マリア「大変!遅刻しちゃうわ。ララ、あとお願いね。」
ララ「いってらっしゃいママ・・・。」
ローガンがアンドレアの前にしゃがみ込む。
アンドレア「アンちゃんに会いにきたのぉ?」
ローガン「ああ、そうだよ。」
ローガン「お前にこの前の返事をしに来たんだ。」
アンドレア「約束覚えててくれたのぉ?」
ローガン「当たり前だろ。」
ララ「・・・・。」
アンドレア「ローガン大好きぃ!」
ララ「寒いでしょう。早く中に入って。」
ローガン「ああ。」
ララ「コーヒーでいい?」
ローガン「うん。」
ララがコーヒーを準備している間、アンドレアはローガンに遊んでもらっていた。
コーヒーをテーブルに置いてララがソファーに腰かける。
ローガン「アンドレアはいい子にしてたか?」
アンドレア「アンちゃんいい子だよぉ!あ・・・でも昨日ママに怒られちゃったんだ~。」
ローガン「どうして怒られたんだ?」
アンドレア「にんじんさんが食べられなかったからぁ~・・・。」
ララ「・・・・。」
ローガン「アンドレアはニンジンが嫌いなのか。」
アンドレア「そぉなのぉ~・・・。」
ローガン「苦手な食べ物でも大人になったら食べられるようになるさ。ムリして食べなくてもいい。」
アンドレア「ホントぉ?」
ローガン「ああ。」
ララ「(勝手なこと言って・・・。)」
ララ「ローガン、話があったんじゃないの?」
二人の会話を遮るようにララが声をかける。
ローガン「ああ。」
ローガン「これを渡しに来た。」
ローガンがララの近くへと歩み寄る。
ララ「・・・なあに?」
フォトフレームに入った写真をララに手渡す。
ララ「この前の・・・・。」
ローガン「よく撮れてるだろ。まるで子役のモデルみたいだ。」
ララ「ありがとう・・・。これをわざわざ?」
ローガン「もうひとつある。」
今度は3人が収まった写真をララに渡す。
ララ「・・・・。」
ララはしばらくの間じっとその写真をみつめた。
ララ「別に、郵送でよかったのに・・・。クリスマス休暇でショアに?」
ローガン「いや。」
ローガン「お前とアンドレアに会いに来た。」
ララ「・・・・。」
ローガン「お前逃げただろう。俺とちゃんと話す前に。」
ララ「・・・・。」
ローガン「別に責めてるわけじゃない。急にあんなこと言われたから動揺したんだろ。」
ララ「・・・・。」
ローガン「俺だって驚いたし戸惑ったけど・・・ずっと考えてたんだ。お前がいなくなってからも。」
ローガン「アイビーは出て行ったよ。」
ララ「え・・・?」
ローガン「お前がうちに来る前にあいつに言ったんだ。お前がよければ籍入れようって。」
ララ「(ジーンさんが言ってたこと、本当だったのね・・・。)」
ローガン「あいつも俺も利害関係が一致してたし、アダムの為には父親役が居たほうがいいと思ったからだ。」
ローガン「アイビーには断られた。好きな人ができたら離婚すればいいなんて、そんな都合のいい関係は自分には無理だと。それこそ偽物の家族だってさ。」
ローガン「愛し合っていない夫婦なんて、子供の教育にもよくないってな。」
ララ「・・・・。」
ローガン「ララ、アンドレアと二人でうちに来ないか。家政婦としてじゃなく、今度はちゃんと家族として暮らそう。」
ララ「え・・・?」
ローガン「アンドレアの為には両親揃ってたほうがいい。俺たちは本当の家族なんだし、3人一緒のほうがいいだろ。」
ララ「でも・・・あなたさっき言ったばかりよ。愛し合ってない夫婦なんてって・・・。」
ローガン「・・・正直、恋愛感情ってのがなにかはわからないが、お前が他の男と一緒になるのはイライラする。アイビーにはそれが嫉妬だと言われた。」
ララ「え・・・?」
ローガン「だからたぶん俺が抱いてる感情は愛なのかもしれん。」
ララ「・・・今なんて言ったの?」
ローガン「だから・・・。」
ララ「もう一度言って?」
ローガン「お前なぁ・・・。」
ララ「 ! 」
ララの体を引き寄せ抱きしめる。
ローガン「俺と結婚しろララ。俺のそばにいろよ。」
ララ「ローガン・・・・?」
ローガン「黙って聞け。」
ローガン「お前と相性が合うとは思ってないし、たぶん喧嘩も多いだろう。でも、ルームシェアした時も俺たちは喧嘩しながらもうまくやっていけてただろ。」
