ララ「着いたばかりでしょう?疲れてない?」
ラトーシャ「大丈夫。早く会いたかったし。」
ララ「ありがとう。」
アイビー「ララのほうこそ平気?退院してまだ日も浅いでしょう?」
ララ「帝王切開だったから、出産後もしばらくは退院できなくて。一昨日ようやく退院できたの。」
アイビー「体平気?」
ララ「ええ。実家のほうが落ち着くし、ママもいてくれるから。」
ラトーシャ「それなら安心だね。」
ララ「うん。パパは久しぶりの女の子ではしゃいじゃってw」
アイビー「そうなんだ?」
ララ「自分にそっくりだなんて言い出すのよw」
ラトーシャ「・・・・。」
ララ「目元なんて、ローガンそっくりよね。」
アイビー「うん。」
ラトーシャ「ララ・・・ご両親には話してないんだよね?」
ララ「ローガンのこと?ええ。これからも話すつもりはないわ。」
ララ「二人は、ローガンと連絡とってる?」
アイビー「ううん。」
ラトーシャ「私も。ディーンは・・・たぶん連絡とってると思う。何も言わないけど。」
ララ「そう・・・。」
ララ「そんなことよりアイビー。」
アイビー「うん?」
ララ「いろいろ大変だったわね。お葬式、行けなくてごめんなさい。」
アイビー「気にしないで。妻でもないのに勝手に喪主やったのは私だし。ララが身重なのはみんなわかってるもん。」
ララ「私ももっと・・・ロミオさんと話がしてみたかったわ。」
アイビー「そうだね・・・。ロミオもきっとそう思ってると思う。」
アイビー「それに・・・今回のことで私もすごく周りに迷惑かけちゃったんだ。ラトにもすごく心配かけたしララにも・・・。」
ラトーシャ「当然じゃない。親友でしょ。」
アイビー「ありがとう・・・。最近は仕事もちょっとずつだけど元の生活に戻っていってるから大丈夫。ご飯もちゃんと食べてるし。」
ララ「そう。今日ね、アイビーの顔見て私すごく安心したの。だいぶ痩せてるけど、顔色はよさそうだわ。」
アイビー「うん。ごめんね心配かけて。」
ララ「ううん。アンドレアのこともあるし私はそばにいてあげられないから、なにかあってもすぐには飛んで行ってあげられないもの。それでも話くらいなら聞くから、なにかあったらいつでも電話してね。」
アイビー「ありがとう。そうする。アンちゃんの写真もいっぱいメールで送ってくれる?」
ララ「もちろんよ。毎日でも送るわ。」
アイビー「うん。」
ララの腕の中でアンドレアがぐずりだす。
ララ「ミルクの時間だわ。ちょっと準備するわね。」
ラトーシャ「うん。」
アイビー「ララ。抱っこしてみてもいい?」
ララ「もちろんよ。」
ラトーシャ「私も抱っこしたい。」
ララ「ふふっw じゃあアイビーからね。」
アイビー「私周りに小さい子とかいなかったから抱き方わからないんだ。」
ララ「教えるわ。こっちにきて。」
ララ「首と頭を支えて包むようにそっとね。」
アイビー「うん。」
アイビーがララの腕の中から小さなアンドレアをそっと受け取る。
アイビー「わぁ~・・・・思ったよりすごく小さいな。」
ララ「そう?私は最初重いって感じたわ。赤ちゃんってもっと小さいものだと思ってた。」
アイビー「そうなの?」
アイビー「アンちゃんこんにちは~。アイビーおばちゃんですよ~。」
ララ「ふふっw おばちゃんだなんてw」
アイビー「え~だってアンちゃんにとってみればおばちゃんだよね?」
ラトーシャ「ララとアイビーはいとこだもんね。アイビーの子供が生まれたら二人ははとこになるんだ?」
ララ「そうね。」
アイビー「 (子供かぁ・・・・。こんなに小さいのに・・・すごくあったかいな・・・・。) 」
ラトーシャ「 (アイビーも・・・きっとロミオさんの子供が欲しかったよね・・・・。私ってば無神経なこと言っちゃったな・・・・。) 」
ララ「ディーン、来れなくて残念だったわね。二人はゆっくりしてから帰るんでしょう?」
ラトーシャ「うん。私は4,5日実家に泊まるつもり。」
ララ「アイビーは?明日仕事なの?」
アイビー「うん。でもBiBiの撮影だけで夜だから、一泊して明日の午前中に帰る予定なんだ。」
ララ「そう。一泊でも実家に帰れるならよかったわね。」
アイビー「うん。久しぶりにクリフにも会えるし。」
ララ「ネオさんの子?」
アイビー「そう。」
ララ「アイビーのところは賑やかそうでいいわね。」
アイビー「うん。サムちゃん一人いるだけで明るいからねw」
日が落ちる前にララの家を出たアイビーは、久しぶりに実家へとやってきた。
アイビー「 (クリフの出産祝いのとき以来だな~。いろいろあったから、すごく久しぶりな気がする。) 」
玄関のチャイムを鳴らすとすぐにクレアが出迎えた。
クレア「おかえりなさいアイビー。待ってたのよ~。」
アイビー「ただいまママ。」
クレア「疲れてない?」
アイビー「大丈夫。」
クレア「おなかすいてない?まだちょっと夕飯には早いし、お茶にしましょうか。昨日サムちゃんと一緒にクッキー焼いたの。」
アイビー「さっきララのとこでもケーキいただいたから、それ食べたら晩御飯入らなくなっちゃいそうw」
クレア「ダメよ食べなきゃ。あなたもうちょっと太らないと。ちゃんと食べてるの?」
アイビー「食べてるよ。ラトがいまでも時々来てくれてるんだ。」
