ローガン「どしゃ降りだな。来るの大変だったろ?」
ディーン「雨のせいで飛行機遅れてたしな~。」
ディーン「・・・それにしても、でかくなったな~アダム。」
ローガン「ああ。」
ディーン「俺が最後にみたの、ブリッジポートを出る前に一度だけだけど。」
ローガン「子供の成長はあっという間だ。」
ローガン「最近ちょっとしゃべるようになったんだ。まだ単語くらいだけど。」
ディーン「そうなんだ?今何歳だっけ?」
ローガン「来月で3歳だ。」
アイビー「ローガンたまに公園に連れて行ってくれるんだよ。」
ディーン「へぇ~。意外だな。」
ローガン「仕事の合間の気分転換になるしな。」
アイビー「おかげですごく助かってるよ。」
ディーン「歩くのはどうなんだ?」
ローガン「ゆっくりなら一人で歩けるな。走るのはすぐ転ぶけど。」
ディーン「やっぱり障害が残ってるんだな。」
アイビー「うん・・・。」
ローガン「でもこいつボール遊びとか好きだから、そのうち走るようになるだろ。」
ディーン「そっか。」
ディーン「お前らの様子みにきたのもあるんだけど、実は報告があって来たんだ。」
ローガン「報告?」
ディーン「ああ。」
ディーン「ラトが今妊娠中でさ。安定期入ったところ。」
ローガン「そうか。よかったな!」
アイビー「おめでとう。ずっと子供欲しがってたもんね。」
ディーン「うん。でも安定期入るまで色々大変だったんだよ。ラトが情緒不安定になっちゃってw」
ローガン「そうだったのか。」
ディーン「落ち着くまで実家に帰らせようかとおもったんだけどさ、前回のことがトラウマになってて絶対帰らないって言い張るし。俺も仕事が忙しい時期だったりしてさ~。」
アイビー「今はもう落ち着いた?」
ディーン「ああ。まだつわりは辛いみたいだけどな。お医者さんから大丈夫って言われたから安心したみたい。俺も医者なのに、俺の言うことは信用してくれないんだよな~w」
ローガン「ははっwあいつらしいな。」
ディーン「それよりローガン。」
ローガン「うん?」
ディーン「お前子供嫌いじゃなかったっけ?」
ローガン「嫌いというより周りにいなかったからどう接すればいいかわからなかったんだよ。」
ディーン「なんか見ない間に父親っぽくなってないか?」
ローガン「そうか?俺もだいぶ慣れたからな。」
ディーン「まさかと思うけど、お前ら結婚するとか言い出すんじゃないだろうな?」
アイビー「え?w」
ディーン「マジでやめてくれよ。俺、お前が弟になるとか絶対イヤだからな。」
ローガン「ははっw」
アイビー「ディーン、変な心配しなくていいよ。ローガンはすごくよくしてくれてるけど、お兄ちゃんみたいな感じだし。そういうのはないから。」
ディーン「ホントか~?お前もよく知ってるだろ。こいつの女癖の悪さ。」
ディーン「ローガン、俺との約束覚えてるよな?」
ローガン「妹に手出すなってやつか。もちろん覚えてるよ。」
アイビー「そんな約束してたんだ?w」
ローガン「手なんか出してねぇよ。女には困ってない。」
ディーン「そのへんは相変わらずだな。」
ローガン「職業柄モテるからな。」
ディーン「それなら安心したよ。」
アイビー「ディーンってば・・・w」
ディーン「お前らも、よかったらラトとおなかの子に会いに来てやってくれよ。」
ローガン「それで今回一緒じゃなかったのか。」
ディーン「安定期入ったとは言っても、初産だから大事にしたいんだよな。」
アイビー「そうだよねぇ。」
ローガン「今度出張あったら寄るよ。」
ディーン「おう。今度はうちに泊まっていけよ。」
ローガン「そうだな。じゃあ次は遠慮なく。今夜は?泊っていくんだろ?」
ディーン「いや、今日は部屋とってあるんだ。明後日までいる予定だから、明日街を案内してくれよ。」
