深夜。
全員が帰ったあとにローガンとララは後片付けをしていた。
ララ「ふぅ・・・。これで全部ね。」
食器洗浄機にお皿をつめて、ララがため息を漏らす。
ローガン「あとは俺がやっとくから、お前先に風呂入れよ。」
ララ「そう?じゃあ・・・先に入らせてもらうわね。」
ローガン「おう。」
バスルームへ入ると、浴槽にお湯を張る。
ララ「 (さすがにちょっと疲れちゃったな・・・。今日はバブルバスにしようかしら。) 」
服を脱いでお湯に浸かる。
ララ「ふぅ~・・・。」
静かな浴室にララのため息が響く。
ララ「 (それにしても・・・今日は楽しかったわね。大勢でパーティーなんて久しぶりだったし・・・。また来年もみんなで・・・・来年になったらラトたちの赤ちゃんも一緒かしら。それも楽しみね。) 」
ララ「 (ダンスもすごく楽しかったな。ローガン、ダンスもうまいし・・・あの人に苦手なものなんてないんじゃないかしら?) 」
ララ「 (私・・・・ジーンさんがアイビーと踊っててもなにも感じなかった・・・。それよりもむしろ・・・・。) 」
ララ「ハァ~・・・・。」
ララがバスルームから出てくる。
ローガンはまだキッチンに立っていた。
ララ「お風呂どうぞ。」
ローガン「ああ。コーヒー、お前も飲むか?」
ララ「ローガン、入らないの?」
ローガン「あとで入る。」
ララ「じゃあ・・・もらおうかしら。」
二人がテーブルにつく。
ローガン「お前今日はあんまり呑んでなかったな。」
ララ「そう?」
ローガン「ジーンさんや母親の前で大失態犯すわけにいかないもんな。」
ララ「べつにそういうわけじゃないけど・・・。」
ララ「そもそも私、いつもそんなに泥酔するほど呑まないわよ。あのときはたまたまよ。」
ローガン「そうか。」
ララ「ストレスもあって悪酔いしちゃっただけじゃないの・・・。」
ララ「そういえば明日日曜だけど、ローガンお休み?」
ローガン「いや、午後からちょっと調べ物しに図書館行ってくる。」
ララ「そうなの・・・。(休みだったら映画でもって思ったんだけどな・・・。) 」
ローガン「お前、好きなシリーズの映画がもうすぐ公開するとか言ってなかったっけ?」
ララ「え?・・・ええ。よく覚えてるわね・・・。今日公開したはずよ。」
ローガン「そうか。今度観に行くか。」
ララ「ローガン、つきあってくれるの?」
ローガン「ああ。来週だったら大丈夫だと思う。」
ララ「ホントに?じゃあ席予約しておくわね。」
ローガン「おう。」
ララ「ツリー、どうしましょうか?今から片付ける?」
ローガン「いや、今度でいいだろ。まだ出してから一週間もたってないし。面倒だからしばらく飾っておこうぜ。」
ララ「それもそうね。来年はもっと早めに出さないといけないわね。」
ローガン「来年はうちじゃなくてディーンちにしてもらおうぜ。」
先に目を覚ましたアイビーがそっとベッドから抜け出す。
振り返って、寝ているロミオの寝顔を見つめた。
アイビー「 (よく寝てる・・・。ロミオ、最近疲れた顔してたしあんまり寝てなかったんだろうな・・・・。) 」
音を立てないように、窓際へ移動する。
アイビー「 (雪・・・・まだ降ってる。) 」
アイビー「 (ブリッジポートでこんなに降るなんて珍しいな・・・。今日の撮影は野外のはずだけど・・・・大丈夫かな?) 」
アイビーが小さく体を震わせ、肩を抱く。
アイビー「 (暖房入ってるとはいえ・・・窓際はさすがに寒いな・・・。) 」
アイビー「 ! 」
アイビー「ロミオ・・・・。起きたんだ?」
ロミオ「風邪ひくぞ。」
アイビー「ふふっ。大丈夫だよ。ロミオがいてくれれば、あったかいから。」
ロミオ「あほ。二人で風邪ひいたらどうする。」
アイビー「そしたらベッドでも一緒にいられる。」
アイビー「もうそろそろでかける準備しないと・・・。」
ロミオ「今日の撮影野外なんじゃないのか?中止だろ。確認してみろよ。」
アイビー「そうかもしれないけど・・・あんまり時間ないから、スタジオのほうに切り替わるかな。」
ロミオ「・・・・行かせたくねぇな・・・。」
アイビー「終わったら・・・ここに戻ってきてもいい?」
ロミオ「ああ。」
アイビー「・・・嬉しい。」
アリアナ「せんぱ~い。」
アリアナ「ちょっと先輩!聞いてくださいよ~。」
服のよれを直しているリアのそばに、後輩のスタッフがかけよる。
リア「どうしたの?」
アリアナ「さっきの休憩のとき彼からメールきてたんですけど、今日のデート、ずっと前から約束してたのに急にいけなくなったとか言い出したんですよ!どう思います?」
リア「ふぅ~ん。」
アリアナ「クリスマスもイブしか会ってくれなかったし、最近ちょっとおかしいんですよ。絶対浮気してると思うんですよね!」
リア「へぇ~。大変だね~。」
アリアナ「もう絶対浮気はしないって約束したのに!むかつきません?」
リア「そうだね~。」
リア「 (またはじまった。もう毎日のように愚痴聞かされてる・・・。彼氏の愚痴、家族の愚痴、友人の愚痴・・・ホント毎回おんなじようなことばっかり愚痴ってる。)」
アリアナ「それでね先輩。私絶対怪しいと思ってこのあいだ彼の携帯見たんですよ。そしたらロックかかってて!前はロックなんかかけてなかったのにですよ?絶対怪しいですよね?」
リア「そうだねぇ~。」
リア「 (どうでもいいっつーの。だいたい、毎回おんなじような恋愛ばっかりしてるあんたが悪いんでしょ。もっと経験を活かしなさいよ。かといって人のアドバイスは聞きやしないし。結局愚痴ってばっかりの人って、聞いてほしいだけなのよね。誰かに聞いてもらってストレス発散してるんだろうけど、聞くほうの身にもなりなさいっつーの。こっちがストレスたまる。) 」
リア「 (だから私はなにも言わない。貝になる。どうせアドバイスしたって無駄なんだから。適当に返事しとけばいいのよ。それで相手は気が済むんだから。) 」
リア「 (でもこういうやつにかぎって、人の相談は超適当に返すのよね。相手の気持ちわかってないんだから。だからいつまでも同じようなこと愚痴ってるんだろうけど。結局人の気持ちがわからないのよ。完璧な自己中ね。) 」
リア「 (あんたがどれだけの人間だっていうの?毎回愚痴がでるほど、あんたはすごい人間なわけ?たいした人間でもないのに・・・。第一たいした人間だったら人に愚痴なんて言わないわよ。そこに気づきなさいよね。) 」
リア「 (ああもうホント嫌になる。そしてそれをはっきり言えない自分も嫌・・・。真ん中っ子って、相手の顔色ばっかりうかがっちゃう・・・。私、末っ子に生まれたかったな・・・。) 」
アリアナ「・・・なんですよね!どう思います?先輩。」
リア「そうね~・・・あ、お客さんよアリアナ。ほら、レジに戻って。」
リア「いらっしゃいませ~。」
アリアナ「いらっしゃいませ~。」
リア「 ! 」
ララ「あなた・・・・ローガンの・・・。」