2012/08/24

ロミオの過去 その3







俺は学校が終わってから、いつものようにミランダの病室を訪ねた。






















ロミオ「ミラ・・・。」






















体調がすぐれないのか、珍しくミランダは寝ていた。
俺はしばらく待つことにした。






















ロミオ「 (ミラ・・・全然起きないな。) 」























ロミオ「 (暇だし探検でもしてくるか。そういえばこの間言ってた上の階の病棟、あそこ面白そうだし行ってみるかな。) 」






















俺はなにも考えないままミランダの病室を後にした。
























最上階へあがる。
なんとなくほかの病棟とは違った雰囲気があった。





















誰もいない、静かで長い廊下が続いていた。


ロミオ「 (気持ち悪いくらいに静かだな・・・。) 」






















奥の部屋から誰かが出てきて、とっさに俺は隠れた。
























見た感じ、担当医と患者の母親だろうか。
二人はドアの前に立ったまま少し話しをしていた。





















しばらくすると、そのまま二人でどこかへ去っていく。


ロミオ「 (あの部屋は誰かいるようだな。) 」





















ドアの前に立つ。


少女「そこに誰かいるの・・・?」

ロミオ「!」

少女「こっちへ入ってきて。」
















言われるがまま、俺はドアを開けて中へ入った。
部屋の奥のベッドには少女がいた。























少女「あなた、だあれ?」

ロミオ「ロミオ。」

少女「ロミオっていうのがあなたの名前なの?」

ロミオ「あぁ。」


















少女「私はジュリエット。ママたちや先生はジュリって呼んでる。」

ロミオ「ジュリエット・・・。」

ジュリエット「私たち、ロミオとジュリエットね。シェイクスピアに出てくる。」




















ロミオ「シェイク・・・なに?」

ジュリエット「シェイクスピアよ。知らないの?イギリスの詩人よ。」

ロミオ「へぇ~・・・。」

ジュリエット「そんなところに立っていないでこっちへ来たら?そのイスに座って。」

ロミオ「うん・・・。」
















俺は指示されたまま、高そうなそのイスに座った。


ジュリエット「あなた、この病棟にお友達がいるの?」

ロミオ「いや。いない。」

ジュリエット「どうしてここにいるの?」

ロミオ「暇だったから探検しにきた。」















ジュリエット「私、あなたのこと見たことあるわ。」

ロミオ「え?」

ジュリエット「先週病院の庭でお友達とおしゃべりしていたでしょう?」

ロミオ「あぁ。あれ、お前だったのか。」

ジュリエット「ふふっ。私はここから出られないから、時々お庭を観察しているの。」















ロミオ「お前、庭にも出ちゃだめなのか?」

ジュリエット「うん。でも子供の頃からだから慣れてしまったわ。」

ロミオ「子供の頃って、何歳?」

ジュリエット「生まれてすぐじゃないかしら。」

ロミオ「え?」


















ジュリエット「私、学校にも通ったことがないの。先生が来てくれるからここで勉強はできるけど。」

ロミオ「友達は?」

ジュリエット「子供の友達はいないわ。」

ロミオ「寂しくないのか?」

ジュリエット「あなた、私の友達になってくれる?」














ロミオ「別に、いいけど。」

ジュリエット「本当に?」

ロミオ「あぁ。」






















ジュリエット「嬉しい!はじめて子供のお友達ができた!」

ロミオ「子供子供って・・・お前も子供だろ。お前何歳?」

ジュリエット「7歳よ。」

ロミオ「同じ年じゃん。」


















ジュリエット「本当?よろしくね、ロミオさん。」

ロミオ「ロミオでいいよ。」

ジュリエット「わかった、ロミオね。私のことはジュリって呼んで。」

ロミオ「わかった。」

ジュリエット「また遊びに来てくれる?」

ロミオ「もちろんいいよ。」

ジュリエット「ホントに?嬉しい♪」













