Blue sky -sims3 story- へようこそ。
このブログはElectronic Arts社から発売されているPCゲーム「ザ・シムズ3」を使用したドラマ形式のストーリーブログです。
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〈 注意!〉
作中には卑猥な表現、画像も含まれております。
苦手な方はどうぞお引き取り願います。

2020/02/16

雪が降る街






同じ日のブリッジポート。













ロミオの家の横に一台の車が停車する。
車からジーンがおりてきて、玄関へと向かう。














インターホンを押すが一向に中から出てくる様子はない。














ジーン「(お昼食べにでかけてるとか・・・って、子連れのアイビーが簡単にこの街を出歩けるわけないか。電話してみるか・・・。)」


















ジーン「・・・・。」


しばらく発信音が続いた後留守番電話に切り替わる。













ジーン「(嫌な予感がする・・・。まさか・・・・・!)」


















ジーンが車へと駆け出す。
















ジーン「(アイビーが行くとしたら・・・。)」



































ブリッジポート空港。

















搭乗口前のロビーは行き交う人々で溢れている。














アイビー「・・・・。」


アイビーとアダムは黙ったまま外の雪を眺める。














アイビー「(そろそろ入らないと・・・。)」

















アイビーが椅子から立ち上がる。


アイビー「行こう、アダム。」














アダムの手を引いて歩きだす。


アダム「ママ!」

















アイビー「どうしたの?」

アダム「ハイジ!」














アイビー「え?」

アダム「ハイジ遊ぶの。約束ちた。」















アイビー「・・・・。」

アダム「ハイジとあそぶ。」














アイビーがしゃがみ込みアダムの頬を撫でる。


アイビー「今日は遊べないの。また今度遊びに行こう?」














アダム「あそぶって。ジンがゆったも。」

アイビー「・・・・。」















アダム「ジンは?くゆ?」















アイビー「今日は来れないって。また今度遊ぼうって言ってたよ。ごめんねって。」

アダム「・・・・こんど、いつ?」

アイビー「当分先になるかな・・・。でもまた今度って、言ってたよ。」

アダム「・・・・あい。」

アイビー「ママと行こう?」


アダムが黙ったまま頷く。












少し不満げな表情のアダムの手を引いてアイビーが搭乗口へと向かう。













アイビー「(アダムにまで嘘ついて・・・・。)」

















アイビー「・・・・。」
















アイビー「 ! 」


突然腕を強く掴まれ驚く。
















アイビー「ジーン・・・・?」

ジーン「やっと・・・・みつけた・・・・。」


ゼェゼェと息を切らしながらジーンが途切れ途切れに言う。


アダム「ジンきた!」











ジーン「どこいくつもり?」
















ジーン「ちょっとこっち。」

アイビー「ジーン・・・。」


アイビーの手を引いてロビーの隅へと移動する。
トコトコとアダムが後を追いかける。










アダムがアイビーの足にしがみつく。


ジーン「なにしてんの?俺との約束すっぽかして。」














アイビー「お墓参りは・・・また今度行くよ。」


ジーンの迫力に押されてアイビーは目を合わせようとしないでいる。












ジーン「嘘ついてまで、なんで逃げんの?」

















アイビー「もういいでしょう・・・。私たちのことはほっといてよ。」















ジーン「そんなに俺が嫌い?俺がなにしたっていうんだよ?!」
















アイビー「別にジーンのせいじゃないよ。私がしたいようにさせてよ。」














ジーン「アイビー、それ本気で言ってんの?いつからそんなに嘘つきになったんだ?」













アイビー「嘘なんかついてないよ。これが本心だから。もう私にかまわないで。」
















ジーン「じゃあ俺の目を見て言えよ。今のセリフ全部。」
















アイビー「ジーン痛いよ・・・。離して。」

ジーン「・・・・。」


ジーンがゆっくりと腕を離す。













ジーン「なぁアイビー、これからどこに行くつもりだったんだ?」

アイビー「・・・・。」

ジーン「ショア行きはさっき行ったばかりだし、ラッキーパームスにはもう戻らないんだろ?」













アイビー「・・・・どこでもいいでしょ。」

ジーン「・・・・。」

アイビー「ジーンには関係ないよ。」












ジーン「俺の質問には答える気ないってことか。なにも言わずに、黙ってまた消えるつもりか。」