ローガン「だから大丈夫だ。俺たちならきっとうまくやっていける。」
ララ「・・・・。」
ローガン「イエスって言えよ。」
ララの震えた手がローガンの背中にそっと触れる。
ララ「バカ・・・・。今のがプロポーズ?」
ローガン「だからそう言ってんだろ。」
ララ「・・・私と結婚して、夫婦喧嘩したりしても・・・浮気しない?」
ローガン「ああ。」
ララ「本当に?・・・絶対よ?」
ローガン「しつこいな。お前が抱かせてくれれば浮気なんてしねぇよ。」
ララ「ねぇ、待って。これって夢かしら?」
ローガン「は?急になに言って・・・。」
ララ「ローガンがそんなこと言うわけないじゃない。きっと私まだ夢から覚めてないんだわ。」
ローガン「夢じゃねぇよ。」
ララ「そうだわ。キスしてくれたらきっと本当だって信じられるかも・・・。」
ローガン「いや。そんなことより大事なことを後回しにしてた。」
ララ「ローガン・・・?」
ローガン「俺はまだアンドレアに返事をしてないんだ。」
ローガンがアンドレアを抱き上げる。
ローガン「なぁアンドレア。」
アンドレア「なぁにぃ?ママとのお話終わったぁ?」
ローガン「ああ。」
ローガン「クリスマスプレゼントはパパが欲しいって言ってただろ。」
アンドレア「そうだよぉ。ローガン、アンちゃんのパパになってくれるのぉ?」
ローガン「俺がパパになったら嬉しいか?」
アンドレア「嬉しい!そしたらず~っと一緒だよ。ママとぉ~アンちゃんとぉ~ローガンと!」
ローガン「そうだな。ずっと3人一緒だ。」
アンドレア「パパって呼んでもいいのぉ・・・?」
ローガン「ああ。もちろんだ。」
アンドレア「パパ・・・。パパ!」
ローガンがアンドレアを抱きしめる。
ローガン「ずっと一緒だ。これからはずっと。」
アンドレア「ホントにぃ?約束する?」
ローガン「ああ。約束だ。」
その晩。
ブリッジポート。
ディーン「殴られたぁ?!」
ローガン『ああ。ララの親父に。』
ディーン『Kおじさんもやるなぁ!』
ローガン「笑いごとじゃねぇよ。ララが止めなきゃ3発以上くらってたとこだぞ。」
ディーン『ははっw いいざまだ。』
ローガン「お前なぁ・・・。」
ディーン「それにしてもお前、よく耐えたな。昔なら反射的に殴り返してただろ。」
ローガン「できるかよ・・・。それこそ一生あの家出禁だろ。」
ディーン『まぁな。』
ローガン「あいつらの為だからな。このくらい耐えるさ。」
ディーン「それで?まだ許してもらってないのか?」
ローガン『ああ。ララの母親に今日は出直せって言われた。』
ディーン「今どこにいるんだ?ホテルか?」
ローガン「いや、実家帰ってきた。隣だからな。」
ディーン『珍しいな。ショアに出張があっても帰らなかったお前が実家帰るなんて。』
ローガン「報告しなきゃいけないしな。」
ディーン「・・・・お前も大人になったな。」
ローガン『うるせぇよ。』
ディーン「許可がおりたらラッキーパームスに帰るんだろ?」
ローガン『ああ。』
ディーン「式とかはどうするんだ?ラッキーパームスでやるつもり?」
ローガン「どうだろうな。まだそんな話はしてないけど、あいつはやりたいって言うだろうな。」
ディーン『だよな~。ララだもんな~。』
ローガン「まぁ式とかハネムーンについてはあいつの意見を尊重するつもりだ。こういうのくらいは我儘させてやらないとな。」
ディーン「式やるならうちの子が産まれてからにしてくれよ。ラトも絶対参加したいだろうし。」
ローガン『そうだな。予定日いつだ?』
ディーン「3月。」
ローガン『あったかくなってからがいいし、やるなら6月かな。』
ディーン「そのくらいだと助かる。」
ローガン「お前はクリスマス休暇は帰らないのか?」
ディーン『こっちにいるつもりだったけど・・・あとでラトと相談するよ。帰ったら飲みに行こうぜ。』
ローガン「ああ。じゃあまた報告する。」
ディーン「おう。楽しみにしてるよ。」
リビングに二人分のコーヒーを持ってラトーシャが入ってくる。
ラトーシャ「ローガン?」
ディーン「そう。」
ラトーシャ「ローガンなんだって?」
