アイビー「おはようございま~す。」
アイビーが玄関を開けてミランダのマンションへ入ってくる。
ミランダ「おはよう。わざわざ電話くれなくてもいいのに。」
ミランダが階段を下りてくる。
アイビー「すいません。起こしちゃいましたね。」
ミランダ「べつにいいけど。今日は仕事は?」
アイビー「夕方からです。今日はスタジオでの撮影だけなので。」
ミランダ「BiBiね。マロンは元気?」
アイビー「はい。ご存知なんですね。」
ミランダ「私も昔BiBiの専属だったのよ。モデルとしては売れなかったから、あまり印象にないでしょうけど。」
アイビー「そうなんですか。」
ミランダ「・・・・買い物?」
アイビー「あ、はい。食事作ろうと思って。」
ミランダ「食事?」
アイビー「ミランダさん、カルボナーラ好きですか?」
ミランダ「嫌いじゃないわね。」
アイビー「よかった。お掃除してお昼前になったら食事作りますね。」
ミランダ「・・・・あなた、本気でお手伝いさんみたいなことやるつもりなの?」
アイビー「え?・・・はい。いけませんか?」
ミランダ「勝手にして。キッチンには調味料なんてものは一切ないわよ。」
アイビー「はい。買ってきました。」
ミランダ「そう。私はホットバス入るから、適当にやっててちょうだい。」
アイビー「はい。ありがとうございます。」
ベランダへ出るとバスローブを脱いでミランダがホットバスに入っていく。
その後姿をみつめるアイビー。
アイビー「・・・・。」
アイビーがカウンターに紙袋を置いて、中身を取り出す。
ちらりとアイビーを見やるミランダ。
ミランダ「 (変な子・・・。あの子がなに考えてるのか、さっぱりだわ・・・・。私と仲良くなりたいなんて・・・・。) 」
ミランダ「 (あのロミオが選んだ子だもの・・・変わり者には違いないわね。) 」
ミランダ「 (そういう私も人のこと言えないけれど・・・。) 」
一時間が過ぎた。
アイビー「ミランダさん、お食事できました。食べられますか?」
キッチンからベランダへとやってきたアイビーが声をかける。
ミランダ「ええ、いただくわ。ちょうどおなかすいてきたところだったの。」
アイビー「よかった・・・。じゃあ、掃除も終わったので私はこれで失礼します。」
ミランダ「あら?一緒に食べるんじゃなかったの?」
アイビー「でも・・・。」
ミランダ「あなた、私のことが知りたいんじゃなかった?」
アイビー「いいんですか?」
ミランダ「いいもなにも、あなたの作った料理でしょう。私は最初っからあなたのことお手伝いさんだなんて思ってないわよ。」
アイビー「・・・・じゃあ、いただきます。」
二人はソファーに腰掛けて料理を食べる。
ミランダ「おいしいわね。」
アイビー「ありがとうございます。」
ミランダ「あなた、料理も得意なのね。」
アイビー「得意というほどではないですけど・・・学生の頃はよく母の手伝いもしてたので。」
ミランダ「そうなの。」
アイビー「このグービーカルボナーラはシェフをやってた曾祖母の直伝なんです。代々受け継がれてる味らしくて、これだけは母に仕込まれました。」
ミランダ「いいわねそういうの。私が両親と離れたのはまだ小学校半ばくらいだったから、料理なんて教えてもらえなかったわ。」
アイビー「・・・ミランダさんって、ロミオと一緒の・・・。」
ミランダ「孤児院よ。私は両親が事故死して10歳の頃に引き取られたの。ロミオはすでにいたわね。」
アイビー「ロミオに少し聞きました。話の途中で寝ちゃったので、子供の頃のことだけですけど・・・。」
ミランダ「そう。」
アイビー「ミランダさん、マタニティードレスは持ってますか?」
ミランダ「必要ないわ。家にいるときはほとんど服を着ないのよ。」
アイビー「裸、ですか?(たまに聞くけど、ホントにいるんだ・・・?) 」
ミランダ「ええ。あなたがいる間はちゃんとバスローブでも着るわよ。これならおなかも苦しくならないし。」
アイビー「 (バスローブじゃ寒いよね・・・・。) 」
ミランダ「あなたこれからでかけるの?」
アイビー「はい。知り合いが入院しているのでお見舞いに。」
ミランダ「そう。」
アイビー「明日から泊まりでロケなので、こっちに戻ったらまた連絡しますね。」
ミランダ「わかったわ。」
ジェニファー「お花ありがとう。」
アイビー「いいえ。」
ジェニファー「この時期にチューリップなんてめずらしいわね。」
アイビー「そうですね。」
ジェニファー「いろいろ大変だったわね。」
アイビー「・・・はい。」
ジェニファー「週刊誌読んでたらジーンに怒られちゃったわ。」
