リリィ「並んだわね。」
アンナ「そうですね・・・。」
アンナ「関係者などは呼ばなくてよかったんですか?」
リリィ「関係者なんて・・・いないわよ、本当に仲の深い人間は。」
アンナ「・・・・。」
リリィ「業界用の告別式はやったし。それに・・・。」
リリィ「彼を呼んであげたかったからね。」
リリィ「マシュー。あなた・・・これからどうするの?」
マシュー「・・・しばらく休暇に出かけるつもりです。」
リリィ「そう。」
マシュー「リリィ社長、退職金はやはり・・・。」
リリィ「いいのよ、受け取っておいて。ミラの遺言なの。」
マシュー「・・・・わかりました。ありがとうございます。」
リリィ「休暇から戻ったら、連絡してくれないかしら。」
マシュー「・・・はい。」
リリィ「あなたをうちで雇いたいの。」
マシュー「・・・・なぜ私を?」
リリィ「人手が足りないのよ。それに・・・。」
リリィ「あなたほどの人材を野放しにするのはもったいないからよ。」
マシュー「・・・考えさせていただいてもよろしいでしょうか。」
リリィ「もちろんよ。ゆっくり考えて・・・・と言いたいところだけど、できれば早いほうが嬉しいわ。」
マシュー「・・・ありがとうございます。では、失礼します。」
リリィ「またねマシュー。」
アンナ「気をつけて。」
マシューが立ち去る。
その後姿をリリィとアンナが見送る。
アンナ「いい返事が聞けるといいですね。」
リリィ「そうね。」
アイビー「・・・・・。」
看護師が泣いている赤ん坊をあやしている。
それを見つめるアイビー。
アイビー「 (か弱い泣き声・・・・。かわいいな・・・。アダムはどんな声で泣くんだろう・・・・。) 」
看護師「スカイブルーさん、よね?」
アイビー「はい。そうです。」
看護師「やっぱり。あなた毎日ここに来てるわね。」
アイビー「・・・すいません。」
看護師「なにも謝る必要ないわ。」
アイビー「はい・・・。あの・・・。」
アイビー「アダムは・・・まだ保育器ですか?」
看護師「ええ。当分は出られそうにないわね。」
アイビー「まだ会えないんでしょうか?」
看護師「もう少ししないと・・・今はまだ先生の許可もおりていないでしょう?」
アイビー「はい・・・・。」
看護師「でも大丈夫よ。毎日少しづつだけど、ちゃんと成長しているから。」
アイビー「・・・・。」
看護師「年末年始は病院も面会ができなくなるのは知っている?ここに入れるのも今日までなの。年明けは4日からよ。」
アイビー「はい。わかりました。」
看護師「なにかあったら連絡するわ。」
アイビー「ありがとうございます。」
看護師「よいお年を。」
アイビー「あなたも。」
アイビーが階段を上がる。
コートを脱ぎ部屋着に着替えると、携帯の着信音が鳴り響く。
アイビー「 (ディーンだ。今日実家帰るって言ってたっけ。) 」
アイビー「もしもし。」
ディーン『よぉ。なにしてた?』
アイビー「今帰ってきたところ。ディーン、おうち着いたの?」
ディーン『うん。さっき着いた。』
アイビー「そっちはどう?ママたち元気してる?」
ディーン『まだ会ってないんだ。サムちゃんと買い物行ってるらしい。』
アイビー「そうなんだ?パパは?」
ディーン『いるよ。ていうかお前兄貴に彼女できたの知ってたか?』
アイビー「え?知らない。ディーン会ったの?」
ディーン『それがさ、リアちゃんなんだよ!』
アイビー「リアちゃんって?」
ディーン『あれ・・・?アイビー会ったことなかったっけ?ローガンの元カノだよ。』
アイビー「ローガンの?会ったことないなぁ。ローガンに彼女いた話は、ララから聞いてたけど・・・。」
ディーン『そっかぁ~。』
アイビー「え?!ていうかお兄ちゃん、ローガンの彼女とつきあってるの?」
ディーン『ああ。元、だけどな。』
