秋。
ブリッジポート。
ジーン「(昨日の雨で土がぬかるんでる・・・。玄関前に女性の足跡・・・。」
ジーン「(アイビー・・・・。)」
気付くと黒塗りの車が停車し、中から黒服の男性が降りてくる。
マシュー「またいらしてたんですね。」
ジーン「マシューさん。」
マシュー「あなたも懲りない人ですね。」
ジーン「アイビー来てたんでしょう?ここに足跡がある。」
マシュー「来ていたとしても、私からはなにも話せません。」
ジーン「彼女は今どこにいるんですか。」
マシュー「それもお答えできません。」
ジーン「マシューさん・・・。」
マシュー「忘れろと、言われたはずです。」
ジーン「・・・・。」
マシュー「あなたはあなたの人生を生きるべきだと。」
ジーン「俺が俺の人生をどう生きようと、俺の勝手です。」
マシュー「・・・まぁ、確かに。じゃあ私はこれで。」
ジーン「なにしにここへ・・・。」
マシュー「見回りですよ。あなたがいるなら問題ないでしょう。」
マシュー「では。」
ジーン「・・・・。」
ジーン「(彼はいつもなにも答えてはくれない。でも・・・アイビーは確かにここに来ている。少なくとも年に1、2回は・・・。)」
ラッキーパームス。
深夜。
ローガンが自室のパソコンに向かい仕事をしている。
静かな部屋にキーボードをたたく音だけが響いている。
「ロミオ!!」
突然悲鳴のような叫び声が闇夜を劈く。
ローガン「・・・!」
足早にアイビーの部屋へと駆けつける。
ローガン「どうした?!」
アイビー「ローガン・・・・ロミオが・・・。」
涙に濡れた頬。
ローガン「またあの夢か?」
アイビーが小さく頷く。肩が震えている。
ローガン「大丈夫だ。お前は悪い夢をみただけだ。」
アイビー「でも・・・ロミオが・・・。」
ローガン「ロミオさんはもういないんだ。」
アイビー「うぅ・・・。」
ローガンがアイビーを抱きしめる。
ローガン「お前は一人じゃない。俺もアダムもちゃんとここに居るから。」
アイビー「ごめんなさい・・・。私のせいで・・・。」
声を震わせながらアイビーが泣き続ける。
ローガン「誰も悪くなんてない。あれは事故だったんだ。」
アイビー「うぅ・・・っ。」
ローガン「大丈夫だから。」
アダム「うわぁ~~ん。」
ベビーベッドの中からアダムが泣き始める。
ローガンがアイビーの背中を優しく擦る。
ローガン「大丈夫だ。アダムのことは俺に任せて、お前はここにいろ。」
アダム「ママァ~~~。」
ローガンがゆっくりとアダムに駆け寄る。
ローガン「お前まで泣かなくていい。大丈夫だ。」
アダム「ママァ・・・。」
ローガン「おいで。ママは怖い夢をみただけだよ。」
ローガンが抱き上げるとアダムが少しづつ泣き止む。
ローガン「アダムは俺の部屋で寝かせるから。お前はゆっくり寝てろ。」
アイビー「ローガン・・・ごめんね・・・。」
ローガン「気にするな。長旅で疲れが出たんだろう。」
アイビー「・・・・。」
ローガン「おやすみ。」
ローガン「行こうか。」
アダム「ママァ・・・。」
ローガン「ママなら大丈夫だよ。静かに寝かせてあげような。」
二人が部屋から出ていく。
アイビー「(アダムはどんどん大きくなってるし・・・ローガンだって変わった。私だけ・・・なにも変わってない。)」
アイビー「(あの頃からなにも・・・。)」
アダム「ふぇぇ・・・。」
ローガン「眠いよな。ビックリさせちゃってごめんな。」
アダム「ママァ~・・・・。」
ローガン「いい子だから。今夜は俺と寝ような。」
アダムが小さくあくびをする。
ローガン「眠いか。まだ4時だもんな。」
アダムをベッドに寝かせてしばらくするとすやすやと寝息をたてはじめた。
ローガン「(ホント寝つきがいいな・・・。)」
ローガン「おやすみ。」
アダムの頭を優しく撫でる。
ローガンがゆっくりと立ち上がる。
サイドテーブルの明かりを消して、再びパソコンへと向かう。
ローガン「(年に何度か、アイビーはロミオさんの夢をみて夜中に泣くことがある。3年経った今でも、呪縛みたいに・・・。)」
ローガン「(昨日まで墓参りでブリッジポートに帰ってたから、今夜はなおさら辛いだろう・・・。)」
ローガン「(あいつはいつになったら前に進めるのかな・・・。)」
翌日。
アイビーがキッチンで洗い物をしている。
アイビー「(ローガン起きたかな・・・。シャワーの音がしてる。)」