ディーン「Kおじさんに馬乗りになって殴られたってさ。」
ラトーシャ「え??どこで?」
ディーン「ララんちで。」
ラトーシャ「ローガン、ララの実家に行ったの?」
ディーン「うん。ララのこと迎えに。そんでララとの結婚を許してくれって土下座したんだってさ、ララの両親に。」
ラトーシャ「ローガン・・・。」
ディーン「あいつも大人になったよなぁ。あのローガンが土下座するなんて。」
ラトーシャ「なんか・・・かっこいいねローガン。見直しちゃった。」
ディーン「びっくりだよなw」
ラトーシャ「ローガンも変わったね。」
ディーン「10月にアイビーたちの様子みに会いに行ったときも、結構普通に父親役っぽいことやってたんだよなあいつ。アイビーやアダムと暮らすようになって、いろいろ心境の変化もあったんだろうな。」
ラトーシャ「あとでララに電話してみるね。ララすごく喜んでるだろうな~。」
ディーン「大丈夫かな?あいつも親父さんの説得で今夜は家族会議じゃないか?」
ラトーシャ「そっか。その可能性もあるね。」
ディーン「そういえばさっきローガンにショアに帰らないのかって言われたけど、どうする?ラトのしたいようにしていいけど。」
ラトーシャ「う~ん・・・。妊婦の私が帰ってもおうちの手伝いなにもできないし・・・どっちの実家に帰っても迷惑にしかならないと思うよ。」
ディーン「迷惑とか考えんなよ。産まれてからはしばらく帰れないんだし、先に帰ったほうがいいだろ。」
ラトーシャ「そうだねぇ・・・。ちょっとだけ顔みせにいく?」
ディーン「そうしようぜ。明日の便予約しないとな。」
ラトーシャ「大晦日の便なんて空いてるかなぁ~。ムリしなくていいからね。」
ディーン「ああ。飛行機とれなかったら今回は諦めるよ。車とか電車の長距離だとラトもつらいもんな。」
ディーンとの電話をきった直後、部屋のドアをノックする音でローガンがドアのほうを向く。
シン「ローガン、いるのか?」
ローガンがドアを開ける。
シン「帰って来たって今母さんからきいてな。」
シン「何年ぶりだ?お前が帰るなんて。」
ローガン「5年かな。」
シン「よく来たな。母さんが喜んでるぞ。」
ローガン「話があるんだ。」
シン「・・・・。」
ローガン「入ってくれ。」
シン「なんだ?なにかやばい事件にでも巻き込まれたんじゃ・・・。」
ローガン「そういうんじゃねぇよ。」
シン「じゃあなんだ?」
ローガン「親父・・・俺結婚することにしたんだ。」
シン「・・・・。」
ローガン「3歳になる娘もいる。俺の子だ。」
ローガン「わけあって今までは離れて暮らしてたが・・・きちんとけじめをつけようと思う。」
シン「・・・相手の女性はどんな人だ?」
ローガン「隣んちのララ ネイビーブラウンだ。高校と大学が一緒だった。ブリッジポートでは一時期一緒に暮らしてたんだ。」
ローガン「ブリッジポートで警察官としてキャリアを積んでたが子供の為に辞めた。賢くて真面目な女だ。」
シン「お隣の娘さんなら何度かみかけたことがある。綺麗な人だろう。子連れで帰っているとは聞いてたが・・・まさかお前の子とはな・・・。」
シン「その傷はお隣さんにでも殴られたのか?」
ローガン「・・・察しの通りだよ。」
ローガン「まだ許してもらえてないが、許可してもらえるまで何度でも土下座しに行くつもりだ。」
シン「ははっ・・・・。お前がそんな男になるとはな。学生の頃はなに考えてるかわからんような子だったが。」
ローガン「・・・・。」
シン「私に孫がいたのか。母さんが聞いたら泣いて喜ぶだろう。ずっと女の子が欲しいと言っていた。」
ローガン「・・・殴らないのか?」
シン「殴る?もう十分だろう。それにお前はもう覚悟を決めてるんだろ。」
ローガン「・・・・。」
シン「酒でも一杯やるか。今夜はお祝いだな。」
ローガン「・・・親父。」
シン「母さんが張り切って晩御飯の支度をしてるぞ。お前も早く降りてきなさい。」
ローガン「・・・わかった。」
シン「先に行くよ。今日はいい酒が飲めそうだ。」
シンが部屋を出ていく。
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