
いったいチョコさんがおいくつなのかが非常に気になるところですwww
あだ名は、子供らしい、変なあだ名をつけてみました(^ω^)
ドスコイ一人だけ完全にオチ役なんですがw
子供のころのロミオ、かわいいですか(ノ´∀`*)
髪型変えただけなんですけどねw
柔道タトゥーのなぞwww
すっかり忘れかけてましたよ( ̄Д ̄;