ネオとサマンサはブリッジポートのバーにいた。
客も少なく静かな店内。
ネオ「ここは静かでいいですね。」
サマンサ「このお店はパパラッチは入れないの。だからわりと芸能人もよく利用してて。」
ネオ「へぇ~。さすが詳しいですね。」
サマンサ「モデルたちはそういう情報早いからw」
ネオ「へぇ~。」
ネオ「俺は妹の出てる雑誌もみたことがなくて・・・。」
サマンサ「そうなんだ~?私は地元が田舎だから、母は毎月買ってるみたいw 私のページしかみないのにw」
ネオ「素敵ですね。うちの母もアイビーの出てる雑誌は買って読んでるみたいですね。」
サマンサ「やっぱり母親って気になるものなのかな~?」
ネオ「そうでしょうね~。」
ネオ「サマンサさんはご兄弟は?」
サマンサ「4姉妹の末っ子です。」
ネオ「へぇ~。4姉妹ですか。」
サマンサ「ネオさんは長男ですよね?お父さんはお医者様なんでしょう?」
ネオ「はい。」
サマンサ「どうして医者にならなかったの?」
ネオ「父には学生時代からお前は好きなことをしろって言われてましたしね。俺は血とかもどちらかというと苦手で。」
サマンサ「そうだったんだ~?」
ネオ「サマンサさんは、スカウトとかですか?」
サマンサ「私は小さい頃から芸能界に憧れてて。高校卒業して家を飛び出してきたんですよ。」
ネオ「へぇ~。苦労されたんですね。」
サマンサ「事務所にはすぐ拾ってもらえたんですけどね。売れない時期はいろいろ大変だったな~。バイト掛け持ちしたりして。付き合う男も最悪だったし。」
ネオ「そうだったんですね。」
サマンサ「なんか、こっちもお金ないのにヒモみたいな状態が続いてたり・・・。売れてからも悪い男にばっかり引っかかっちゃって。」
サマンサ「男運ないんですよね、私。」
ネオ「・・・・。」
サマンサ「でも、その分友達には恵まれましたけどねw」
サマンサ「アイビーちゃんにも感謝しないと。ネオさんに出会えたから。」
ネオ「俺も、あいつには感謝してます。」
サマンサ「すっごくいい子だもんね。全然飾らないし。」
ネオ「そういってもらえると、嬉しいですね。」
サマンサ「じゃあ今日は初デートってことで、乾杯しますか。」
ネオ「デート・・・ですか。」
サマンサ「え?そう思ってたの・・・私だけ?」
ネオ「いや。俺のほうこそ・・・いいのかなって。」
サマンサ「だってもうデートじゃないですかこれw 」
ネオ「そう・・・ですね。」
サマンサ「あ、同じのもう1杯ください。」
バーテンダー「はい。同じのですね。」
サマンサ「ネオさんおかわりは?」
ネオ「じゃあ俺も同じのいただきます。」
バーテンダー「かしこまりました。」
カシャ
微かにシャッター音が聞こえた。
その音にネオが反応する。
ネオ「・・・。」
ネオが立ち上がる。
サマンサ「ネオさん・・・?」
ネオ「君いま写真撮ったよね?」
男「は?撮ってないけど。」
ネオ「携帯で彼女のこと撮影したでしょ?」
男「はぁ?撮ってねぇし。」
ネオ「ちょっと携帯みせてくれ。」
男「なんであんたにそんなことされなきゃいけないわけ?意味わかんねぇんだけど。」
ネオ「しらばっくれてもわかってるんだよ!」
男「なんなんだよお前。」
ネオ「いいから携帯出せ!」
男「うるせーな~。いいだろちょっとくらい。芸能人なんだから。有名税だよ有名税。」
ネオ「なにが有名税だふざけんな!!芸能人だって一人の人間なんだよ!」
男「いいから落ち着けって。」
ネオ「さっさと携帯出せ!じゃないとぶん殴って携帯奪うぞ!」
男「わかったようるせーな~。」
男が携帯を取り出し、目の前で撮影した画像を消去する。
男「ほら。消したよちゃんと。」
ネオ「これだけか?ほかは?」
男「一枚しか撮ってねぇよ。」
ネオ「お前パパラッチに売るつもりだったのか?」
男「ちげーよ。友達に自慢しようと思っただけだよ。」
ネオ「そうか。これからは勝手に撮影するんじゃないぞ。ちゃんと本人に許可取れよ。」
男「はいはい・・・。」
ネオ「よし。もういいぞ。」
男「なんなんだよまったく・・・。」
サマンサ「 (ネオさん・・・私のこと守ってくれた・・・。) 」
店を出た二人。
タクシーを拾うために大通りに出る。
サマンサ「今日はもう泊まるんでしょう?弟さんのところ?」
ネオ「いえ。弟は今友達のとこに住んでるらしくて。ホテル予約してあります。」
サマンサ「そうなんだ?いいな。」
ネオ「街外れのビジネスホテルですよ。」
サマンサ「行ってみたいな~なんて。」
ネオ「え・・・?」
サマンサ「ダメ?」
ネオ「・・・・。」
サマンサ「ネオさん?」
ネオ「サマンサさん。」
サマンサ「はい。」
ネオ「ホテルといえども、女性が知り合ったばかりの男の部屋にあがるのはよくないですよ。」
サマンサ「・・・・。」
ネオ「しかもまだ1回目のデートだし。」
サマンサ「別に私、変な意味で言ったわけじゃないよ?」
ネオ「わかってます。でも俺も男だし、間違いを犯す可能性もないわけじゃないですから。」
サマンサ「・・・・。」
ネオ「だから今日はここで別れましょう。」
サマンサ「・・・・。」
サマンサ「ぐすっ・・・。」
ネオ「え・・・?ちょ・・・サマンサさん?」
サマンサ「ううっ・・・。」
ネオ「俺悲しませるようなこと言いましたか?すいません・・・。そういう意味じゃなくてあの・・・。」
ふいにサマンサがネオにキスした。
ネオ「 ! 」
サマンサ「今日はこれでかんべんしてあげる。」
ネオ「え・・・・。」
サマンサ「つきあってくれてありがとう。すっごく楽しかった!」
ネオ「あ・・・俺も・・・。」
サマンサ「今度はそっちから電話してね!じゃあまたね~。」
サマンサがタクシーに乗り込み、あっという間に去っていった。
呆然と立ち尽くすネオ。
ネオ「・・・・。」
ネオ「 (キス・・・されてしまった・・・・・。) 」
ネオ「 (うお~~~!ホテルまで走ろうかな・・・。) 」
ローガンがホテルの部屋から廊下へ出る。
エレベーターの前にララとクリスが立っていた。
ララ「 ! 」
ローガン「よぉ。」
リア「 ? 」
ララ「・・・・ローガン。」
ローガン「こんなところで会うとは奇遇だな。」
リア「 (この子・・・昔ローガンちで見かけた子。) 」
クリス「ララ、知り合いかい?」
ララ「えぇ・・・。」
クリス「そうか。お先に、どうぞ。」
ローガン「いえ。せっかくなんで一緒に。」
クリス「そうですか。」
エレベーターに全員が乗り込む。
リア「 (ローガン・・・・。) 」
リア「 (怖い目してる・・・。こういう目のときはローガン・・・すごく怒ってるときだ・・・。) 」
ローガン「・・・・。」
静かなエレベーターの中。
気まずい空気が流れる。
ララ「・・・・。」
ララ「 (ローガン、私と目を合わせようとしない。なにを考えてるの・・・?) 」
ローガン「・・・・。」