ローガン「わかった。カジノだろ?」
ディーン「そうw」
日が落ちたラッキーパームス。
静かにさざなみの音だけが聞こえてくる。
アイビーがベビーベッドにアダムをゆっくりとおろす。
アダム「ママ・・・。」
アイビー「ちょっとお片付けしてくるね。」
アダム「あむ・・・。」
アイビー「くまさんと一緒に待っててくれる?」
アダム「くまたん・・・?」
アイビー「そうくまさん。ローガンが買ってくれたんだもんね。アダムのお気に入りでしょう?」
アダム「くまたん。」
アイビー「いい子ね。すぐ戻るね。」
アダムを一人残して部屋を出ていく。
アイビー「ローガン入るね。洗濯物持ってきた。」
ローガン「ああ。」
部屋に入るとローガンはデスクに向かい仕事をしている。
ローガン「アイビー。」
アイビー「うん?」
ローガン「昼間ディーンにはああ言ったけど、俺は結婚してもいいと思ってる。」
アイビー「え?」
ローガン「俺は一生結婚するつもりはなかった。でもお前やアダムと暮らすようになってから考えが変わった。」
アイビー「・・・・。」
ローガン「たしかに、俺もお前のことは妹のように思ってるし、お前に対して恋愛感情はない。」
アイビー「・・・うん。」
ローガン「だがアダムのことを考えたら、やはり父親の存在は必要だと思う。この先成長して周りのことがわかるようになったらなおさらな。」
アイビー「・・・。」
ローガン「もしお前がこのままこの関係を続けるつもりなら籍を入れるのも悪くないんじゃないか。」
アイビー「・・・でもローガンこの前私に言ったよね?恋愛しろって。」
ローガン「ああ。」
アイビー「もし私やローガンに、他に恋人ができたらどうするの?」
ローガン「その時は付き合えばいいと思うし、自由でいいと思う。お前が結婚したい男が現れたら、籍を抜けばいい。」
アイビー「(そんなの都合良すぎない・・・?)」
ローガン「すぐに答えを出す必要はない。いつか父親として俺が必要になったら頼れってことだ。」
アイビー「・・・・。」
ローガン「シャワー浴びてくる。」
アイビー「・・・。」
アイビー「・・・・。」
数日後。
スターライトショア。
11月の晴れた朝は空気が澄んでいた。
ジーン「どれがいい?」
アンドレア「ハチさん!」
ジーン「ハチさんね。じゃあしっかりここ握ってね。」
アンドレア「はぁい!」
コインを入れて乗り物が動きだすとキャッキャとアンドレアが楽しそうに声を上げる。
ジーン「アンちゃん、楽しい?」
アンドレア「アンちゃん楽しい~!」
ジーン「ははっw 可愛いなぁw」
にこやかな二人の様子をすぐ傍のベンチでララが眺めている。
アンドレア「ぶ~ん!」
ジーン「あははw 気を付けて。手を離しちゃだめだよ。」
アンドレア「あ、終わっちゃった!」
ジーン「終わっちゃったね。」
アンドレア「パパ抱っこ~。」
アンドレアがジーンへと手を伸ばす。
ジーン「はいはいw 次なにしよっか~?」
アンドレア「高い高いして~。」
ジーン「高い高いね~。オッケー。」
ジーン「たかいたか~い!」
アンドレア「きゃ~!たか~いwww」
ジーン「あははw怖かった?」
アンドレア「たのしい~!」
ジーン「ホント可愛いなぁアンちゃんは。」
アンドレア「パパ大好き~。」
ジーン「俺も大好きだよ~。」
ジーンがアンドレアを愛おしそうに抱きしめる。
その様子を見つめるララ。
ララ「(もう・・・アンドレアってば・・・。)」
ジーン「じゃあ次は砂場で遊ぼうか。」
アンドレア「砂場~?」
ジーン「ちょっとだけウサギさんと遊んでてくれるかな?ママとおしゃべりしてくるね。」
アンドレア「はぁ~い。」
ジーンがゆっくりとベンチへ腰かける。
