ジーン「アイビーから?」
ローガン「ええ。」
ローガン「ビールでいいですか?」
ジーン「うん。」
ジーンを残してローガンがキッチンへと消えていく。
冷蔵庫から冷えたビールを2本取り出す。
ジーン「悪いね。忙しかったかな?」
ローガン「いえ。そろそろ終わりにしようと思ってたところなんで。」
ローガン「どうぞ。」
ローガンがテーブルに缶ビールを置く。
ジーン「ありがとう。」
ローガン「アイビーに会いに来たんですよね?あいつ今日は遅くなるらしくて・・・。」
ジーン「いや。」
ジーン「君と話したかったんだ。」
ローガン「俺と・・・?」
ジーン「うん。」
ローガン「・・・・。」
ジーン「逆にアイビーがいなくて助かったよ。」
ジーン「君と二人だけで、本音で話がしたかった。」
ローガン「・・・・。」
ジーン「アイビーとはこの前ブリッジポートで話したんだ。一緒に暮らして3年だったっけ?」
ローガン「ええ。」
ジーン「どうして彼女を誘ったのか、聞いてもいい?」
ローガン「別に・・・親友の妹だし。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「相当困ってるみたいだったんで。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「俺もちょうど家政婦が辞めたばかりで代わりを探してたんですよ。」
ジーン「じゃあ、家政婦の代わりというのは本当なんだ?」
ローガン「ええ。」
ジーン「最初はってことだよね?今はどうなの?」
ローガン「今・・・?」
ジーン「アイビーのこと、一人の女性として愛してる?」
ローガン「・・・あいつはなんて言ってたんですか?」
ジーン「君からプロポーズされたと言ってた。」
ローガン「・・・あいつも意外とおしゃべりだな。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「言いましたよ。籍入れようって。」
ジーン「子供の為?それとも彼女のことを・・・?」
ローガン「・・・それについては答える必要ないと思うのでやめておきます。」
ジーン「子供が赤の他人の子でも?」
ローガン「それはあいつも同じことですよ。」
ジーン「でも彼女にとっては元婚約者の子だ。君にとっては子供の本当の両親とはほとんど面識もないはずだろ。」
ローガン「子供ってかわいいですよ、ジーンさん。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「あなたもアンドレアと一緒に居ると安らげるでしょう。赤の他人の子供なのに。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「俺も同じですよ。」
ジーン「じゃあ話題を変えるけど・・・ララちゃんと結婚する気はないってこと?」
ローガン「それについても、あなたに答える必要はないですね。」
ジーン「・・・ララちゃんは本当に頑張ってたよ。」
ジーン「確かに両親の協力はあったけど・・・たった一人で夜遊びなんかせずにずっとアンちゃんの傍にいて、子供のことを第一に考えてた。」
ローガン「そうでしょうね。昔は全然だった料理までできるようになってたし。」
ジーン「立派な母親になるために・・・居ない父親の分もずっと一人で頑張ってた。」
ローガン「なにが言いたいんです?」
ローガン「俺にアイビーとじゃなくララと結婚しろと?」
ジーン「今更出てきて父親面されて彼女が困ってるって言ってるんだよ。」
ローガン「ララちゃん、不安がってたよ。君にアンちゃんを取られるんじゃないかって。」
ローガン「俺が・・・?」
ジーン「ああ。」
ジーン「そりゃそうだよね。君は弁護士だし、その気になれば可愛い一人娘の親権を奪うこともできるだろ。」
ジーン「子供さえいれば、将来介護もしてもらえるし安心だ。シッターさえ雇えば君はいつでも自由に遊べる。」
ローガン「・・・なるほど。確かにそういう考え方もありますね。」
ローガン「俺からも質問いいですか?」
ジーン「なに?」