ジュリエットの病室を出た俺は、ミランダの病室へ戻った。


ロミオ「よぉ。起きたんだ?」




















ミランダ「もしかして、さっきも来た?」

ロミオ「おう。寝てたから探検行ってきた。」

ミランダ「病院内を?どこ行ってきたの。」




















ロミオ「適当にブラブラしてきただけ。」

ミランダ「ふぅ~ん。」





















俺はなぜかミランダに本当のことが言えなかった。
ジュリエットのことは誰にも秘密にしておきたかった。
俺の秘密の友達だ。





















それから俺は時々、ジュリエットの病室をたずねた。
ミランダの病室へは行かず、ジュリエットに会うだけで終わる日もあった。






















ロミオ「お前の部屋、なんでパイプベッドじゃないんだ?」

ジュリエット「家具は全部パパが買ってくれたの。あのベッドじゃ寝るときに硬くて痛いだろうからって。」

ロミオ「へぇ~。まるで部屋みたいだな。」

ジュリエット「ふふっ。赤ちゃんの頃からここにいるから、もう住んでるようなものよね。」
















ロミオ「それにしても、すげぇ高そうな家具ばっかりじゃん。花もいっつもたくさんあるし。」

ジュリエット「パパがね、政治家なの。」

ロミオ「政治家?それって金持ちなのか?」

ジュリエット「よくわからないけど、忙しいみたいよ。ほとんど会いにきてはくれないし・・・。」

ロミオ「そうか・・・。寂しくないか?」

















ジュリエット「ママが毎日来てくれるから平気よ。」

ロミオ「そっか。」

ジュリエット「ロミオこそ、ママもパパもいなくて寂しくない?」





















ロミオ「う~ん、生まれたときからいないから、別になんとも思わないかな。学園に仲間もいっぱいいるし。」

ジュリエット「学園ってどんなところ?子供がいっぱいいるの?」

ロミオ「高校生の大人もいるし、小さい子たちも赤ちゃんもいるぞ。でも俺たちの頃が一番人数多いのかもな。最近は減ってるって学園長が言ってた。」

















ジュリエット「へぇ~。なんだか楽しそう!」

ロミオ「楽しいよ。みんないいやつだし。大人はうるさいけど。」

ジュリエット「学校は?どんなところ?」

ロミオ「学校は普通かな~。いじめっこもいればいじめられっこもいる。」

ジュリエット「ふぅ~ん。」















ジュリエットはいつも俺の話を、目をキラキラさせて聞いていた。
俺にはその瞳がとてもまぶしかった。
真っ白な肌、ほんのり紅く染まる頬、無垢で純粋な瞳。
俺が彼女を好きになるのに時間はかからなかった。






















ロミオ「前から気になってたんだけどさ、これってなにがいるの?」


俺はジュリエットに見つめられるのが恥ずかしくなって、とっさに立ち上がり水槽の前にやってきた。


ジュリエット「なにもいないわ。」

















ジュリエット「それ、前は亀がいたのよ。パパが買ってきてくれたの。」

ロミオ「亀?」

ジュリエット「そう。亀は千年、って言うでしょう?」



















ジュリエット「でもね、その子2年で死んじゃったんだ。千年って言われてる亀だってたったの2年で死んじゃう。命って本当に儚いものね。」


ジュリエットは時々とても大人びたことを言った。



















ロミオ「あの水槽、なんであのままにしてるんだ?」

ジュリエット「だってはずしちゃったら寂しいでしょう?本当にいなくなったみたいで。」

ロミオ「そうなのか。」

ジュリエット「でもロミオが会いに来てくれるから、私もう寂しくないわ。」
















ジュリエット「ねぇ聞いて!私、最近すごく体調がいいって先生に褒められたのよ。」

ロミオ「へぇ~。すごいじゃん。」

ジュリエット「これもきっとロミオのおかげよ。絶対そう。」

ロミオ「そんなことねぇよ。」

















ジュリエット「ううん。私にはわかるの。ロミオ、いつも会いに来てくれてありがとう。私とっても嬉しいの。」

ロミオ「うん・・・。」


俺には彼女の笑顔がまぶしすぎた。

















俺はこのときはじめて恋というものを知った。







6 件のコメント:

