アイビー「ごめんね。電源切れちゃってて・・・。」
ディーン『心配したぞ。兄さんから電話もらってさ。』
アイビー「そうだったんだ?お兄ちゃんには結局会えなかったな・・・。」
ディーン『そっか。お前ゆうべはどこにいたんだ?』
アイビー「ショアのモーテルに泊まってた。」
ディーン『モーテル?なんでそんなとこに?』
アイビー「ホテルより人に会わないで済むし、顔バレしないと思って。」
ディーン『あ~、そっか。』
アイビー「・・・・。」
ディーン『父さんとケンカしたって?』
アイビー「うん・・・。」
ディーン『父さん、なんて言ってた?』
アイビー「この家には住まわせられない・・・養子にするなら家から縁を切れって。」
ディーン『・・・・そっか。キツイな・・・。』
アイビー「一晩考えてみたけど、家族には関係ないことだもんね。アダムはスカイブルー家とは血も繋がらないし、パパの言うことは当然だと思う・・・。」
ディーン『・・・ラトが会いに行こうって言ってるんだけど、お前いつ空いてる?』
アイビー「休みなら来週だけど・・・私がそっちに行くよ。」
ディーン『そっか。じゃあ前日に連絡くれ。ゆっくり話そう。』
アイビー「うん。」
ディーン『兄さんには俺から連絡いれとくから。お前も疲れてるだろ、ゆっくり休めよ。』
アイビー「わかった。ありがとう。」
ディーン『じゃあな。』
アイビー「うん。おやすみ。」
アイビー「・・・・。」
アイビーがロッキングチェアから立ち上がる。
アイビー「アダム。」
アイビー「ショアにいる間、いい子にしてたもんね。えらいね。」
ぐっすりと眠るアダムをそっとなでる。
アイビー「 (ディーンにローガンのことなんて言おう・・・。反対されそうな気がするし・・・。) 」
アイビーの手の中の携帯電話が震える。
アイビー「 (メール・・・?) 」
アイビー「 (ララ・・・・。) 」
アイビー「 (ララ・・・ごめん。やっぱり私、今一番大事なのはアダムとの生活なんだ。でもたった一人で、知らない街でアダムを育てる勇気はまだない・・・。だから、今の私にはローガンが必要なの・・・。) 」
アイビー「 (仕事も親友も家族も・・・全部捨てても・・・・。) 」
アイビー「 (ごめん・・・・。) 」
一週間後。
ディーン「今日は一日休みなのか?」
アイビー「うん。」
ディーン「子供は?」
アイビー「シッターさんにお願いしてる。この後事務所に行く用事もあるから。」
ディーン「そっか。」
アイビー「ディーン、仕事は?」
ディーン「今日は夜勤明け。ラトは休みもらったって。」
アイビー「ごめんね・・・。ラトもディーンも・・・私のことで色々心配かけて。」
ディーン「なに言ってんだよ、兄妹だろ。ラトだって、お前のお義姉さんなんだからさ。」
ラトーシャ「そうだよアイビー。」
アイビー「うん・・・。ありがとう。」
ディーン「それにしたって、お前も一人で実家突撃するなんて・・・無茶なことするよな。あの父さんがいきなりハイそうですかって許すわけねえだろ?」
アイビー「そうだよね・・・。私も最近色々あって・・・焦ってたんだ・・・。」
ディーン「そっか・・・。」
ディーン「まぁ、説得は長引くと思うけど、時機を見てまた話し合いに行けばいいからさ。」
ラトーシャ「そうだよアイビー。長期戦になることは覚悟しないと。」
アイビー「そうだよね・・・。わかってもらえるまで、何度でも話し合わないとだよね。」
ラトーシャ「うん。」
ディーン「まぁ、養子にすることはなんとか説得するとして・・・これからお前はどうするんだ?今のまま、仕事と育児両立するのか?」
アイビー「ううん。仕事は辞めようと思ってる。」
ラトーシャ「育児に専念するの?」
アイビー「うん。」
アイビー「この街からも、出ていこうと思うの。」
ラトーシャ「え・・・?」
アイビー「急に仕事を辞めたら、マスコミに追われるのは目に見えてる。そのときにアダムのことがバレたら私もアダムも危険な目にさらされる。」
ディーン「でも出ていくって・・・どこに?」
ラトーシャ「・・・・。」
アイビー「まだ決めてないけど・・・誰も知らない、遠い街に行く。知り合いのつてを探すつもり。」
ディーン「本気で言ってるのか?」
アイビー「うん。このあと事務所の社長に話してくる。」
アイビー「社長、お忙しい中お時間を・・・。」
リリィ「挨拶はいいから要件を話してちょうだい。」
アイビー「・・・仕事を辞めさせてください。」
リリィが大きくため息をつく。
リリィ「あなたのことだからそう言うと思ってたわ。」
リリィ「仕事を辞めてどうするつもり?」
アイビー「アダムと二人で暮らすために、誰も知らない街で二人で生活します。一緒に暮らしてもいいって、言ってくれてる友人がいるのでその人を頼って。」
リリィ「家族には相談したの?田舎はスターライトショアだったわよね?」
アイビー「はい。両親に話したらアダムを育てることは反対されました。」
リリィ「家族の反対を押し切って、あの子との生活を取るつもりなのね。仕事まで辞めて、なにもかも捨てて。・・・どうしてそこまでするの?」
アイビー「・・・・私にとって、今一番大切なのはアダムなんです。」
リリィ「ロミオの子供だから?ミラのことは、憎いとは思わない?」
アイビー「・・・・正直言うと、わかりません。ミランダさんに対しては、色んな気持ちがあって・・・。でも、憎いとは思っていません。アダムを産んでくれて、感謝しています。」
リリィ「・・・・。」
リリィがまた一つため息をつく。
リリィ「正直に話してくれてありがとう。あなたの気持ちが聞けてよかった。」
アイビー「・・・・。」
リリィ「あの子に会えなくなるのは寂しいわ・・・。」
アイビー「毎年会いに連れてきます。社長やアンナさんのことは、あの子にとっては家族同然ですから。」
リリィ「約束してちょうだいね。」
アイビー「もちろんです。」
リリィ「私もね、あなたが辞めるって言いだすんじゃないかって・・・アダムが退院した頃から感じてたのよね。だから契約更新の9月以降は仕事を入れないようにセーブしてた。」
アイビー「そうだったんですね・・・。」
リリィ「そのかわり9月までは今まで以上に仕事を入れるから覚悟しておいて。いいわね?」
アイビー「わかりました。」
0 件のコメント:
コメントを投稿