数日後。
アイビー「どうしよう・・・大丈夫かな。私、ジェットコースターなんて乗るの、小学生以来だよ。」
ジーン「俺も学生の頃以来w」
アイビー「え?そうなの?」
ジーン「うんw」
アイビー「見てあれ。いきなり一回転するの?」
ジーン「そうみたいだねw」
アイビー「ジーン、平気そうだね。」
ジーン「俺絶叫マシーン大好きなんだw」
アイビー「そうなんだ?・・・って言ってるまにもう・・・。」
ジーン「アイビー、一緒に手上げようぜ。」
アイビー「きゃああぁぁぁ!」
ジーン「ひゃっほー!」
アイビーの叫び声が響き渡る。
アイビー「きゃああぁぁ!」
ジーン「アイビー、手上げてるし全然平気そうじゃん!」
アイビー「うん!思ったより楽し・・・。」
アイビー「いいいぃぃぃぃぅぁぁああああ!」
ジーン「うわっ!つめてぇ!!」
アイビー「あはははは!」
アイビー「わぁぁ!!イルカだ!」
ジーン「この遊園地の見どころなんだよ。」
アイビー「すごいね!」
ジーン「だよなw」
ジェットコースターの出入り口から二人が出てくる。
アイビー「超楽しかった!」
ジーン「ホント?よかったw」
アイビー「あ~もう声枯れそうw」
ジーン「アイビーすごい叫んでたもんなw」
アイビー「昔乗ったのはこんなすごいのじゃなかったんだもん。モデルになってからは遊園地なんてなかなか来れなくて。」
ジーン「ブリッジポートには遊園地ないもんな。」
アイビー「そうなんだよね。」
アイビー「ありがとうジーン。連れてきてくれて。」
ジーン「喜んでもらえてよかったよ。」
アイビー「うん。すっごい楽しい。学生時代に戻ったみたいw」
ジーン「じゃあ次なに乗ろうか?」
アイビー「次はゲームがしたいなw」
ジーン「オッケー。今日は一日遊び倒そうぜw」
アイビー「うん!」
アイビー「おいしいね。」
ジーン「うん。喉乾いてたからちょうどいいなw」
アイビー「まさかローリングハイツに来るとは思わなかったなw」
ジーン「ブリッジポートから直行便で1時間半で来れるから日帰りで帰れるし、遊ぶにはちょうどいいだろ?」
アイビー「そうだね。あんまり来たことなかった。」
ジーン「そうなんだ?」
アイビー「ジーンがこういうデートプラン考えてくれたのも、意外だったなw」
ジーン「そう?」
アイビー「うん。」
ジーン「息抜きになるだろ。」
アイビー「すっごくいい息抜きになったよ!」
ジーン「そりゃあよかったw」
アイビー「こんなに声出したのも久しぶりだったしw」
ジーン「そうだよなw」
アイビー「あ~、なんだかずっとここに居たい気分w」
ジーン「アイビー、今日は遅くなっても平気なんだよな?」
アイビー「え?うん。」
ジーン「隣に映画館あるんだ。遊園地はそろそろ閉演時間だけど、まだ最終便まで時間あるから映画観ていかない?」
アイビー「うん。いいよ。」
ジーンの肩にアイビーの髪が触れる。
ジーン「 ? 」
ジーンが頭だけを傾けてアイビーの顔を覗き込む。
アイビーの寝顔が目に入る。
ジーン「(疲れて寝ちゃったか。)」
ゆっくりと身体を動かして、アイビーの肩に腕を回す。
アイビー「・・・。」
アイビーが目を開ける。
アイビー「(気持ちいいな・・・。ジーン、あったかくて・・・)」
再び目を閉じる。
アイビー「さっきはごめんね。私、後半ずっと寝ちゃってた。」
ジーン「ははw 疲れたよな。あんだけ叫んだし。」
アイビー「うん。でも、せっかく映画連れてってくれたのに。」
ジーン「いいんだよ。気にすんな。」
アイビー「うん。ありがとう。」
ジーン「今日、一日どうだった?」
アイビー「すっごく楽しかった。こういうデート、したことなかったから。」
ジーン「ロミオさんとはいつもどういう場所でデートしてたんだ?」
アイビー「ロミオ?」
ジーン「うん。ブリッジポートじゃ、あんまりデートできないか。」
