2012/08/28

ロミオの過去 その5







俺たちが病院に戻った頃にはすっかり日は沈んでいた。











































ジュリエット「ねぇロミオ。」

ロミオ「なんだ?」

ジュリエット「恋人同士ってキスするんでしょう?」




















ロミオ「え?」

ジュリエット「絵本のロミオとジュリエットもキスしてたわ。」

ロミオ「・・・まぁ、するかもな。」


















ジュリエット「私たち、恋人同士だよね。」

ロミオ「あぁ。」

ジュリエット「キス、していいよ?」


















ロミオ「・・・・。」

ジュリエット「ロミオはイヤ?」

ロミオ「イヤじゃないけど・・・。」

ジュリエット「私、ロミオならいいよ。」

ロミオ「・・・・。」














ジュリエットが目を閉じた。





















俺は正直戸惑った。
彼女がこんなに積極的だとは思ってもみなかったからだ。
それに俺にはまだ心の準備ができてなかった。
困惑した顔で俺はジュリエットの唇を見つめていた。


















しかしいつまでもこうしているわけにはいかない。
ジュリエットの勇気を踏みにじるわけにはいかない。
俺は覚悟を決めた。




















やり方なんてわかるわけない。
俺だってはじめてだったんだから。
勢いをつけすぎておでこがぶつかった。



















彼女の唇は少し冷たかった。
そしていままで感じたことがないくらい、柔らかかった。
あのキスの感触はきっと一生忘れられない。




















俺たちが病室へ向かっていると廊下の奥からジュリエットの母親が飛んできた。


母親「ジュリ!!」

ジュリエット「ママ・・・。」
















母親「あぁよかった!どこに行ってたの?ママ心配したのよ。」

ジュリエット「ごめんなさいママ。私が行きたいって言ったの。彼は悪くないの。」




















ジュリエット「私が悪いの。お願いだから彼を責めないで。」

母親「えぇ、わかっているわジュリ。いいのよ。あなたが無事ならそれでいいの。」

ジュリエット「ごめんなさいママ。」


ジュリエットはずっと俺を庇っていた。



















俺はなにもできず、二人を眺めているだけだった。
そのあとかけつけた学園長と教育係のジョフリーに俺はきついお仕置きを受けた。
いわゆる体罰ってやつだ。












































エレン「そう。ご苦労だったわね。」

ジョフリー「はい。」



















エレン「まったく・・・本当にめんどうなことをしてくれたよ。」

ジョフリー「どうしますか?」

エレン「当分は部屋から出すんじゃないよ。1ヶ月くらいは必要だね。」

ジョフリー「学校のほうは・・・。」

エレン「ウイルス性の風邪ってことにしておいてちょうだい。」

ジョフリー「はい。」












ラウル「クロ、いったいなにしたんだよ。」





















ラウル「俺たちにも言えないような悪いことしたのか?」

ダレール「クロちゃん・・・。」




















ラウル「なんとか言ったらどうなんだよ。」

ダレール「・・・・。」



















ジミーだけはなんとなく気づいているようだった。
だけどジミーはなにも言わず黙ってくれていた。





















俺はなにも言えなかった。
いや、言いたくなかったんだ。
彼女のことは俺の中だけの秘密にしておきたかった。
俺にとって、彼女は天使だった。



















2週間後、学園長とジョフリーが隣町へでかけた。
教えてくれたのはジミーだった。
俺は学園を抜け出し、急いで病院へ向かった。




















彼女の笑顔を見るために。





















面会の時間が迫っていた。
俺は病院に着くと自転車を投げ出し走った。




















ジュリエットの病室のドアを開ける。


母親「!」


















ロミオ「!」

母親「ロミオくんね。」

ロミオ「・・・・。」


















母親「私はジュリエットのママよ。この前会ったの、覚えてるかしら。」

ロミオ「はい・・・。」

母親「よかった。あなたが来てくれて。」

ロミオ「・・・・。」

母親「ずっと待っていたのよ。」













母親「ロミオくん、落ち着いてよく聞いてね。」

ロミオ「・・・ジュリは?」

母親「ジュリは死んでしまったの。」


























ロミオ「え・・・?」