アイビー「そっか・・・。知ってたのかな?ローガンの彼女だったこと。」
ディーン「ああ。パチェラーパーティーのときに会ってるしな。」
アイビー『そうなんだ?』
ディーン「お前もこっちに来られたらよかったのにな。」
アイビー「そうだね・・・。まぁ、落ち着いたら実家帰るから。」
ディーン『そうしろよ。』
アイビー「うん。・・・ディーンたちは実家泊まるの?」
ディーン『今回はその予定。前はラトんちだったから。』
アイビー「そっか。ゆっくりしてきてね。」
ディーン「おう。」
ネオ「ディーン!」
ダイニングルームからネオが呼んでいる。
ディーン「は~い!今行く~。・・・アイビー、じゃあまたな。」
アイビー『うん。みんなによろしく。』
ディーン「おう。」
携帯電話を切り、ダイニングルームへ向かう。
ジェイ「アイビーか?」
ディーン「うん。よろしくって。」
ジェイ「そうか。」
レオン「ブリッジポートは雪どうだった?」
ディーン「こっちより降ってるかな~。電車走っててよかったよ。」
ネオ「毎年この時期は帰省するの大変だろう。」
ディーン「そうだね~。」
ディーン「ていうか、兄貴たち、同棲してるって?」
レオン「ああ。先月からな。」
ラトーシャ「そうなの?」
レオン「リアの職場近くで一軒家借りてるんだ。」
ラトーシャ「へぇ~。」
ディーン「それにしても、兄貴がリアちゃんと、ねぇ~・・・。」
ディーンがにやにやと笑みを浮かべる。
ラトーシャ「ディーン、レオン兄ちゃんの彼女さんのこと知ってるの?」
ディーン「まぁね~。」
レオン「 (お前・・・よけいなこと言うなよ。リアにはローガンのこと思い出させたくねぇんだからな。) 」
ディーン「 (あ、やべ・・・なんか怖い顔して睨んでる。黙ってろってことか・・・。アイビーにはもう言っちゃったけど・・・・。まぁいっかw) 」
リア「 (この子、高校の頃ローガンちで会ったことあるよね?私のことは覚えてないみたいだけど・・・ムリないか。あの頃の私と今じゃ、全然違うしなぁ。) 」
ラトーシャ「 (レオン兄ちゃんが同棲かぁ~。やっと落ち着く気になったのかな~。) 」
ジェイ「ふたりとも疲れただろう。ゆっくりしていきなさい。もうじき母さんたちも帰ってくるだろう。」
ディーン「うん。そうする。」
ネオ「いつまでこっちに居られるんだ?」
ディーン「3日に帰る予定だよ。」
ネオ「そうか。しばらくは居られるんだな。」
ディーン「そうだね。兄貴たちの新居にも遊びに行こうかな。」
レオン「来んでいい。」
ディーン「え~。」
アイビー「賑やかそう・・・。」
アイビーが立ち上がる。
アイビー「 (コーヒーでも飲もう。) 」
静かな部屋にエスプレッソマシーンの音と、コーヒーの香りが漂う。
アイビー「・・・・。」
アイビー「 (いつ帰れるかな・・・・。アダムと一緒に・・・・。) 」
マグカップを手にダイニングテーブルへ座る。
アイビー「ふぅ・・・・。」
アイビー「 (そういえば私、アダムのことディーンとラトにしか話してない。家族には言わないでって口止めしてあるけど・・・。) 」
アイビー「 (やっぱりララに内緒にできない・・・。ララにはアンドレアがいるし、アダムのことも相談できるかもしれないし・・・。) 」
アイビー「 (電話してみようかな・・・。) 」
アイビー「・・・・あ、もしもしララ?」
ララ『アイビー、久しぶりね!元気してた?』
アイビー「うん。元気だよ。ララは?」
ララ『私もアンドレアも、元気よ~。』
アイビー「そっか。」
ララ『アイビーからなんて、珍しいわね。どうしたの?』
アイビー「うん・・・。ララ、今時間ある?」
ララ『もちろん。なにかあった?』
アイビー「あのね・・・。」
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