ローガン「今や人気デザイナーで富も名声もある。それにその容姿じゃあ、女が放っておくわけがない。」
ジーン「・・・・。」
ローガン「なんでいつまでもアイビーに執着なさってるんです?」
ローガン「しつこい男は嫌われますよ、ジーンさん。」
ローガン「あいつのことを本当に愛してるなら、あいつの幸せを願うのが本当の愛なんじゃないですか?」
ジーン「彼女のついた嘘が本当に彼女の為になるならね。」
ローガン「・・・・。」
ジーン「アイビーが幸せならそれでいいよ。俺はただ本当のことを確かめたいだけだ。」
ローガン「あいつがそう言ってるなら本当なんじゃないですか?」
ジーン「幸せかどうかはまだ聞いてないな。」
ジーンがソファーから立ち上がる。
ジーン「そろそろ行くよ。急に来て悪かったね。」
ローガン「いえ。」
ジーン「最後に一つだけ。」
ローガン「なんですか?」
ジーン「アンちゃんのことだけじゃなくて、ララちゃんの幸せも考えてあげてほしい。あの二人にとって本当に必要なものを。」
ローガン「わかってますよ。」
ジーン「じゃあ。」
ローガンが小さく舌打ちをする。
深夜、ようやくアイビーがアダムと一緒に帰宅する。
玄関のドアを静かに開けてアイビーが家の中へ入る。
腕の中のアダムはすっかり眠っていた。
アイビー「(だいぶ遅い時間になっちゃった・・・。)」
そのまま二階の寝室へと向かう。
アダムを着替えさせベビーベッドへと寝かせる。
アイビー「(ローガンの部屋電気ついてたから起きてるよね・・・。)」
ローガンの部屋のドアをノックする。
ローガン「アイビーか。」
アイビー「うん。入ってもいい?」
ローガンがドアを開ける。
ローガン「おかえり。」
アイビー「ただいま。遅くなってごめんね。」
ローガン「アダムは?」
アイビー「途中で寝ちゃったから、今ベッドで寝かせたところ。」
ローガン「そうか。お前も大変だったな。4時間遅れたって?」
アイビー「うん。ブリッジポート発の飛行機はほとんど遅れてた。」
ローガン「そうか。」
アイビー「留守の間、色々ありがとう。」
ローガン「いや。特に変わりはない。」
アイビー「ララ、どうだった?」
ローガン「あいつなら昨日帰った。」
アイビー「そっか。」
ローガン「お前も疲れてるだろ。今日はもう寝ろ。」
アイビー「うん。洗濯機だけタイマーしたら寝るね。お風呂も明日の朝入るよ。」
ローガン「おう。」
アイビー「おやすみなさい。」
ローガン「おやすみ。」
アイビーが部屋を出ていく。
キッチンへ入るとコンロ脇に置いてあるビール缶に気付く。
アイビー「(洗い物はないのに・・・缶ビールだけ。ローガンが飲んだのかな。)」
アイビー「(でも・・・1つは空いてない・・・・。)」
アイビー「(誰か来たの・・・・?)」
翌朝。
アダム「ちゅりー!」
アイビー「うん。クリスマスツリー。」
アイビー「綺麗だね~。」
アダム「あい!」
アイビー「去年も出したんだよ。アダム覚えてるかなぁ?」
アダム「あい!」
アイビー「ホントにぃ~?」
アダム「おぼえてゆ!」
アイビー「ローガン、おはよう。」
アダム「ロガンおはよー。」
ローガン「おはよう。」
アイビー「ツリー出してくれたんだね。」
ローガン「ああ。ララと・・・あいつが飾ろうってうるさくてな。」
アイビー「そうなんだ?w」
ローガン「そろそろしまわないとな。」
アイビー「でも、まだ1週間もたってないよね?もったいないな。(ララとの思い出なのに・・・。)」
ローガン「そうか?もうクリスマス終わっただろ。」
アイビー「でも、もうちょっと出しておこうよ。年末ギリギリまでは。」
ローガン「お前がそういうならそのままにしとくか。」
アイビー「うん。あ、ローガン。」
ローガン「なんだ?」
アイビー「あとで話したいことがあるの。仕事の休憩の時でいいから、部屋に来てくれる?」
ローガン「ああ。わかった。」
アイビー「朝ごはん出来てるよ。冷めないうちに食べて。」
ローガン「ありがとう。飯食ってくるわ。」
アイビー「うん。」
ローガンがキッチンへと立ち去る。
0 件のコメント:
コメントを投稿