母親「昨日の朝、息を引き取ったのよ。」





















母親「あの子、最後まであなたに会いたがってたわ。ありがとうって・・・あなたに会えて幸せだったって・・・。」


母親の瞳から涙がこぼれた。















ロミオ「嘘なんでしょ?俺とジュリを会わせないようにするために、嘘ついてるんでしょう?ジュリはどこに行ったの?」

医師「ロミオくん・・・。」

母親「本当なの。今日、あの子の葬儀があって・・・この部屋ももう今日で片付けなきゃいけなくて・・・あなたが来るのを待っていたのよ。」

ロミオ「そんなの嘘だ!」












母親「ごめんなさいロミオくん・・・。」


母親が俺を抱きしめた。


ロミオ「みんなで俺をだまそうとしてるんだ!何で嘘つくんだよ!」

母親「嘘じゃないのよ。私もそう思いたいけど・・・あの子はもういないの。」












ロミオ「そんなの嫌だ!!嫌だぁ~!!!」


俺は泣き叫んだ。
ジュリエットの母親は強く俺を抱きしめていた。
いつまでも。

















俺がみた彼女は、あのエレベーターでのキスが最後になった。
俺の恋した彼女はもういない。
この世界のどこにも。
























8 件のコメント:

  1. ( ゚▽゚)/コンバンハ
    コメント長い間お休みしててごめんなさい。
    ロミオの過去が一応の区切りを見せるまで・・と思ってました。
    なんか、切ないですね・・・。
    幼い初恋だったのに。
    純粋な気持ちだったのになぁ~・・・。
    でも最後に恋ができて、ジュリちゃんはシアワセだったと思います。
    いや・・・あまりにも短い人生でソレはどうかな・・。うーん・・・。
    人は一度イイ思いをするともっと・・って思う生き物だから、きっと幸せだけど残念な気持ちでイッパイでしょうね・・・。切ないなぁ。

    それにしても、とっても不謹慎で本当に申し訳ないんですが・・・・。
    あのキスを迫るジュリちゃんがwwwwww
    あのメガネがイカンwww
    可愛いおちょぼ口が笑いのツボになってしまうじゃないかwww
    ・・・ゴメンヨ。

    返信削除
    返信
    1. >もんぷちさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      幼い初恋、せつないですよね(T△T)
      しかも相手がこの世からいなくなってしまうなんて、やりきれないでしょうね~。
      子供だって感じる気持ちは一緒ですもんね・・・。
      たしかに、人は一度いい思いをするともっと、って欲がでますよね(;´Д`)
      ジュリはどうだったのかな~。
      でもロミオと出会ってからの数ヶ月間、ジュリにとっては一番輝いていた時間だったんではないでしょうか。

      丸メガネでキスを迫るジュリ、ロミオが戸惑うのもムリないですよねwww
      いや~私もどうしようか迷ったんですが、あそこで帽子とメガネいきなりとるのもな~と思いましてw
      あれはあれでなんか子供っぽくてかわいいかなとw
      あの帽子がどうみても病人っぽいんですが(;´Д`)

      削除
  2. こんばんわ!
    やっぱりジュリエットちゃん、居なくなったんですね;;
    初めての人だし、忘れたくても忘れられないですよね;;
    イキナリの別れ・・・・辛いです;;
    ロミオさんの初恋がこういう形で終わるとは・・・;;
    あ、涙が出てきたので寝ます。

    返信削除
    返信
    1. >どーるぃさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      ジュリは予想通り、この世からいなくなってしまいました(T△T)
      ロミオにとってはあんなに外見も中身も美しい女の子は、きっと現れなかったんでしょうね。
      彼にとっては天使ですからね。
      しかしさよならが言えない別れはつらいですね。・゚・(ノД`)・゚・。
      ロミオの初恋は短く儚く泡となりました。

      削除
  3. えっ・・・ロミオがアイビーにした打ち明け話から
    何となく予想はしていましたが、
    まさかこんなに若くして亡くなってしまったなんて・・・
    そしてその(植物園)タイミング、
    これは幼いロミオにとって完全なトラウマものですね。。。
    子供の純粋な心には大事な宝物が
    目の前で消えてしまったその衝撃がどんなものなのか・・・
    二人と両親があまりに気の毒で泣きました;
    でもジュリちゃんからしたら、
    病院と窓から見た景色だけしか知らなかったワケで・・・
    ロミオと友達・恋人同士になって得た時間によって
    私なりに生きた!という実感があったかもしれませんね。。。
    やっぱり秘密基地には今でも彼女の思い出がしまわれてるんでしょうか?