アイビー「え?」
ジェニファー「そんな嘘ばっかりの記事なんて鵜呑みにするなって。」
アイビー「あ・・・すいません。私がちゃんとジェニファーさんに連絡しなかったから。ご心配おかけしました。」
ジェニファー「気にしないで。ジーンが時々話してくれてたから。最近仕事にも復帰したって聞いて安心してたの。」
アイビー「はい。ようやく本調子に戻ってきました。」
ジェニファー「そう。よかった。」
ジェニファー「でもやっぱり、こうしてアイビーちゃんの顔みたら安心したわ。」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「なんだか、表情が凛々しくなったみたい。きっといろいろあって成長したんでしょうね。」
アイビー「そう・・・ですか?」
ジェニファー「ええ。あなたは元々芯の強い女性だと思ってたけど、さらに磨きがかかったというか・・・なにか目指す場所をみつけた、っていうカンジ。」
アイビー「目指す場所・・・ですか。」
ジェニファー「仕事のことかしら?」
アイビー「・・・・どう・・・ですかね。」
ジェニファー「・・・・いろいろあるわよね。」
アイビー「はい・・・すいません。ちょっと話せないことで。」
ジェニファー「そうなの。でもねアイビーちゃん。」
アイビー「はい。」
ジェニファー「あんまり強くなりすぎると、女はダメよ。一人でも生きていけるようになるから、私みたいにね。」
アイビー「一人でも・・・・。」
ジェニファー「そう。がんばりすぎて一人でなんでもできちゃうと、男の人は自分は必要ないんだ~って思っちゃうから、近寄ってこないのよ。」
アイビー「・・・・。」
ジェニファー「もうちょっと弱いところ見せてもいいんじゃないかしら?」
アイビー「弱いところ・・・ですか。」
ジェニファー「ええ。そのほうが男性は女性らしさを感じるし、もっと甘え上手になったほうがいいわよ。」
ジェニファー「私はもうジーンくらいしか甘える男の人はいないけどねw」
アイビー「ジーンにならいっぱい甘えられますね。」
ジェニファー「ええ。でも私が甘えなくても、あの子は勝手に甘えさせてくれるの。今日も私の好きなプリン、あとで買ってきてくれるって言ってたわ。ホントはダメなんだけどねw」
アイビー「あははw」
アイビーがドアを開けてメイクルームへ入ってくる。
アイビー「おはようございま~す。」
ソファーに座っていたジーンがアイビーに気づいて読んでいた本を閉じる。
ジーン「おはようアイビー。」
アイビー「おはようジーン。一人?マロンちゃんは?」
ジーン「コンビニ行ってる。アイビーの前のマリアちゃんが早く終わったから時間余ったんだ。」
アイビー「そうなんだ?」
ジーン「おなかすいたからなにか買って来るって。」
アイビー「そっか。」
アイビー「今ね、ジェニファーさんのところ行ってきたんだ。久しぶりだったから。」
ジーン「そうなんだ?わざわざありがとな。」
アイビー「うん。元気そうで安心した。順調なの?」
ジーン「最近はだいぶいいみたい。今度一時帰宅できそうなんだ。このまま体調がよかったらだけど。」
アイビー「そうなんだ?よかったね。」
ジーン「うん。そのときは家でささやかながらパーティーでもやろうかと思って。呼ぶ人はいないんだけど・・・・よかったらアイビーも来てくれる?」
アイビー「もちろん。もしよければディーンとラトも呼ぶ?クリスマスパーティーの時に顔は合わせてるし。もちろん、ジェニファーさんがイヤじゃなかったらだけど。」
ジーン「そうだね。そのときはまた聞いてみるよ。」
アイビー「うん。ラトはシェフやってたから、お願いすればジェニファーさんの身体にいい料理も作ってくれると思うんだ。」
ジーン「そうなんだ?是非お願いしたいな。俺、簡単なものしか作れないからさ。」
アイビー「そうなの?今はご飯どうしてるの?」
ジーン「外食か、コンビニの弁当とかかな。」
アイビー「外食ばっかりだと体調壊すよ~。ジーンも気をつけないとね。」
ジーン「そうだね。ありがとう。」
アイビー「今日はどんなファッションなの?11月に入ったし、もう春物?」
アイビーがコートをかけようとハンガーラックのほうへと歩き出す。
ジーン「アイビー。」
アイビー「ん?」
ジーン「ちょっと話があるんだけど・・・。」
ジーン「なにか隠してることないか?」
アイビー「え?」
ジーン「最近忙しそうだし・・・仕事そんなに詰めてないよな?」
アイビー「・・・・。」
ジーン「ごめん・・・詮索するようなことして。・・・仕事あんまり入れてないって、アンナさんに聞いたんだ。」