アイビー「そうだね。・・・ロミオは、植物園が好きだったから・・・時々二人で行ったりはしたけど、あんまり外出もできなくて・・・おうちデートばっかりだったな。」
ジーン「そっか。」
アイビー「うん。」
ジーン「・・・アイビー。」
アイビー「うん?」
ジーン「さっきみたいに、肩抱いてもいい?」
アイビー「え?・・・あ、映画館で?」
ジーン「そう。」
アイビー「うん。・・・ちょっと恥ずかしいけどw」
ジーン「嫌?」
アイビー「嫌じゃないよw」
ジーン「もうちょっとこっち。」
アイビー「うん。」
二人が身体を寄せる。
アイビー「ふふっ。なんか・・・照れちゃうねw」
ジーン「うん・・・。」
ジーン「アイビー。」
アイビー「うん?」
ジーン「ロミオさんが亡くなってからもう9ヶ月過ぎたけど・・・」
ジーン「最近もアイビー、なんか忙しそうだったし、なかなかふたりっきりでは話せなかっただろ。」
アイビー「そうだね。」
ジーン「この前倒れて入院したし・・・。」
アイビー「あの時はごめんね。」
ジーン「いや・・・。でも、ああなって俺も色々考えたんだ。」
アイビー「・・・・。」
ジーン「やっぱり俺にとってアイビーは、すごく大事な人だ。」
ジーン「最近なんか忙しそうだけどさ・・・。俺はアイビーのこと支えたいと思ってるよ。」
アイビー「・・・・。」
ジーン「ずっと一緒にいて、もっと近くで・・・一番近くで見守っていたい。」
ジーン「だから・・・もし辛いことがあるなら、俺にも背負わせて欲しい。」
アイビー「・・・・。」
ジーン「答えを出すのは今すぐじゃなくていいんだ。でも、なにかあったらいつでも俺を呼んで。すぐに飛んでいくから。」
アイビーの瞳から涙が零れ落ちる。
アイビー「 (なんでだろ・・・。なんでジーンは、私のことわかるのかな・・・。)」
ジーン「・・・聞いてる?」
ジーンがアイビーの顔を覗き込む。
ジーン「アイビー・・・泣いてるの?」
アイビーがジーンから身体を離す。
アイビー「ち、違うの・・・。これは・・・目にゴミが入っちゃって・・・。」
突然抱きしめられ、唇が押し付けられる。
アイビー「 ! 」
アイビー「(あ・・・・どうしよう。私・・・・)」
次第にジーンの息遣いが荒くなっていく。
アイビー「・・・・っ。」
アイビー「ま、待ってジーン・・・。」
ジーン「待てないっ。・・・嫌なら俺から離れて。じゃないともう・・・。」
アイビー「・・・・。」
ジーン「嫌じゃ・・・ないってことだよな?」
アイビー「・・・。」
答えられずにいると再び唇を塞がれる。
アイビー「(ジーン・・・・。)」
アイビー「(こんなキス・・・したことない。ロミオのとも違う。ジーン、昔はもっと優しいキスだったのに・・・・なんで・・・。)」
アイビー「(でも私・・・・すごくドキドキしてる・・・・。ジーンのキス・・・気持ちいい。)」
アイビーの自宅前。
ジーンが家の前まで車を停めて、二人が降りてくる。
すでに時間は深夜をまわっていた。
アイビー「ありがとう。家まで送ってくれて。」
ジーン「遅くなってごめんな。明日仕事?」
アイビー「うん。午後からだけど。」
ジーン「そうなんだ?・・・あー・・・・。」
アイビー「・・・?」
ジーン「上がってったら、ダメかな?」
しばらく沈黙があってから、アイビーが口を開く。
アイビー「・・・・ごめん。」
アイビー「この家は、ロミオの家だから・・・・。男の人を上げたくないんだ・・・。」
ジーン「そっか・・・そうだよな。」
アイビー「うん・・・。」
ジーン「俺のほうこそ、困らせてごめんな。」
アイビー「ううん・・・。」
アイビー「じゃあ、おやすみなさい。」
ジーン「おやすみ。」
アイビーが玄関へと向かう。
その後ろ姿を見つめる。
ジーン「・・・・。」
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