    そしてミラも幼いながらもしっかりした
    洞察力・観察眼の持ち主だと思うし、
    この二人のことをどう思ったでしょうか?
    ロミオターン、とっても面白いです!

    返信削除
    返信
    1. >タママさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      アイビーに過去を話す時点で予想はできましたよね。
      悲しい初恋だったんじゃないかっていう。
      しかしまさかこんなに幼く短い初恋だったとは、って感じですね(;´Д`)
      ロミオの植物好きはジュリの影響が強いんですよね~。
      好きな人が愛した場所やものを自分も愛したいと思いますよね。
      できれば同じように感じたいと。
      しかしその別れが突然すぎて、しかももしかしたら自分のせいかも、って考えてしまいますしね。
      よけいにトラウマになりますよね。・゚・(ノД`)・゚・。
      ジュリの父親は出てきませんでしたが、母親がロミオを責めたりせず、むしろ「ジュリを愛した同士」として接してくれたのがなによりの救いだったのではないでしょうか。
      ジュリにとっても、もしかしたらロミオに会うことが宿命で、「ロミオとの恋」という課題が終了したからこの世と別れを告げたのかもしれません。
      ロミオに出会うまで待っていたのかも。
      彼女にとってみればロミオと出会ってからの数ヶ月間は一番輝いた時間だったんではないでしょうか。

      ミランダは3歳しか違わないですが、大人ですよね~。
      彼女も園にくるまでがいろいろあったので大人にならざるをえない状況だったのかもしれません。
      ミランダは二人を見てなにを考えていたんでしょうね~。

      面白いと言っていただけてめちゃめちゃ嬉しいです。・゚・(ノД`)・゚・。
      これからもがんばります\(^▽^)/

      削除
  4. なで肩さんこんばんは^^
    ジュリエットちゃん・・・前回の様子から、遠からぬうちに居なくなってしまうんではないかなという予感はしていたのですが、こんな早くお別れが来てしまうなんて・・・
    最後に会ったのが淡いファーストキスだったとは切な過ぎる(。´Д⊂)
    生まれてから病院暮らしで、友達もいなくて、ひょんな事からロミオくんと出会ったのは運命の引き合わせだったのかもしれませんね。
    短い間だったけども、ジュリエットちゃんは初めての友達のロミオくんと会う事がこの上ない幸せな時間だったのではないかと思うと、本当に良かったなぁと思います。
    ロミオくんに出会わなかったら、友達と会う楽しさ、初恋のドキドキも知らないまま・・・だったんですもんね・・・
    しかし、ご両親も覚悟はしていたでしょうけど、本当に辛いですね(´□`。)
    でもロミオくんという友達がジュリエットちゃんにいたと分かって嬉しかったでしょう、お母様がロミオくんに亡くなったと告げるシーンは本当にヤバかったです(TωT)

    返信削除
    返信
    1. >ゆきさん

      いつもありがとうございます(´∀`)
      ジュリはすでにフラグたってましたが、まさかこんなに早く・・・と思いますよね(;´Д`)
      まだ恋人同士になったばかりだというのに。
      この二人がもしジュリが死なずにこのまま元気になっていたら、またロミオも今とは違った人生を送れていたでしょうね~。
      思い出のファーストキスがめちゃめちゃせつない思い出になってしまいました(´;ω;`)
      ロミオとの出会いはホントに運命、というよりもはや宿命ですよね!
      ジュリはロミオと出会って恋に落ちたことで、今世での課題が終了したのかもしれませんね~。
      それを考えるとせつないですが。
      ジュリの父親は出てきませんでしたが、母親があれだけ冷静だったのも、医師から長くないことを宣告されていたのかもしれませんね~。
      母親がロミオのことを責めず、同じ一人の人間を愛した者同士として接してくれたことが、ロミオにとっては救いでしたね(´;ω;`)
      やばかったといっていただけるとすごく嬉しいです!\(^▽^)/
      ありがとうございます(T△T)

      削除