アンドレア「ごめんね。あの子若い男の人をすぐパパって呼ぶのよ。」
ジーン「そうなのかw」
アンドレア「幼稚園に通いだしてから、他の子のパパが羨ましいみたい。」
ジーン「きっと父親が恋しいんだね。」
アンドレア「そうなのかもしれないわね~w」
アンドレア「ジーンさんは毎年会いに来てくれるから、アンドレアも覚えてたわね。」
ジーン「嬉しいよ。去年はまだしゃべれなかったから、会話できるのがすごく楽しいw」
アドレア「ふふっw やっぱり父親の存在は必要よね。あの子も色々わかってくる年ごろだし。」
ジーン「そうだよね。」
ララ「ちょっと前にね、パパはどこなの?って質問されて、私なにも答えられなかったわ。」
ジーン「そっか。」
ララ「いつかきちんと説明しなきゃいけない時がくるわよね。」
ジーン「そうだね。」
ジーン「最近どうなの?いい人はできた?」
ララ「今はいないけど、今度デートすることになったの。近所に引っ越してきた男性で、バツイチなんですって。」
ジーン「へぇ~。子供は?」
ララ「奥さんが引き取ったらしいわ。」
ジーン「子供がいた人なら理解ありそうだね。」
ララ「そうよね。」
ララ「ジーンさんは?」
ジーン「うん?」
ララ「いい人はいないの?」
ジーン「う~ん、俺は・・・。」
ララ「まだアイビーを探しているのね?」
ジーン「うん・・・なかなか情報がなくてね。」
ララ「そう・・・。私もたまにメールしてるけど、ほとんど返信ないわよ。」
ジーン「そっか。」
ララ「ええ・・・。なにかあったら連絡するわね。」
ジーン「うん。助かるよ。」
ララ「(返信が少ないのは本当だけど・・・アイビーとの約束だから、ジーンさんにはアダムのことは言えない・・・。知ったら驚くわよね・・・。)」
ララ「私ね、そろそろ仕事復帰しようかと思ってるの。」
ジーン「そうなの?職場は?ブリッジポートに戻るの?」
ララ「ううん、ショアの警察署。前の上司が紹介してくれるっていうし、試験受けようかと思って。」
ジーン「アンちゃんが幼稚園なら昼間時間できるし、実家なら家族が看ててくれるか。」
ララ「実家もそろそろ出ようと思ってるのよ。」
ジーン「そうなの?」
ララ「親にばかりいつまでも頼っちゃだめだって思って。私も自立しないと。」
ジーン「そっか。えらいな。」
ララ「ジーンさんも仕事忙しいんじゃないの?今じゃ売れっ子デザイナーでしょう?この前のショー素敵だったわ。テレビで紹介されてた。」
ジーン「そうなんだ?」
ララ「ええ。」
ジーン「母さんが亡くなって独りになったから、夢中で仕事してたんだよ。そしたらなんか注目されるようになって、オファーが殺到してさ。」
ララ「辛かったわよね、色々重なって。(アイビーの引退直後だったものね・・・。)」
ジーン「ああ。でも忙しかったおかげで寂しさを感じる暇なかったかな。」
ララ「今はもうスタイリストとしては仕事していないの?」
ジーン「たまに呼ばれたらやってるよ。昔からの知り合いとかにだけ。」
ララ「そう。もうデザイナーの仕事に集中してるのね。」
ジーン「うん。一人でやってるから、そのほうがいいんだ。」
アンドレア「パパァ~!」
アンドレアが立ち上がりジーンを呼ぶ。
ジーン「どうした~?」
ララ「アンドレア、パパじゃなくてジーンさん、でしょう?」
アンドレア「遊んで~!」
ジーン「ごめんごめんw」
アンドレア「抱っこ~。」
ララ「もう、甘えん坊なんだから。」
ジーンがアンドレアを軽々と抱き上げる。
ララ「アンドレア、ジーンさん、は?」
アンドレア「イヤ~!」
ララ「まったくもう・・・。」
ジーン「いいんだよw」
ララ「・・・・え?」
ララ「ローガン・・・?」
ジーン「え?」
ローガン「・・・?」