アイビー「・・・・。」

ジーン「・・・・わかった。じゃあ最後に一つだけ答えて。」

アイビー「・・・なに?」















ジーン「君はそれで幸せ?」

アイビー「・・・・。」















ジーン「・・・・。」


アイビー「・・・・。」



















ジーン「2年前・・・母さんを亡くしてから、俺はたった一人になったよ・・・。親戚もいない。俺に家族と呼べる人はいなくなった。」















ジーン「ずっと孤独だった。」


ジーンの瞳からぽろりと涙がこぼれる。












ジーン「学生の頃君の家に遊びに行ったとき、君は家族に囲まれてた。兄弟も多くて、羨ましかった。」

アイビー「・・・・。」

ジーン「君んちはみんな優しくて、あたたかくて・・・・ホームドラマに出てくるファミリーそのものだった。」

アイビー「・・・・。」

ジーン「こんな家族ホントにいるんだって、ちょっとびっくりしたんだ。」


涙声でジーンが小さく笑う。











ジーン「俺んちは小さい頃から母さんしかいなくて・・・でもいつも仕事で忙しくて家にはいなかった。俺も子供の頃からずっとバイトして働いて・・・アイビーんちみたいに家族全員でテレビを見ながら笑ったり、みんなでご飯食べたりしたことがなかった。」

アイビー「・・・・。」

ジーン「アイビーんちは俺の理想の家族そのものだったんだ。ずっと君が羨ましかった。」















アイビー「・・・・。」















ジーン「俺は君の家族の一員になりたかった。あんなあったかい家庭を・・・君と作りたかったんだ。」
















ジーン「ごめん。」


ジーンが袖で涙をぬぐう。













ジーン「君が幸せならそれでいい。相手が俺じゃなくても。」
















アイビー「・・・・。」
















ジーン「だからもう嘘はつかないで。もうこれで最後にするから。笑顔で送り出すから。」
















アイビー「ジーン・・・私・・・・。」














アイビー「ツインブルックに行こうと思ったの。あなたの生まれ故郷の。」












アイビー「昔、話してくれたでしょう?田舎だけどのどかでいい所だって。アダムと二人で暮らしていくのにちょうどいいかと思って。」
















ジーン「・・・うん。」

アイビー「ジェニファーさんからジーンが小さい頃の話を聞いた時に、あなたの家族の思い出の場所、見てみたいと思ったから。」















アイビー「アダムのことはジーンには関係ないのに・・・・迷惑かけるわけにはいかない。」














ジーン「・・・・。」

アイビー「大好きだから・・・ジーンには幸せになってほしいって思ってた・・・・。」














アイビー「私ね・・・・怖かったの。」

ジーン「・・・・。」

アイビー「あなたが私と同じように、アダムを愛せるかどうかわからない。」











ジーン「君の愛するものなら、俺も同じように愛したいと思ってるよ。」

アイビー「・・・・。」

ジーン「アイビーが愛した、ロミオさんの子供だもんな。」

アイビー「・・・本当に?」

ジーン「うん。」















泣き崩れるアイビーをジーンが抱きしめる。

















涙で声にならないふたりはお互いに強く抱きしめあう。
同じ気持ちを分かち合うように。













アイビー「ごめんなさいジーン・・・。いっぱい嘘ついて・・・。」

ジーン「うん。」













アイビー「ロミオもミランダさんも死んじゃったのに・・・・私だけ幸せになるなんて・・・・そんなのずるいって・・・・。」


ジーン「そんなわけないだろ。」












アイビー「大事な人を・・・これ以上失うくらいなら・・・最初から離れたほうがいいって・・・。」

ジーン「なに勝手なこと言ってんだよ。」













ジーン「君は幸せになっていいんだ。幸せにならなきゃダメなんだよ。アダムの為にも。」

アイビー「うぅっ・・・・。」














ジーン「愛してるアイビー。もう絶対に離さない。」

アイビー「ジーン・・・・私も・・・愛してるよ。」

















二人の唇が重なる。
















涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、お互いを求めるように何度も激しく舌を絡ませる。








































アダム「ママ・・・・。」























ジーン「アダム・・・もう少しだけ待って。」



















アダム「・・・まだ?」

ジーン「もう少し。」

















アイビー「・・・ふふっw」


アイビーが涙声で小さく笑った。














ブリッジポートの街に雪が降り積もる。
こんこんと。いつまでも。

























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