ふと脇にあるモニターに目をやる。
アイビーの部屋のベビーベッドが映し出されている。
アイビー「(アダムはよく寝てる。いい子。)」
アイビー「(この調子ならあと1時間は起きないかな。今のうちに2回目の洗濯しちゃおうっと。)」
バスルームではローガンが熱いシャワーを浴びている。
ローガン「(いつの間に寝てた・・・?起きたらアダムはもうベッドに居なかったな。)」
ローガン「(午後は顧客と打ち合わせだったか。まだ1時間はあるな。)」
アイビー「ふんふん~~♪」
バスルームから出るとベランダからアイビーの鼻歌が聞こえてくる。
ローガン「(相変わらず下手だな・・・。)」
ローガン「おはよう。」
アイビー「あ、ローガン。」
ローガン「すまん。寝すぎた。」
アイビー「何時に寝たの?もうすぐお昼だよ。」
ローガン「7時までは記憶があるんだけど・・・。」
アイビー「じゃあ4時間も寝てないね。」
ローガン「そうだな。」
アイビー「おなかすいた?なに食べたい?」
ローガン「コーヒーだけでいい。あと1時間で来客予定だ。」
アイビー「そっか。じゃあお茶出ししたあとアダムとお買い物にでかけてくるね。」
ローガン「ああ。」
アイビー「コーヒー準備するね。」
ローガン「ああ。頼む。」
アイビー「うん。」
ローガン「今日は洗濯物の量が多いな。」
アイビー「ブリッジポートから帰ったばっかりだから溜まっちゃってて。」
ローガン「そうか。」
アイビー「お休みありがとう。」
ローガン「ゆっくりできたか?」
アイビー「うん。お墓参りのあとリリィ社長やアンナさんにも会ってきたし。久しぶりに家の掃除もしてきたんだ。」
ローガン「ディーンたちには会わなかったのか?」
アイビー「・・・うん。」
ローガン「心配してるぞ。たまには顔見せに行けよ。」
アイビー「でも・・・会ったらよけいに心配かけそうだから・・・。」
ローガン「・・・・。」
ローガン「来月あいつ来るって連絡あったぞ。」
アイビー「え?ディーンが?」
ローガン「ああ。連休取れたらしい。」
アイビー「ラトも一緒に?」
ローガン「いや、ラトのことはなにも言ってなかったな。一人じゃないか?」
アイビー「そうなんだ・・・?」
ローガン「何年振りだ?3年くらいか?」
アイビー「そうだね・・・。3年経ったかな。」
ローガン「実家には連絡してるのか?」
アイビー「たまにママからメール来るよ。」
ローガン「そうか。」
アイビー「私も近況だけ・・・返信してる。たまにだけど。」
ローガン「お前の家族だから俺はなにも口出ししないよ。」
アイビー「・・・・。」
ローガン「だけどなにか困ったことがあったらいつでも言え。俺に遠慮すんなよ。」
アイビー「ありがとうローガン。」
アイビー「ゆうべのこともまだお礼言ってなかった。」
ローガン「ああ、気にすんな。」
アイビー「ありがとう。それから・・・ごめん。」
ローガン「よく眠れたか?」
アイビー「・・・うん。」
ローガン「お前も家にばかりいないで、たまにはアダムと出かけてこい。」
アイビー「でかけてるよ?」
ローガン「買い物か近所の公園くらいだろ。それじゃあ出会いもない。」
アイビー「ママ友ならいるし・・・。」
ローガン「そうじゃなくて。お前もまだ若いんだから恋愛しろって言ってるんだよ。」
アイビー「・・・アダムもまだ小さいし、私まだそういう気分には・・・。」
ローガン「わかってる。すぐにじゃなくても、そのうちそういう時も来るだろ。お前はもう少し、家の中ばっかりじゃなくて外に出たらいい。俺に遠慮しなくていいから。」
アイビー「・・・。」
ローガン「アダムのことは俺が看てるから、たまには一人ででかけてもいいんだからな。」
アイビー「ローガン、お兄ちゃんみたい。」
ローガン「みたいなもんだろ。」
更新待ってました~~!!!><
返信削除久しぶりに大好きなローガンがみれて嬉しいです♪
アダムが大きくなってる・・・!
もうアイビーたちは3年も月日がたったんですね・・!今後の展開も楽しみにしてます~!(*^^*)
Aさん>
削除コメントありがとうございます(´∀`)
まさかまだ読んでくださっている方がいたとは!
今回ローガンはアイビーと一緒なので必然的に出番が増えますw
今年に入ってCC制作ばかりしてたのでそろそろストーリー進めたいと思います。