アイビー「・・・べつにいいけど。」
ジーン「なんか、最近・・・前と様子が違うし・・・気になって。」
ジーン「誰かと・・・会ってるのか?」
アイビー「・・・・。」
ジーン「もしなにか・・・変なことに巻き込まれたりしてるんだったら、相談してほしい。」
アイビー「巻き込まれてるとか、そんなんじゃ・・・・。」
ジーン「なんでもいいから、愚痴でもなんでも・・・話してほしいんだ。」
アイビー「ジーン・・・・。」
ジーン「俺じゃ・・・頼りにならないかな?」
二人の間に沈黙が流れる。
アイビー「ジーン・・・あのね・・・・。」
マロン「ただいま~。」
ドアが開いてマロンの明るい声が部屋に響く。
アイビー「あ、マロンちゃんおはよう。」
ジーン「おかえり。」
マロン「アイビーちゃん、来てたんだ?」
アイビー「うん。ちょっと早く着いちゃって。」
アイビー「すぐ準備するね。」
アイビーが脱いだコートをかける。
ジーンもソファーへと戻っていく。
マロン「 (今、見つめ合ってたよね・・・。二人、なに話してたの・・・?) 」
アイビー「マロンちゃんコンビニでなに買って来たの?」
マロン「あ・・・プレミアムシュークリーム。」
アイビー「ロースンの?あれ人気だよね。」
マロン「うん・・・。最近チョコクリームのが発売したんだ。」
アイビー「そうなんだ?私も今度買ってみよ~。」
ジーン「・・・・。」
なで肩さんこんばんは^^
返信削除アイビーちゃん、早速ミランダさんの所へやって来ましたねw
ホントに、そのつもりの覚悟なんですねww
ミランダさん、マロンちゃんの事知ってるんですねw
そっか、モデル時代もあったのですねw
ホットタブへ向かうミランダさんを見つめるアイビーちゃん、そしてミランダさんの方も、ホットタブに浸かりながら「何を考えてるのか」と思ってるようですねw
この淡々とした流れを見てて、ちょっと冷静に考えてみて死んだ婚約者の子供を身篭ってる女性に私だったらまともに接したくない、憎いと思うだろうな~とふと思ったんですよw
やっぱりアイビーちゃんて凄いのか、ミランダさんの言うように変わり者なのか(笑)
そういうの超えた色んな思いがあるのでしょうけどね。
その後はジェニファーさんのお見舞いでしたか。
ジェニファーさんに会ってお話しすることで、アイビーちゃんも安らげる感じに見えますね。
でもさすがに例の話は言えないようですね、まあそうですよね・・・
でもジェニファーさんが心配してる、強くなりすぎて一人でも生きていかれるようになる、の言葉には響いたんじゃないかな~って気がしますねw
アイビーちゃんにもいずれまた甘えられる人が出来るようになるのか・・・
なって欲しいですけどね(´・ω・`)
そして仕事場ではジーンさんと・・・
やっぱりジーンさん、アイビーちゃんの変化に気付きましたね。
ずっと見てるから、やっぱり変だな~って気付いちゃいますよね・・・
そこへまたタイミング悪くマロンちゃんが入ってきてしまったwww
後ろめたい事はないのに、たまたまその後さっと離れたところがまたマロンちゃんの疑いを生んじゃってる感じですねぇ~~~(´Д`|||)
>ゆきさん
削除いつもありがとうございます(´∀`)
アイビーは本気みたいですねw
ミランダの過去については近いうちに本編で登場させるつもりだったりします。
アイビーとミランダはお互いなに考えてるかわからず探ってるカンジですね~。
ホント、普通に考えたらフィアンセの子供を身篭ってる女性とは、お近づきになろうとはしないですよね。
むしろ距離をおきたいし、ホントは産んで欲しくもないはずなのに。
アイビーは確実に変わり者ですねwww
ミランダもお互い様なんですが、お互いにいろいろな思いを抱えているんですよね表には出さないだけで。
アイビーはジェニファーにも言いませんでしたね。
たしかに、ジェニファーの言葉は、本人の体験談も含んでいるのでかなり説得力がありますよねw
アイビーもさすがにちょっと考えたでしょうね。
そしてジーンにも問い詰められてw
アイビーもジェニファーに言われたことがあったからか、ジーンに話そうとしたところでタイミング悪くマロンちゃんがやってきて拒まれましたがw
マロンちゃんがこなかったら話してたのかどうなのかw
二人とも後ろめたいことはないはずなのに、なんとなく距離を置いたところがよけいに怪しいですよねwww
マロンちゃんもあいかわらず警戒してるカンジだしw
なんとなく最近のこのへんはギクシャクしっぱなしですねw