クレア「そう。プロがついてるなら安心ね。」
アイビー「うんw」
クレア「荷物それだけなの?」
アイビー「一泊だけだから。私のパジャマあるよね?」
クレア「もちろんあるわよ。もっとゆっくりしていけばいいのに~。」
アイビー「また連休とれたときにゆっくり帰るよ。」
クレア「それがいいわ。」
クレア「コーヒー?紅茶?」
アイビー「コーヒーがいいな。」
クレア「コーヒーね。了解。」
サマンサ「ママさんバスルームのお掃除終わりました~。」
バスルームのドアが開いてサマンサが出てくる。
アイビー「サムちゃん。」
サマンサ「アイビーちゃん!おかえり~。音楽聴きながら掃除してたから全然気づかなかった~。」
アイビー「あははwサムちゃんあいかわらずだねw元気だった?」
サマンサ「うん!アイビーちゃんも元気そうで安心した~。」
アイビー「サムちゃんにもいろいろ手伝ってもらって・・・葬儀のときのお礼まだちゃんと言えてなかったよね。ありがとうね。」
サマンサ「そんなの気にしないで~。私アイビーちゃんのおねえちゃんなんだから!」
アイビー「そっかw」
サマンサ「そうよ~。」
サマンサ「聞いてアイビーちゃん!報告があるのよ。」
アイビー「なあに?」
サマンサ「私ね、今二人目妊娠中なの!」
アイビー「ホントに??」
サマンサ「うんw いま3ヶ月なの。つわりもなかったから全然気づかなくってw」
アイビー「おめでとう!」
サマンサ「ありがと~。ネオさんは次は女の子がいいって言ってるの。」
アイビー「そうだねw まだどっちかわからないんだよね?」
サマンサ「うん。クリフももうお兄ちゃんになるね。」
アイビー「クリフは?」
サマンサ「いるよ~。さっきまで寝てたんだけど・・・起きたかな?」
サマンサがベビーベッドへと近づく。
サマンサ「あ、起きてたみたいw この子いっつも静かだからホント手がかからないんだよ~。」
アイビー「えらいね~。」
サマンサ「でしょ~?クリフ~、アイビーちゃん帰ったよ~。」
サマンサがベッドからクリフを抱き上げる。
アイビー「おっきくなったね~。」
サマンサ「8ヶ月だよ。抱っこする?」
アイビー「うん。」
アイビーがサマンサの腕からクリフを受け取る。
アイビー「やっぱりララのとこのアンちゃんよりだいぶ重いな~。」
サマンサ「ララちゃんて、お友達だっけ?」
アイビー「そう。いとこなんだ。パパ同士が兄弟なの。」
サマンサ「あ~、結婚式のときに来てくれてた綺麗な子だ?」
アイビー「そうそう。一昨日退院したばっかりでね、赤ちゃんもすっごく小さかった。」
サマンサ「クリフも小さいって言われるけどもう8ヶ月だもんね。生まれたばかりの子のあとだとかなり重く感じるねw」
アイビー「うんw」
アイビー「 (8ヶ月でもう顔立ちもしっかりしてる。生まれたばっかりのときはお猿さんみたいだったのに・・・。こんなに小さくても、しっかり成長してる・・・生命ってすごいな・・・・。) 」
サマンサ「クリフは大人しいから、妹か弟ができたらネオさんみたいにしっかりしたお兄ちゃんになってくれそうでしょ?」
アイビー「そうだねw」
サマンサ「アイビーちゃんたち兄弟も多いし、ママさん大変だったんじゃない?」
クレア「そりゃあ大変だったわよ~なんてったって双子だもの。」
サマンサ「やっぱりそうですよね。双子ってすごく憧れるけど、実際はきっと大変なんだろうな~って、クリフ出産したときに思いましたw」
クレア「アイビーとディーンが生まれたときまだレオンが1歳でしょう?あの子は小さいときからホントやんちゃで手がかかってね~。」
アイビー「そうなんだ?」
クレア「ディーンはしょっちゅう泣かされてたしw あなたはいっつも一人で絵本読んだりお人形遊びしてたわね。」
アイビー「そうだっけ?w」
クレア「そうよ~。ディーンとレオンがよくケンカしてたから、ネオにはあの二人の仲裁ばっかりやってもらってたわねw。」
サマンサ「あははwそれすごく想像できるなw」
クレア「小学校にあがってからはアイビーもお友達もできて、家でもディーンと遊んだりしはじめたわね。その頃はレオンもサッカークラブに入ってちょっとケンカが減ったわね~。」
アイビー「フランスに旅行に行ったよね?あのときのことはすごくよく覚えてるよ。」
クレア「懐かしいわね!パパとのハネムーンで行った場所だったのよ。」
アイビー「そうだったね。その話してくれたのも覚えてるよ~。」
サマンサ「ネオさんの子供の頃ってどんなだったんですか?すごく聞きたいです!」
クレア「アルバムがあるわよ。見てみる?」
サマンサ「はい!」
クレア「じゃあ探してくるからサムちゃんはお茶の準備しててね。」
サマンサ「は~い。」
翌日。
BiBiの撮影が終わりアイビーはまっすぐに家へと帰ってきた。
誰もいない部屋はひんやりと冷たい空気が漂っている。
窓辺へ立って外を眺める。
静かに波音が聞こえてくる。
アイビー「・・・・。」
じっと暗い海を見つめるアイビー。
しばらくすると思い切ったように携帯電話を手にとる。
ゆっくりと登録された番号を押す。
アイビー「もしもし私です。夜分遅くにすみません。」
アイビー「明日、お伺いしてもいいですか?」