  1. こんばんわ!
    純粋な恋・・・いいなあ・・・・。
    ジュリエットちゃん、治るといいですね;;
    初恋は叶わないといいますけど・・・・
    叶ってほしいときもありますね;;

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    1. >どーるぃさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      この頃のロミオは純粋ですよね~(ノ´∀`*)
      ジュリエットも、外界に出たことがない分純粋だし無垢だし。
      初恋は叶わないっていいますよね~。
      私のストーリーでも初恋が叶ったのはラトとメアリーくらいかwww

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  2. なで肩さん、こんにちわ^^!メッセージありがとうございます^^!

    私もいつもなで肩さんの記事は拝見させていただいてきます♪
    なにげに、私の日常の楽しみの一つにもなっています♪

    ロミオの過去の話、なんだかジーンとしますね!続きが激しく気になります!!

    コメント欄は寂しいのですが、非表示にしています><
    匿名さんからのコメントが多くて悩んでいたのでいっそのこと非表示にしようと決意しました><
    それでも、拍手やメッセージをいただけるので嬉しいですよ^^!!

    ディズニー行って来ましたよ~♪
    私は26歳で4歳の娘が1人いるんです^^ww幼稚園に行っている間や、娘が寝ている時間が私もPCタイムです^^ww

    これからも更新すごく楽しみにしていますー♪♪

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    1. >yuuさん

      コメントありがとうございます(´∀`)
      楽しみと言ってくださってありがとうございます(T△T)
      そのお言葉が励みになります(*´∀`*)

      匿名さんですか~。
      私はまだ一度もないですが、ブロ友さんとかもそれで悩んでいらっしゃる方がいましたね~。
      やはり有名ブログになるといろいろな方が訪れますからね~。
      匿名ってちょっとずるいですよね(;´Д`)

      ディズニーいいですね~♪
      私が最近いったディズニーは香港だったので日本よりかなり空いてて楽しめました(´∀`)
      東京のディズニーは人が多すぎてすごい時間並ぶし大変ですよね(;´Д`)
      でもお子さんたちも楽しめたようでよかったですね~(ノ´∀`*)
      まさかyuuさんが子持ちだとは思っておらずかなりビックリしましたよwww

      私もyuuさんのブログいつも楽しみにしております\(^▽^)/
      CCやポーズ作り、本当にいつも尊敬します!><
      次回の配布も楽しみにしていますね~(*´∀`*)

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  3. なで肩さんこんにちは^^
    内緒でコッソリ会いに来る・・・まさにロミオとジュリエットですね!!
    ジュリエットちゃん、赤ちゃんの頃から外の世界を知らないなんて可哀想に・・・この年で、子供の友達が今まで居なかったなんて(TωT)
    ロミオくんと仲良くなって、本当に嬉しそうで幸せそうですね!
    7歳といったら、ただのガキんちょなのに、この2人は複雑な環境からか妙に大人びていて、この甘酸っぱい初恋感もキュンとしますね( ´艸`)
    このまま穏やかな時が流れていって欲しいものですが、ジュリエットちゃんの病状も気になります・・・


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    1. >ゆきさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      ホント、まさにロミオとジュリエットですよね(ノ´∀`*)
      まぁ敵対している家系とかではないのが幸いですwww
      ジュリエットは外界から遮断された世界で生きていた分、純粋で無垢で、それがロミオにとってみれば美しくてまぶしかったのかもしれませんね。
      しかも大人としか接したことがないので、妙に子供っぽくないんですよねw
      ロミオも複雑な環境なので無駄に大人びているところがありますしね~。
      ホントこの二人の恋は甘酸っぱいですね(*´Д`)

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